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BABYMETAL インタビュー
BABYMETALが、ニューアルバム『METAL RESISTANCE』をリリースした。これまで3度のワールドツアーを経て、世界中に熱狂的なファンを増やしてきた彼女達。新作は爆音に乗せてキュートに歌い踊る“メタル・ダンス・ユニット”としてのその唯一無二な魅力を突き詰め、今までにない新たなジャンルを築き上げるような1枚だ。
4月2日からは3度目のワールドツアーもスタートする。ロンドンのウェンブリー・アリーナ単独公演からスタートし、ファイナルは東京ドーム。前人未踏の道を歩む3人の今を聞いた。
言葉の壁、国境の壁を超えて、みんなで一つになることができる。
−−新作『METAL RESISTANCE』、出来上がっての手応えはどんな感じでしょうか。
SU-METAL:このアルバムを機に、新しいBABYMETALを見せることができる1枚になったと思います。
MOAMETAL:前作は“これを聴けばBABYMETALがわかる”という1枚だったと思うんですよ。それに比べて、今作は私たちなりのメタルに挑戦した1枚になっていて。小さな子から年配の方まで、いろんな世代の人にBABYMETALのことを好きになってもらえる1枚なんじゃないかと思います。
YUIMETAL:いろんなジャンルに挑戦してみたり、英語の曲にも挑戦してみたり、1曲1曲の色がとても濃いんですよ。前よりもパワーアップしたし、自信作ですね。
−−新作にはこれまでのライブでお馴染みの「Road of Resistance」も収録されていますね。これまでのツアーでの経験が結実したアルバムでもあると思います。
SU-METAL:一昨年の秋ごろに「Road of Resistance」をロンドンのO2アカデミー・ブリクストンで初めて披露したんですね。その時、初めてだったのにもかかわらず、お客さんが一緒に歌ってくださったのをすごく覚えていて。その歌に背中を押されたという思いがありました。それから私たちは去年のツアーを“道なき道を突き進む”ということをテーマに掲げて、とにかく突っ走ってきたんですね。そういうワールドツアーを経た今だからこそできた1枚だと思います。
−−前作からの2年間はどんな経験になりましたか?
YUIMETAL:本当に沢山の経験をさせてもらいました。音楽は世界共通なんだと実感したし、沢山成長できた2年間なんじゃないかと思います。
MOAMETAL:思い返すと、1つ1つの楽しかった思い出はしっかりあるんですよ。でも、本当に「あっという間だった」の一言ですね。普通だったら5年くらいの間に経験するようなことを2年間で経験して、本当に成長できたって思えて。このチームならどこにでも行けるって自信がつきました。
SU-METAL:ワールドツアーを経験していく中で、すごく思ったことがあって。自分たちの音楽って、今まで誰もやったことがないものだからこそ、言葉の壁、国境の壁を超えて、みんなで一つになることができる。私たちの音楽にそういう力があることを実感できたのは大きかったですね。
−−ワールドツアーの中で印象的だったエピソードはどんなものがありますか?
YUIMETAL:ツアーで印象に残っているのは、イギリスのO2ブリクストン・アカデミーのワンマンライブでした。その時、お客さんが一緒に歌う声がこちらにも聴こえてきて。すごく嬉しかった記憶がありますね。
SU-METAL:いろいろあるんですけれど、一番思い出に残っているのはレディ・ガガさんのサポートアクトをさせていただいた時ですね。私たちとは音楽のジャンルも違うので、お客さんの反応も最初は「何じゃこりゃ?」みたいな感じだったんですよ。でも、ライブを重ねていく中で、最後の方ではBABYMETALのTシャツを着てるお客さんも増えたし、「ギミチョコ!!」の日本語の部分を一緒に歌ってくれる方もいて。ジャンルの壁も超えられたと思いました。
−−メタルファン以外にも自分たちの音楽が通じた実感があった。
SU-METAL:はい。アメリカの方は反応が素直だしリアルなんですよ。だから、それが一瞬で伝わってくる感じがありました。
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Interviewer:柴 那典|Photos:Yuma Totsuka
あの場所でライブをやると聞いた時にはすごくビックリしました。
−−海外のフェス出演の時には、いろんな大物のメタルバンドの方とも一緒に写真をとっていましたよね。その場の雰囲気はどんな感じなんでしょう?
SU-METAL:そういう時って、MOAMETALがムードメーカー的な役割なんですよ。初めて会う海外のスタッフさんとかにも、話しかけにいったりするんですよね。
MOAMETAL:実は、相手のみなさんの方から「一緒に写真を撮ろうよ」って言ってくださることが多いんですよ。たぶん、海外の人から見たら、日本人の女の子って小さく見えるじゃないですか。だから、私たちなんて子供みたいに思ってるんだろうなって思うんですけど(笑)。ジューダス・プリーストの楽屋に行ったときもロブ・ハルフォードさんが「待ってたよ」って言ってくださったり。メタリカのカーク・ハメットさんにも何度もお会いしてるんですけど、すごく優しいんですよ。嫌な顔をする方は誰もいなくて、あたたかく受け入れてくれる。それがすごく嬉しいですね。
−−去年のサマーソニックではアリアナ・グランデさんと一緒に写真も撮っていましたね。
YUIMETAL:はい!
SU-METAL:ふふふ、めっちゃ嬉しそう(笑)
−−YUIMETALさんにとっては憧れの人だったんですよね。どんな体験でしたか?
YUIMETAL:あの時は本当に嬉しかったDEATH!私たちはあまりメタルを知らないので、偉大なメタルバンドさんは、出会った後に“こんなにすごい方々なんだ”って気付くことが多いんですよ。でも、アリアナ・グランデさんは普段から曲を聴いて、目標としている方なので。貴重な体験だったし、もう1度会えるくらいの存在になりたいと思いました。
−−昨年にはレディング/リーズ・フェスティバルへの出演や、イギリスのメタル雑誌『KERRANG!』や『METAL HAMMER』でのアワードの受賞もありました。BABYMETALは特にイギリスでの人気が大きくなっているように思いますが、その実感もありますか?
SU-METAL:そうですね。私たちは今、イギリスを“第2の故郷”と呼んでいるんですけれど。それくらい大きな存在だと思っています。イギリスのファンの方はすごくあたたかいんですよ。2年前の【Sonisphere Festival UK】というフェスも私たちにとってすごく大きなターニングポイントになったし、その後にも、きっかけを与えてくれる場所になっているんですよね。イギリスのファンの方が私たちの心を強くしてくれる気がします。
−−4月のウェンブリー・アリーナの公演も大きなターニングポイントになると思います。決まった時にはどう感じましたか?
SU-METAL:去年の6月か7月くらいにウェンブリー・アリーナで行われたライブを観にいったんですよ。その時にお客さんの反響を見て「いつかこんな大きなところでライブできたらいいね」なんて話していて。夢みたいな話だったんですよ。だから、あの場所でライブをやると聞いた時にはすごくビックリしました。「夢じゃないんだ!」って思いました。
−−今年は本格的なアメリカツアーも始まります。アメリカに対してはどういうイメージがありますか?
SU-METAL:アメリカで私たちが最初にライブをやったのはLAで、次はNYだったんですけれど、各地でお客さんの盛り上がるポイントが違うんですよね。日本ともヨーロッパとも違うし、あとは「いいね!」のようなダンス・ミュージックのサウンドが好きな方が多いという印象もありますね。でも、やっぱりアメリカのお客さんは反応がすごくリアルですね。
YUIMETAL:フェスでもすぐに反応を返してくださったり、言葉の壁を超えた瞬間を感じることが多いですね。面白いと思ってくれたら、すぐにキツネサインをやってくださったり、身体を動かしてくださったり。直感で音楽を楽しんでいる方が多いと思いますね。
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Interviewer:柴 那典|Photos:Yuma Totsuka
このアルバムの曲たちを、ライブで育てていきたいと思っています。
−−アルバムの収録曲についても聞いていければと思います。リード曲として「KARATE」が公開されました。これはかなり攻撃的な楽曲ですね。
SU-METAL:この曲はBABYMETALらしさだけでなく、日本らしさも出ていると思います。海外の方には「メギヅネ」が人気なんですけど、そういう曲になりそうな予感がします。それに、この曲の歌詞にはどんなことがあっても進み続けるという強い意志が表現されていて。私たちもそういう強い意志を持ってライブをやっているので、自分たちにもすごく共感できる歌詞だと思います。この曲を聴いたら元気になれるって言ってもらえると嬉しいですね。
MOAMETAL:この曲は、私自身、お気に入りの曲なんですよ。前に習ったんですけど、空手って“礼に始まり礼に終わる”という心得があるんですね。それって、私たちBABYMETALにとってもすごく大切なことで。どんな場所に行っても礼儀を忘れないし、感謝の気持ちを忘れない。そういうところもこの曲を通して見せられたらと思います。この3人なら怖いものはないし、このチームならどこにでもいける。そういう強い思いを持ってこの曲を歌い続けられたらと思います。
−−子供でも口ずさめそうなメロディの「META! メタ太郎」は、メタルの可能性を広げそうな1曲ですね。この曲はどういう印象ですか?
SU-METAL:初めて聴いた時の衝撃はすごかったですね(笑)。しかも、なかなか頭から消えない曲なんですよね。レコーディングをした後も、なぜか口ずさんでしまう。
MOAMETAL:消えないよね(笑)
SU-METAL:最近、ファンの方の世代の幅が広がったんですよ。特に女の子のファンが増えて。私たちより小さな子がダンスをコピーしてくれたり、ライブにコスプレで来てくださるようにもなったんですよ。そういう方にも親しめるメタルの音楽ができたんじゃないかと思います。
YUIMETAL:この曲はダンスも覚えやすくて簡単なので、小さい子たちも、年配の方も、みんなで踊ってライブを楽しめる曲ですね。メタルを知らない方も、この曲をきっかけにメタルに足を踏み入れるような入り口になったらいいなって思います。
−−アルバムにはYUIMETALさんとMOAMETALさんのユニット“BLACK BABYMETAL”の曲が2曲収録されています。まず「Sis.Anger」はどうでしょう?
MOAMETAL:これはすごくおもしろい曲(笑)。私たち自身、レコーディングしながら笑っちゃってました。この曲はブラックメタルというジャンルの曲なんですけれど、歌詞もブラックだし、BLACK BABYMETALだからこそできた曲だと思います。怖い歌詞なんですけど、聴いたら笑えるし、元気が出る曲ですね。
−−「GJ!」はどうでしょう?
YUIMETAL:この曲はご褒美ソングですね。「Sis.Anger」より可愛い曲DEATH!私としては、「Sis.Anger」を聴いてやる気を出して、「GJ!」を聴いて「よし、頑張ったな」って思う。この流れで聴いてほしいなって思います。
−−SU-METALさんのソロ曲は「Amore - 蒼星 -」と「NO RAIN, NO RAINBOW」の2曲が収録されます。特に「NO RAIN, NO RAINBOW」は昔からライブで披露していた曲ですね。
SU-METAL:これは3年前くらいからあった曲なんですね。だから、1stアルバムに入っていてもおかしくなかったですよね。でも、最初に歌っていた時は、正直、歌詞の意味もよくわかっていなくて。ライブを重ねていって、自分自身が成長していくことで、技術だけじゃなく、感情がちゃんと表現できるようになっていた。ライブで成長してきた曲だと思います。
−−そしてアルバムのラストには「THE ONE」が収録されます。この曲は英語バージョンもありますね。
SU-METAL:いろんな国の方に「英語の歌を歌うことはないんですか?」という話をされることがあったんですよ。だから、ようやく英語でみんなで一緒に歌える曲ができたのはすごく嬉しいですね。
−−ワールドツアーでも大事な曲になりそうですね。
SU-METAL:そうですね。次のツアーのテーマが“THE ONE”なんDEATH!ライブって、すごく大変で過酷だけれど、それを乗り越える中で見える世界がある。音楽の力で、みんなが一つになることができる。そういう意味での“THE ONE”なんですよ。これからツアーを回っていく中で、この曲でみんなで1つになれればと思います。
−−では最後に。これから始まるワールドツアーはBABYMETALにとってどんなツアーにしようと思っていますか?
MOAMETAL:BABYMETALの音楽って、国境も性別も年齢も、全て超えられると思うので。みんなにもっとメタルの良さを知ってもらえたらいいなと思います。
YUIMETAL:これまでの2回のワールドツアーで本当に沢山のことを吸収してきたので、それを自分たちが発信していくような存在になりたいですね。で、最後には東京ドームが待っているので。今はまだ実感がわかないし、不安もあるんですよ。でも、ワールドツアーの中で一回りも二回りも大きい存在になって、東京ドームが似合うような存在になって帰ってきたいDEATH!
SU-METAL:これまで、知らない土地にいって、知らない食べ物を食べて、知らなかった人たちと出会って、その人たちとライブを作ってきて……。どんどん未知の世界に踏みこんでいくのが快感になってきているんですよ(笑)。それに、このアルバムの曲たちを、ライブで育てていきたいと思っています。それにはみなさんの力が必要だし、みんなで1つになれるようなライブをして、その集大成を東京ドームで見せたいと思います!
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Interviewer:柴 那典|Photos:Yuma Totsuka
METAL RESISTANCE
2016/04/01 RELEASE
TFCC-86545 ¥ 3,565(税込)
Disc01
- 01.Road of Resistance
- 02.KARATE
- 03.あわだまフィーバー
- 04.ヤバッ!
- 05.Amore - 蒼星 -
- 06.META!メタ太郎
- 07.シンコペーション
- 08.GJ!
- 09.Sis. Anger
- 10.NO RAIN, NO RAINBOW
- 11.Tales of The Destinies
- 12.THE ONE
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