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Billboard Hits! & The Academy Awards ~ビルボード・チャートと動画で振り返るアカデミー歌曲賞
今年もアカデミー賞の季節がやってきた。映画の都ハリウッド最大のイベントは、映画関係者だけでなく音楽ファンも注目に値する。なぜなら数ある部門賞のひとつである歌曲賞は、その年の音楽シーンとも密接に関わっているからだ。実際、映画の主題歌となったことでビッグヒットにつながったり、ブレイクしたアーティストも数多い。ここでは、80年代から昨年までのアカデミー歌曲賞受賞曲から、厳選した10曲をピックアップ。Billboardのチャートアクションと動画を交えて振り返ってみよう。
Stevie Wonder
『ウーマン・イン・レッド』(1984年)
まずは、スティーヴィー・ワンダーの名曲から。喜劇俳優のベテラン、ジーン・ワイルダーが監督も兼任した作品『ウーマン・イン・レッド』(1984年)の主題歌で、映画から離れて独り歩きして大ヒットとなった。BillboardのHot100では3週連続で首位をキープ。その年のイヤーエンド・チャートでも1位を獲得した。なお、ディオンヌ・ワーウィックも参加したサントラのアルバムもアルバム・チャートで1位に輝いている。この曲はスティーヴィーにとっても初のオスカー受賞となっただけでなく、80年代の代表曲として今なお歌い続け、数多くのアーティストにカヴァーされている。
Berlin
『トップガン』(1986年)
80年代は、いわゆるサントラ・ブームが巻き起こった。『フラッシュダンス』、『フットルース』、『ゴーストバスターズ』など多数のサントラ・ヒットが生まれたが、そのひとつがトム・クルーズ主演で大ヒットした『トップガン』(1986年)だ。それまでマイナーなロック・バンドだったベルリンが起用され、ジョルジオ・モロダーのプロデュースによるバラード・ナンバー「愛は吐息のように」を披露。BillboardのHot100で1位となり、人気グループとなった。本作からはケニー・ロギンスの「デンジャー・ゾーン」も大ヒットし、アルバム自体もアルバム・チャートで1位を獲得した。
Bruce Springsteen
『フィラデルフィア』(1993年)
トム・ハンクスとデンゼル・ワシントンが主演し、エイズ差別をテーマにした法廷劇『フィラデルフィア』(1993年)。巨匠ジョナサン・デミによるこの社会派映画の主題歌を担当したのが、ブルース・スプリングスティーン。映画のために書き下ろした「ストリーツ・オブ・フィラデルフィア」で、映画自体にもさらに深みを与える役割を担った。そして、渋めの歌とサウンドであるにも関わらず、BillboardのHot100で9位を記録。1987年のシングル「トンネル・オブ・ラヴ」以来久々のトップ10ヒットとなり、90年代の代表曲としてもファンの人気が高い。
Celine Dion
『タイタニック』(1997年)
公開当時、だれもがレオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットの真似をした『タイタニック』(1997年)。もちろん、主題歌はセリーヌ・ディオンが歌う「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」だ。映画の大ヒットと連動するかのように、BillboardのHot100では初登場2週間連続1位を記録。アカデミー歌曲賞だけでなく、グラミーでも最優秀レコード賞、最優秀楽曲賞、最優秀女性ポップ歌手などに輝き、世界的にみてもこの年の代表曲となった。リンクした動画はコンサート映像だが、これを見るだけでも彼女のシンガーとしてのスケールを実感できるだろう。
Mariah Carey & Whitney Houston
『プリンス・オブ・エジプト』(1998年)
旧約聖書の物語をテーマに、ドリームワークスが製作したアニメーション映画『プリンス・オブ・エジプト』(1998年)。この壮大なストーリーに似合う主題歌として、マライア・キャリーとホイットニー・ヒューストンのデュエットという贅沢な組み合わせが実現。BillboardのHo100では15位、アダルト・コンテンポラリー・チャートでは3位にまで上昇し、この曲を含むホイットニーのアルバム『My Love Is Your Love』もヒットした。なお、作詞作曲を手がけたスティーヴン・シュワルツは、『ポカホンタス』(1995年)と『ノートルダムの鐘』(1996年)でもオスカーを獲得している。
Eminem
『8 Mile』(2002年)
2002年に公開された映画『8 Mile』は、ラッパーのエミネムの自伝的内容のサクセス・ストーリーで、エミネム自身が主演して話題を呼んだ。主題歌となった「ルーズ・ユアセルフ」も、BillboardのHot100で12週連続首位という記録を達成。他にも20カ国以上のチャートでも首位を獲得している。そして、ヒップホップ・ナンバーとしては初めてのアカデミー歌曲賞を受賞したことでも、歴史的な一曲といっていいだろう。ジェイ・Zや50セントなども参加したサントラも、アルバムとして充実した作りになっており、こちらもBillboardのアルバム・チャートで1位となった。
Glen Hansard & Marketa Irglova
『ONCE ダブリンの街角で』(2007年)
アカデミー賞はいわゆるハリウッドの大作映画がメインではあるが、時折インディペンデントの作品が席巻することもある。2007年に歌曲賞を獲得したのは、アイルランドを舞台にした音楽映画『ONCE ダブリンの街角で』。低予算で製作されたにも関わらず、全米でヒットを記録。そして、主演のグレン・ハンサードとマルケタ・イルグロヴァがストーリーの中でデュエットする主題歌「フォーリング・スローリー」が、強豪を押しのけてオスカーを獲得した。BillboardのHot100では61位と少々地味なチャート・アクションではあるが、グラミーにもノミネートされている。
Adele
『007 スカイフォール』(2012年)
2011年にリリースしたアルバム『21』が、全世界で2600万枚以上という記録的な大ヒットとなったアデル。その後の動向が注目されていた2012年に突如発表されたのが007シリーズの主題歌という話題だった。『007 スカイフォール』(2012年)自体が大ヒットとなったこともあり、アデルの個性と007特有の翳りをうまく表現したこの曲も好評価を得て、映画関係者からも絶賛されている。CDシングルとデジタル・ダウンロードを合算したBillboardのHot100では8位を記録。ビルボードジャパンのHot100でも20位となった。
Idina Menzel
『アナと雪の女王』(2013年)
老若男女問わず、世界的に大ヒットして社会現象にもなったディズニー製作の『アナと雪の女王』(2013年)。ミュージカルの要素を取り入れたこの作品は、アニメーション映画の興行収入では歴代1位という記録を樹立。当然のようにサントラも大ヒットした。見せ場で歌われる「レット・イット・ゴー」は、オリジナルではミュージカル女優として知られるイディナ・メンゼルが担当。BillboardのHot100では5位にチャートイン。また、日本では松たか子とMay J.による吹き替えヴァージョンも大ヒットし、これらもビルボードジャパンで上位に食い込んでいる。
Common & John Legend
『グローリー/明日への行進』(2014年)
現時点での最新のアカデミー歌曲賞受賞曲は、コモンとジョン・レジェンドの豪華な組み合わせ。『グローリー/明日への行進』(2014年)の主題歌で、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアを主人公に据えて史実に基づいたヒューマンドラマが話題になった。なお、コモン自身も俳優として出演しているのにも注目だ。この「Glory」は、BillboardのHot100で49位、ホット・ラップ・ソングスでは11位を記録。また、オスカーだけでなく、ゴールデングローブ賞や放送映画批評家協会賞などでも主題賞を受賞している。
2015年度のアカデミー歌曲賞には、ザ・ウィークエンド「Earned It」(『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』)、J・ラルフ&アントニー「Manta Ray」(『Racing Extinction』)、スミ・ジョー「Simple Song #3」(『グランドフィナーレ』)、レディー・ガガ「Til It Happens To You」(『ハンティング・グラウンド』)、サム・スミス「Writing's On The Wall」(『007 スペクター』)5曲がノミネート。授賞式は現地時間の2月28日。どの曲がオスカーを獲得するのか、楽しみに待ちたい。
オンエア情報
【第88回アカデミー賞授賞式】米LAドルビー・シアターから生中継
日本時間2016年2月29日 午前9:00~
WOWOWプライム
INFO: http://www.wowow.co.jp/extra/academy/
Text: 栗本斉
フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ ~サウンドトラック
2015/02/11 RELEASE
UICU-1262 ¥ 2,695(税込)
Disc01
- 01.アイ・プット・ア・スペル・オン・ユー(フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ)
- 02.アンディスカヴァード
- 03.アーンド・イット(フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ)
- 04.ミート・ミー・イン・ザ・ミドル
- 05.ラヴ・ミー・ライク・ユー・ドゥ
- 06.ホーンテッド (マイケル・ダイアモンド・リミックス)
- 07.ソルテッド・ウーンド
- 08.ビースト・オブ・バーデン
- 09.アイム・オン・ファイア
- 10.クレイジー・イン・ラヴ (2014リミックス)
- 11.ウィッチクラフト
- 12.ワン・ラスト・ナイト
- 13.ホエア・ユー・ビロング
- 14.アイ・ノウ・ユー
- 15.アナ&クリスチャン
- 16.ディド・ザット・ハート?
- 17.ルード (日本盤ボーナス・トラック)
- 18.コール・ミー (日本盤ボーナス・トラック)
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