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カラパナ 来日記念特集~ハワイアンAOR最高峰が演出する永遠の夏
ハワイの風を感じるロックというと、誰もが真っ先に思い浮かべるのはカラパナではないだろうか。70年代半ばに颯爽と登場し、音楽ファンだけでなくサーファーたちをも魅了してきた。メロウなアコースティック・サウンドから、コンテンポラリーでグルーヴィーなロック・チューン、そしてフュージョンやハードロックまでも取り込みながら、どこか潮の香りを感じさせるアイランド・ミュージックを今も作り続けている。困難を乗り越えながら、精力的にツアーを行う彼らは、いつだってハワイアンAORの最高峰だ。今年も6月にビルボードライブ公演を行うカラパナ。彼らの輝かしい軌跡を辿ってみよう。
初代カラパナの誕生、ハワイNo.1バンドへの道
カラパナが誕生したのは、1973年のこと。幼なじみ同士であるマラニ・ビリュー(ヴォーカル)とディージェー・プラット(ギター)は、それぞれ別のライヴハウスで活動していたが、一緒にバンドを組もうということになる。そこで、同じようにライヴハウスで知り合ったマッキー・フェアリー(ギター)とカーク・トンプソン(キーボード)を誘い、初代カラパナが誕生した。ホノルルのライヴハウスを中心に演奏活動を続け、EW&Fやスライ&ザ・ファミリー・ストーンなどのオープニング・アクトも務めながら、めきめきと人気を高めていった。
結成して2年後の1975年に、満を持してファースト・アルバム『Kalapana / ワイキキの青い空』を発表。シングル・ヒットした「Nightbird / 恋のナイト・バード」をはじめ、溌剌とした冒頭の「Going Going Gone / こころ焦がす愛」や、風の音とストリングスを加えたせつないバラードの「Naturally / ナチュラリー」など、全体的にウエスト・コースト色の強いソフトでグルーヴィーなサウンドが特徴で、まさに名曲揃いの一枚だ。アコースティック・ギターのカッティング、分厚いコーラス・ワーク、そしてマラニの情感に満ちたヴォーカルと、初期カラパナの魅力が目一杯詰まっている。実際、自他ともに認める最高傑作として高く評価され、ハワイアンAORの代名詞にもなっている。
翌1976年には、早くもセカンド・アルバム『Kalapana II / ワイキキの熱い砂』をリリース。メロウ・グルーヴの傑作「Luv' Em / ラヴ・エム」に始まり、アグレッシヴなインスト・ナンバーに仕上げた「Black Sand / ワイキキの熱い砂」や、大ヒットしたソフト・ラテン・タッチの「Juliette / 愛しのジュリエット」など、デビュー作に劣らない名曲を多数収録。こちらも彼らの代表作として紹介されることが多い。この頃にはハワイでは文句無しのNo.1バンドとなっており、大規模なコンサートも行うようになっていた。しかし、本作リリース後にバンド・サウンドの核になっていたマッキー・フェアリーが脱退し、残った3人を中心にカラパナを継続させていく。
世界的な人気、バンド・サウンドの追求
マッキー不在とはいえ、カラパナの人気は上昇し続けていた。そして、1977年には3作目のアルバム『Kalapana III / 褐色の誓い』を発表。冒頭の「Girl / ガール」でフィドルが聴こえてくることに驚かされるが、この曲やラテン・ロックを思わせるインスト・チューン「Mana / マナ」、カリビアン・テイストの「Inarajan (The Village) / イナラヤン」に象徴されるように、クロスオーヴァー的な匂いが濃くなっている。もちろんメロウな「Songbird / ソングバード」や「Seasons / シーズンズ」といったナンバーも健在だが、全2作に比べると確実にバラエティに富んだ作品といえるだろう。本作を引っさげて来日公演も行い、世界的に人気を得ることになる。
1978年には、サーフィン映画のサウンドトラック盤でもある4作目『Many Classic Moments / メニー・クラシック・モーメンツ』をリリース。本作ではロックやフュージョン的な色合いが強くなり、そのテイストは翌1979年に発表された5作目のアルバム『Northbound / ノース・バウンド』で結実。さらにハードでエッジの効いたバンド・サウンドを追求した『Hold On / ホールド・オン』(1980年)を発表するが、以降はリリースのペースも落ち、オリジナル・メンバーだったカーク・トンプソンもいつしかグループを去るなど、不安定な状態となってしまう。1983年にはマッキー・フェアリーが復帰するが、混沌とした状態は続いた。
完全復活を遂げた1986年でフレッシュな世界観を提示、マッキー・フェアリーの死
バンドが完全復活を遂げたのは1986年。新たに加入したベースの佐野健二がイニシアチブを取り、アルバム『Hurricane / ハリケーン』を制作。マッキー・フェアリー、マラニ・ビリュー、ディージェー・プラットというオリジナル・メンバーの結束を固めた力作で、フレッシュな世界観を提示した。1987年には、レゲエなども取り入れてさらに進化したサウンドを作り上げたアルバム『Lava Rock / フレンズ』を発表。そして、1989年には日本のポニー・キャニオンとレーベル契約し、セルフ・カヴァーを中心とした『Back In Your Heart Again / バック・イン・ユア・ハート・アゲイン』(1990年)、サザンオールスターズのカヴァーで構成した企画作『Kalapana Sings Southern All Stars / 楽園』(1991年)、ピーター・ゴールウェイがプロデュースを手がけた『Walk Upon The Water / ウォーク・アポン・ザ・ウォーター』(1992年)、杉山清貴がゲスト参加した『Full Moon Tonight / フル・ムーン・トゥナイト』(1993年)、アパレル・ブランドとタッグを組んだ『Captain Santa's Island Music / キャプテン・サンタ・アイランド・ミュージック』(1996年)といった力作を発表し続けた。
▲『メニイ・クラシックス~
カラパナ・プレイズ・ゼア・
ベスト~』
順調に活動を続けていたかのように思えたカラパナだが、1999年にショッキングな出来事が起こる。ドラッグの乱用で逮捕されていたマッキー・フェアリーが、獄中で自殺してしまったのだ。しばらくは活動停止を余儀なくされたが、2002年には6年ぶりのアルバム『Blue Album / ブルー・アルバム』で三度目の復活を遂げる。ライヴ活動も再開し、2007年には代表曲をリメイクしたアルバム『Many Classic Moments: Kalapana Plays Their Best / メニイ・クラシックス~カラパナ・プレイズ・ゼア・ベスト~』を発表。以降も精力的に来日公演を含めたツアーを行っている。
現在のカラパナは、マラニ・ビリューとディージェー・プラットというオリジナル・メンバーと、復活のきっかけを作った佐野健二、そしてキーボードのゲイロード・ホロマリアという4人に、サポート・メンバーを加える形で活動中だ。彼らの生み出すカラパナ・サウンドは、今もなお褪せることなく潮風の香りとともに優しく耳をくすぐってくれる。きっと、6月のビルボードライブ公演でも、永遠の夏を演出してくれるに違いない。
来日公演に向けたメッセージが到着!
公演情報
Kalapana
Billboard Live Japan Tour 2016
ビルボードライブ東京:2016/6/25(土) ~ 6/26(日)
>>公演詳細はこちら
ビルボードライブ大阪:2016/6/28(火)
>>公演詳細はこちら
INFO: www.billboard-live.com
BAND MEMBERS
マラニ・ビリュー / Malani Bilyeu (Vocals)
ディージェー・プラット / DJ Pratt (Guitar)
ゲイロード・ホロマリア / Gaylord Holomalia (Keyboards)
ケンジ・サノ / Kenji Sano (Bass)
ジョニー・ヴァレンタイン / Johnny Valentine (Guitar, Vocals)
トッド・ユクモト / Todd Yukumoto (Saxophone)
ギャリン・ポリアフ / Garin Poliahu (Drums)
Text: 栗本 斉
ザ プレミアムベスト カラパナ結成40周年記念ベスト
2013/06/19 RELEASE
PCCY-1958 ¥ 2,934(税込)
Disc01
- 01.パラダイス
- 02.愛しのジュリエット
- 03.ミッドナイト・セイリング
- 04.リアル・シング
- 05.アイ・リメンバー・ユー
- 06.モロカイ
- 07.キック・イット (21stセンチュリー・ヴァージョン)
- 08.メニィ・クラシック・モーメンツ
- 09.ケアナエ・ブリーズ
- 10.ライティング・オン・ア・フォーチュン
- 11.パラダイス・ロマンス
- 12.カミング・ホーム
- 13.シャブリ
- 14.ジョンズ・ソング
- 15.ラヴ・アンダー・ザ・サン
- 16.ダナズ・チューン
- 17.虹を追う男
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