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Cheeky Parade メインボーカル3人インタビュー
avex初のアイドル専門レーベル iDOL Streetに所属するグループにして、“小生意気で攻撃的”をコンセプトにハイスキルなパフォーマンスで独自の存在感をかもす9人組 Cheeky Parade(略称:チキパ)。
今回はメインボーカルを担当する3人、山本真凜、永井日菜、鈴木友梨耶を招へい。先日リリースしたニューシングル『SKY GATE』のサウンドやミュージックビデオを題材に、ディレクターやアレンジャーらの言葉も借りながら、その後に連なっていく話までを映像と共に紹介していく。
永井日菜「自分たちで作るからこそ不安も大きい」
--当サイトでのインタビューは、『無限大少女∀』以来2年半ぶり。その間、フルアルバム1枚にミニアルバム1枚、シングルは『SKY GATE』も入れると3枚リリースをしたわけですが、昨年はシングル1枚に留まりました。
鈴木友梨耶:ただ昨年はフランスやLAに行かせていただいたり、全国キャンペーンで各地の方と出会える機会をいただけたりと色んな場所に行かせていただいて。そこで知っていただけたり、好きになっていただけた方は多かったと思いますね。 山本真凜:新曲が少なかった分、既存曲の振付をより固めてクオリティを上げようとか、メンバー9人の個性を高めて見せる機会を作っていこうとか、そういう部分が鍛えられたかなって。 鈴木友梨耶:チキパって本当に仲良しなので、今までメンバー同士で言い合ったりとかなかったんですよ。 山本真凜:でも去年からはメンバー同士で話し合ってライブの構成を考えたりとか、曲中のパフォーマンスとかどこで煽るかとか小物を使ってみるとか、自分たちの意見を発信することが多くなってきたんです。--より深く関わっていくことで「ここは自分たちのステージだ」という自覚も?
永井日菜:“自分たちの”っていうか、ファンの方々がノッてくれたらいいなって。やっぱり自分たちで作るからこそ不安も大きくなりますし、(ファンの反応が)気になったりしますね。山本真凜「息づかいひとつでも歌詞の感情が変わっていく」
--先日の4周年やLA留学の話など、訊くべきことは色々あると思うんですけど、今回お三方に来ていただいたのには理由がありまして。Cheeky Paradeは歌が凄い、ダンスが凄いと言われますが、どう凄いのか。そこに言及してみたいと思って昨日サウンドディレクターと、「SKY GATE」の作曲編曲を手がけたHIKIEさんにお話しを訊いてきたんですよ。
▲YouTube「Cheeky Parade / SKY GATE」 山本真凜 歌唱パートより 永井日菜:うそー! やだー! 山本真凜:え、何を訊いてきたんですか!?
--3人の話ですよ。
(一斉に水を飲む3人)--佇まいが変わりましたね(笑)。というのも「SKY GATE」を初めて聴いた時、ボーカルに特化した曲だと思ったんですよ。例えば最初のAメロを歌っているのは山本さんですよね?
山本真凜:はい!--このパートについてディレクターは“ブレスがポイントになってる”と仰ってまして、山本真凜はブレスも含めての表現ができるようになるまで成長したと。
山本真凜:へー! でもやっぱりありますよね。言葉として発する、音として出す歌声だけじゃなくて、息づかいひとつでも歌詞の感情が変わっていきますし、歌い終わった後の呼吸、ブレスの表情でも歌は変わるんですよ。「SKY GATE」ならではの、爽やかな中にあるちょっとした切なさみたいなものも表現できるようにがんばりました。--ディレクターは、「去年一番成長したのは山本真凜」と言ってましたよ?
山本真凜:おおおおおお!嬉しい! 永井日菜:私は去年の【腹筋大博覧會】で、真凜が一気に変わったって感じてました。表現力というか、歌をうたう時のバリエーションが増えたというか、響くような歌い方をするなって。 鈴木友梨耶:今までの真凜は、感情を込めて届けるより、綺麗に歌って聴かせるイメージだったんですよ。でも、それが「M.O.N.ST@R」くらいからだと思うんですけど、感情も大事にするようになってきて。私はそういう歌が大好きなので「めっちゃ良い!」って!--永井さんはご自身の歌について、どういう変化を感じていますか?
永井日菜:やっぱり制作の方には「この曲はこうしたい」っていう気持ちが強くあると思いますし、レコーディングでは「曲調に合わせて、ここのアクセントを強く……」とアドバイスをくれたりするんですけど、私にも「こういう風に歌いたい」っていう願望があったりして、そこには葛藤もあります。結局、言われた通りにやっても自分の中で納得がいかないんですけど、最近はその両立ができるような感じで歌ってます!
--永井さんは昨年あたりから、パフォーマンスのあり方を“かわいい”から“かっこいい”にシフトしたように思ったんですよ。
永井日菜:私は自分の成長が全然納得いかない、もっと成長したいって気持ちが強いですし、LA留学の話もけっこう前から知っていたので、もっと意識を高くしてライブを引っ張っていけるくらいしっかりしていかないとって。歌もダンスも巧くなりたいって気持ちが湧き上がってきたんです。やっぱりお仕事の中でライブが一番楽しいから、もっと楽しくできるように。ファンの人たちにもっと感動してもらえるようなパフォーマンスがしたいって思い始めましたね!
リリース情報
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Interviewer, Photo:杉岡祐樹
鈴木友梨耶「私はずっとこういう曲が欲しかった」
--僕は「SKY GATE」のBメロのパワフルなボーカルが好きなんですが、作曲 / 編曲を担当したHIKIEさんは、「SKY GATE」では意図的に音数を減らしたと仰っていて。
▲YouTube「Cheeky Parade / SKY GATE」 永井日菜、鈴木友梨耶 歌唱パートより 永井日菜:へー!
--これまでのチキパも含め、次々に音を重ねて迫力を作るやり方は、最近のアイドルソングでは主流ですよね。でも、他のシーンや海外ではここ数年、強い音をシンプルな構成で鳴らしていく音楽が流行り始めてるところもあるんですよ。
鈴木友梨耶:そうなんですね。--ただ、音数が少ない分、ボーカルも単体で聴き応えがある強い音でなければ成立しずらい。「SKY GATE」のBメロは、友梨耶さんと永井さんの強いボーカルがないと成立しないところまで削ぎ落としたアレンジだと思うんです。
鈴木友梨耶:私はずっとこういう曲が欲しかったんです! ただ、HIKIEさんは最近どんどん要求が高くなってきていて、このBメロのハモリもそうなんですけど「へー、そのキーまで出るんだー……」ってどんどん高い音域を求められていくというか(笑)。最近レコーディングした新曲も、死ぬかと思うくらい高いハモリがあって、ディレクターさんが「無理なハモリさせるね?」って笑ってました! 永井日菜:友梨耶は会場を圧倒するような歌い方をするので、背が小さいのに大きく見える時があるんですよ! 山本真凜:私や日菜とは違うテイストだから真似できないと思いますし、友梨耶はライブで煽りも担当しているので、本当にパワフルで凄いと思います。
--「SKY GATE」では、Dメロ(2:47?)でもその迫力を垣間見ることができますよね。
鈴木友梨耶:「SKY GATE」の時、私のレコーディングが最後の方だったので、(小鷹狩)百花や(鈴木)真梨耶のパートはすでに録ってあったんですよ。そういう時は前後の歌を聴きながら雰囲気を合わせるんですけど、百花の歌が凄くて!(笑)これまではかわいらしいイメージだったのに、“夜が明ける前に 影は置いてこう”のところがすごいパワフルだったからこうなりました(笑)。
--結果、「SKY GATE」は聴いた人からの評判がかなり良いみたいで。
山本真凜:いいですね! ライブで全員でコールして盛り上がる曲ではないのにファンの方からの人気が高いっていう、チキパの中でも珍しい曲だと思います!鈴木友梨耶「真凜と真梨耶が帰ってこられる、変わらないチキパを用意したい」
--「SKY GATE」ミュージックビデオは沖縄で撮影されたそうですが、内容は大きく分けてふたつ。浜辺で躍るパートと、部屋でカレーを食べてるパートがあります。
▲YouTube「Cheeky Parade「Tactics」/Official Practice movie」
--アイドルが沖縄の海で撮影してるのにあの雰囲気、っていうのがチキパらしくて良いですよね。
永井日菜:アイドルだったら「キャー☆」って砂浜を駆けまわる、かわいい感じですよね! 太陽も全然出てこなくてびっくりしたんですけど、撮影してくれた方々の技術がすごい!--個人的には“居眠りしてるキミに ユメ贈るよ”のシーンがグッときましたよ。
鈴木友梨耶:最初は一緒に寝てたのに、真梨耶だけになっちゃって…… 永井日菜:え、どういうこと? 鈴木友梨耶:だから最初は、友梨耶と真梨耶が一緒に寝てるシーンから始まるでしょ? でも途中で友梨耶が居なくなって、“居眠りしてるキミに ユメ贈るよ”で真梨耶だけが寝てるシーンになるの! 山本真凜:歌詞と絵が繋がってるのよ。 永井日菜:……さて、次の質問お願いします。--気付いてなかったのか(笑)。ともあれ「SKY GATE」というタイトルにも表れていますが、次のステージや未知の世界への希望と不安が入り混じった中での前向きな感情を表現した、これまでに無い作品になりました。
鈴木友梨耶:違うチキパを見てもらいたい気持ちがあって、盛り上がるだけじゃないっていうか、踊っているメンバーの振りもかっこよくて、それぞれの良さが出せる曲だと思います。--昨年YouTubeに“Official Practice movie”と題してダンスに特化した映像をアップしていましたが、あれを見るとダンススキルの高さがよくわかりますよね。
山本真凜:ありがとうございます! 鈴木友梨耶:チキパは6月から新体制って発表をしていますですけど、どうなるかは私たち自身もまだわからないし、新メンバー加入だってあるかもしれない。でも、やっぱりいつでも真凜と真梨耶が帰ってこられる、変わらないチキパを用意したいからこそ、個々のスキルの底上げと意識の改革をしていきたいのが今のチキパなんです。リリース情報
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Interviewer, Photo:杉岡祐樹
謎のエクササイズアーティスト“ガイナー”に永井日菜「あれは親戚」
--ただ、そんなシングル『SKY GATE』はセールス面では厳しい結果が出ました。これは初めて聴いた時から思っていたのですが、このシングルを今のチキパがリリースして、どうやって売るのかがわからなかったんですよ。
▲YouTube「NERFY GUINER BIEBER / GARLIC&ONION」
--ブームの終焉すら謳われている今のアイドルシーンで、主流ではないこのシングルをどうやって売るのか。それがわからずにいたらそのままリリースされ、その通りの結果が出たと。
山本真凜:やっぱり今って、アイドルといえば元気でみんなが盛り上がれるアップテンポとかが流行っていると思います。でも、その流行りのためにチキパの型を決めてしまうよりは、型にこだわらずに幅を広げていきたいと思ってこの曲にしたんです。結果は本当に悔しかったんですけど、逆にこういう曲調をチキパ発信で流行らせていければ数字は伸びていくと思います。アイドルとしての曲の流れも引っ張っていける力を付けていけば、この先色んな曲調にチャレンジできると思いますし、だからこそもっとファンをつけなければいけないなって。 永井日菜:私も最初、「SKY GATE」の仮歌を聴いた時は、「チキパっぽくないな……」って思ってたんですよ。でも、今までの曲調に似ている曲ばかりをやっていても成長できないし、実際に慣れてしまっていた自分もいて……。
「SKY GATE」で新しいチャレンジして、もっとひとりひとりが成長して、いずれはどんな曲調でもやり切れるグループになりたいって今は思ってます。確かに順位も大切だし悔しい結果ですけど、色んなことにチャレンジしてまた上がっていければ!
--チャレンジといえば、シングル『SKY GATE』のHMV・Loppi 限定盤に収録されていた「GARLIC & ONION」という、謎のエクササイズアーティスト“ガイナー”のオリジナル楽曲も収録されていましたね。
鈴木友梨耶:そうなんですよ!ガイナーさんに来日いただきまして……--これは永井さんに訊いてはいけないんでしたっけ?
永井日菜: あれは親戚なので、伝えておきますよ?(笑) 山本真凜:LINE友だちですから(笑)。--iDOL Streetの総括プロデューサー 樋口さんも絶賛していましたが、USインディーのヒップホップみたいな音も、ドン・キホーテで撮影したミュージックビデオも面白いんですよね。
永井日菜:伝えておきます(笑)。山本真凜「行くまでの3か月間はいっぱいライブやイベントをして思い出を作りたい」
--だから、周囲が求めているものとチキパが提示するもののピントは徐々にとはいえ合ってきているとも思うんですよ。そんな中、これまで不動の9人でやってきたチキパは、山本さんと真梨耶さんがLA留学するため6月25日から新体制になります。
鈴木友梨耶:やっぱり新体制っていうのが一番不安というか……。でも、真凜と真梨耶が2年間抜けちゃうっていうのは、私たち7人としても良い意味で変われるチャンスだと思うんですよ。これがなければ、ズルズルいってしまっていたかもしれない。意識や気持ちが固まってきたと思うので、最高のシナリオとしては2人が帰ってきた時にドームでおかえり公演をするくらい大きくなっていることですよね! 永井日菜:残り3か月、ひとつひとつを大切にするのは当たり前なんですけど、9人とファンの方とのもっと濃い一体感を感じてライブをしていきたいと思うし、LAに行く2人の背中を押すためにも、みんなでがんばれる姿を見せられるように! がんばっていきたいと思います! 鈴木友梨耶:今、ライブをしている中で一番考えるのは、真凜と真梨耶のファンを離さないってことなんです。2年後におかえりと言ってくれるファンにずっと居て欲しい。推しがいなくなっても繋ぎ止められる力を付けていきたいと思うし、真凜と真梨耶には今を楽しんでもらってLAでがんばれる思い出を作りたいし、早く帰ってきたいって思ってもらいたいんです。 山本真凜:留学っていう不安や焦りもあるし、もっと歌やパフォーマンスを巧くならなきゃいけないっていう気持ちでいっぱいいっぱいになっちゃって、ライブで歌うのが怖くなる時もあるんですよ、素直に言うと。
ただ、やっぱり行くまでの3か月間はいっぱいライブやイベントをして思い出を作りたいですし、誰から見てもチキパは隙間がないと思われたい。だからより一層引き締めて、9人という壊れないものを作って、信頼し合ってLAに行きたいと思います!
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Interviewer, Photo:杉岡祐樹
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