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“最狂ライブ・バンド”=!!! (チック・チック・チック) 来日インタビュー

チック・チック・チック 来日インタビュー

 LCDサウンドシステムやザ・ラプチャーなどの登場とともに、一気に過熱した2000年代中盤のNYディスコ・パンク・シーン。中でも、“最狂ライブ・バンド”の異名を持つチック・チック・チックは、そのグルーヴィーでプログレッシヴなサウンドと卓越した演奏スキルで世界中のオーディエンスを虜にしながら、年々その音楽性と表現の幅を広げてきた希有なバンドだ。

 今年で結成18年目を迎え、今やベテランの域(?)に達した彼らが、パンクでありながらも、よりクラブ・ミュージックに寄り添った6枚目となる最新作『アズ・イフ』を発表。アルバムを引っさげ、来日を果たした無敵のフロントマン=ニック・オファーがバンドとして挑戦し続ける重要性を語ってくれた。

TOP Photo: TEPPEI

周りの意見に耳を貸さず、エゴのみで突き進んでいけば、
即キャリアを終わらせることになる

Freedom! '15
▲ 「Freedom! '15」 (Official Lyric Video)

−−まず、ニュー・アルバム『アズ・イフ』のリリースおめでとうございます。6作目となりますが、やはり新作がリリースされるのはエキサイティングですか?

ニック・オファー:もちろん!まだ現物のCDを見てなくて、昨日レーベルにタワー・レコードに連れてってもらって、初めて手にしたんだ。長い時間をかけてやっと完成した、努力の賜物で、様々な抽象的なアイディアが形になったもの、って感じ…登山に行って、山頂を目指すけど、雲に覆われていて見えない、って具合に。だから、手に取ると、完成したっていう実感がわいて、すごくエキサイティングだね。

−−前作のレコーディング直後から新作の制作に取り掛かっていたそうですが、前作の強みである洗練されたプロダクションとチック・チック・チックのライブ・バンドとしての魅力が上手く両立された作品に仕上がったと感じました。

ニック:これまでに成し遂げたこと、学んだことの積み重ねだというのは間違いないね。1つの作品のレコーディングからは学ぶことがたくさんある。その結果、もっとこうしたらいいんじゃないか、とかアイディアもたくさん生まれ、次の作品へのステップとなる。俺の願望としては、常に前作より優れた作品を作り続けたい。だから、アルバムが完成すると、どこがダメで、どうやったら次はもっといい作品を作れるか、必ずみんなで話し合う。あと心掛けてるのは、前作よりもさらに“raw”(荒削り)で、俺らのライブ・パフォーマンスを反映するような作品にすること。新作がこれまでと違うのは、よりクラブ・オリエンテッドだということだな。今作のためには40曲近く書いて、知り合いのプロデューサーに聴いてもらって、その中から20曲をレコーディングして、友人や仲間に気に入った曲を選んでもらったんだ。

−−バンド・メンバー以外の意見や批評を取り入れることは多いんですか?

ニック:そうだな~。誰も選ばなかった曲は、誰か聞いても駄作なんじゃないか、ってことでレコーディングを免れたし(笑)。だから、今でも外部の意見は重要視してる、というのは言えるんじゃないかな。

−−5~6作品リリースし、キャリアを積んでも、そういった意見に耳を傾けているのは稀なのかな、とも思います。

ニック:そうなんだよね。それって他の知り合いのバンドや彼らのスタンスなんかを見てて、危惧することの一つでもあるんだ。周りの意見に耳を貸さず、エゴのみで突き進んでいけば、即キャリアを終わらせることになる。だから、周りの意見も取り入れつつ、絶えず自分たちをチャレンジし続けることは、俺たちにとってすごく重要なことなんだ。

−−チャレンジという面で、今作はバンド史上最も様々ことに挑んだ意欲作でもあったのでは?エイブルトンを使ったり…。

ニック:そうそう、自分自身に挑戦するために、いくつものゲームを作り上げていった。例えば、ラファエルが「Every Little Bit Counts」のインストゥルメンタル・バージョンを送って来た時は、「お、モータウンか。じゃあ、それっぽい曲を作ってみよう。」って感じだったし、「I Feel So Free (Citation Needed)」のインストゥルメンタル・バージョンを送ってきた時は、“トーキング”ハウスっぽい曲にしたいけど一体何について喋ったらいいんだ、って考えたり…チャレンジの連続だった。そこが楽しいんだよね。個々で生み出したアイディアに、他のメンバーの個性やアウトプットが加わることで、より面白くなるし。俺がこうだ、と思っても、まったく違う考えを持つメンバーもいるわけだし。

 そんな中でも、やっぱり「Funk (I Got This)」と「I Feel So Free (Citation Needed)」が一番チャレンジングで、学ぶことが大きかった曲。両方ともシンプルなんだけど…「Funk (I Got This)」の場合は、ヴォーカル・フックか完成したら、「もうこの時点でクールじゃん。」って感じだったけど、クラブ・トラックとして成立させるのが難しかった。こう歌って、で、ここでコーラスが入ってきて、って具合に、スタンダードな構成の曲を書くのは慣れてる。一つのフレーズがリピートするクラブ・トラックは好きだけど、それをどうやって5分の曲にするか、っていうのが悩みどころだった。最終的には、暖急があって、スタンダードなポップ・ソング的要素も持つ曲に仕上がった。この曲は、何人ものプロデューサーと一緒に実験した曲で、パトリック・フォードと俺とで、何とか形にした曲なんだ。

 「I Feel So Free (Citation Needed)」も同じで、既にライブでプレイしてて、あの曲でセットを締めてたから、簡単に仕上げられると思ってたけど、考えが甘かった(笑)。でも、いい気分だよ。自分たちの最大のヒット曲じゃなくて、誰も聴いたことがない新曲でライブのラストを飾ることができるのは。

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    極まりなく!!!らしいレコードだ
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サウンドはもちろん、ジャケットにはモンキーもいるし、
極まりなく!!!らしいレコードだ

Bam City
▲ 「Bam City」 MV

−−「All The Way」ではオートチューンを取り入れていたことにも驚いたのが、この試みは何がきっかけだったんですか?

ニック:あれは、ある友達との会話が発端で…、俺の好きなアフリカン・ミュージックに持ち入られてることが多いんだ。特に西アフリカの音楽なんて、何でもオートチューンされてて、まるで楽器のように使われてる。昔から、オートチューンに対して抵抗はないし、俺にとってはリヴァーブやディレイのようなエフェクトやコンプレッションみたいなもんなんだ。今はトレンドで、そのうち消えるだろうけど、「2010年頃に流行った時期があったよね~。」って具合に、20年後には“クラシック”として再評価される時が来ると思う。これまで音楽史を振り返ってみても、歴史は繰り返されるから。

  で、話を戻すと、その友達と「そういう音楽は大好きだから、自分が作ってる作品にも取り入れてみたいんだよね~。」って話してて、「じゃあ、バンドでやってみるの?」って問われたけど、「いや~、どうかな。」って考えちゃったんだ。それでなくても、オートチューンを使うことに対して否定的な意見が多いし…。最近の音楽が嫌いな理由として、みんなが最初に挙げるのって、オートチューンじゃん?でも、自分がやらないのかって訊かれた時に、戸惑ったことに、なんだか腹ただしくて。だから、これも一つの挑戦だと思って、やることにしたんだ。

  とは言え、あくまで自然じゃないと。例えば、誰もやってないから、無理矢理スクラッチを取り入れようと思って、トライしてもうまくいかないじゃん?あのパートを書き上げた時に、「オートチューンで歌ってみたい。」って心から思えたから、友達に「オートチューン持ってる?」ってメールして「持ってる。」って言われたから、そいつの家に行ってオートチューンを加えて、2人で聴いてみたら「案外イケるじゃん!」ってことになったんだ(笑)。

−−ライブでもやるんですか?

ニック:イエス!つい先日ソフトを買って、じっくり練習もした。普段より高音で歌ってるから、最初はちょっと難しくて、満足がいく結果が出るまで時間がかかった。逆にオートチューンを使った方が難しかったんだぜ!明日(の大阪公演で)初めて、生でやるんだ。

−−他の新作収録曲はどうでしょう?レコーディングする前にライブで新曲を演奏していたこともあって、完成した曲を生でプレイするのは難なくという感じでしょうか?

ニック:そう、1週間ぐらい小さなクラブをブッキングして、毎晩新しい曲を演奏して、そのままの状態でスタジオに入って、レコーディングしたんだ。アルバム収録曲で、“生”ぽいサウンドの曲は、ほぼライブの延長線って感じなんだ。その方が、しっくりくるんだ。唯一難しかったのは、今話したオートチューンの部分だけだね。生でプレイするのを一番楽しみにしている曲ではあるんだけど、まったくうまくいかないかもしれないし…。

  それに曲って作ってる時に絶え間なく変化する。まずはデモを作って、メンバーがそのデモを学んで、そうするとまた違うものになって、そこで初めてレコーディングする。それをさらにスタジオでいじると、まったく違う曲になる。例えば「All The Way」のベース音は、後から付け足されたものだし。昔のディスコ・ループをエイブルトンに取り込んで、作り込んでいったりしてるから、そこはレコーディングとライブで異なるポイントだね。

写真
2015.10.09 CHK CHK CHK @ EBISU LIQUIDROOM
Photo: TEPPEI

The Making Of Artwork
▲ 「The Making Of “As If” Artwork」

−−今作の制作を通じて、他にも新たな、または意外な発見はありましたか?

ニック:今話した「All The Way」では、ゴーマンのヴォーカルにエフェクトをかけたパートもあって、それは今までやったことがないことだったし…。ダンス・ミュージックを掘り下げていくことで、発見することもたくさんあった。些細なことで、言葉で説明をするのが難しいんだけど、ハイハットを入れる瞬間とか、キック・サウンドを効果的に取り入れる方法とか。特にクラブ・ミュージックを聴いていると、ドロップやベースを入れるタイミングによって曲の印象が大幅に変わってきたりするから。それと、今作はほぼ自分たちでプロデュースを行ったから、これまでで一番多くのことを学んだレコーディングだったとも言える。

−−次のアルバムも自分たちでやってみようと、既に考えてますか?

ニック:難しいところだな~。これまで様々なプロデューサーと仕事をしてきて、どんな課題にも挑戦し、どんな環境であれ適応できるし、自信もついた。プロデューサーと一緒に仕事をするのって、恋に落ちるみたいな感じで、両者の絆が不可欠になってくる。

−−前作を手掛けたジム・イーノとは相性がピッタリでしたしね。

ニック:そうなんだよね~。彼みたいな人材と出会えれば、一緒にやってもいいと思うけど、じゃなかったら、自分たちだけでもやれるだけのスキルが身につけた。パトリックともいい関係が築けてるし、ジムとも今後また機会があれば色々実験してみたいね。

−−では『アズ・イフ』のアルバム・ジャケットに起用されているモンキーのクリスタルちゃんとの撮影秘話を教えてください。

ニック:彼女は、俺がこれまでで一緒に仕事をした中で、まぎれもなく最大のビッグ・スターだった!

−−ディーヴァではなかった(笑)?

ニック:そこは俺も懸念してたけど、まったくそうじゃなかったね。本当にスウィートで、地に足が着いてて(笑)。すぐに仲良くなって、俺の腕や肩に上ってきた。モンキー同士がハングアウトする時、毛づくろいをするらしいんだけど、俺の肩に座って、しきりに毛づくろいしてたよ。あと、俺の指の間から何かをほじってたけど、「人間には見えない何かが見えてるのか?」って感じで可笑しかったな。

−−あのなんとなく小生意気なポーズは、まさにアルバム・タイトルを写真で表した、という感じですよね。

ニック:あのイメージは既に頭の中で固まっていたから、ピッタリなショットに辿り着くまで、結構時間がかかったんだけど、十分に満足がいくものに仕上がった。これまでで最高に俺たちらしい作品になったと思う。サウンドはもちろん、ジャケットにはモンキーもいるし、極まりなく!!!らしいレコードだ。目指すところは、自分もファンになれるようなアルバムを作り、アーティストになること。リスナーにとって、俺自身が尊敬するアーティストのような存在になりたいんだ。

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  2. ぶっちゃけ完成した作品を聴いてみて、こんなにも曲がバラバラだ、
    と感じたのは今回が初めてなんだ
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ぶっちゃけ完成した作品を聴いてみて、こんなにも曲がバラバラだ、
と感じたのは今回が初めてなんだ

Sick Ass Moon
▲ 「Sick Ass Moon」 (Audio)

−−ダンス/クラブ・ミュージックというフォーカスがありながらも、非常に多様性のある作品に仕上がっています。これだけ個性豊かな曲が揃っていると一貫性のある作品に仕上げるのは難しかったのでは?

ニック:興味深いのが、『ラウデン・アップ・ナウ』(2004年)のプロモーションのために初めて日本に来た時のこと。俺たちはあのアルバムに多様性を持たせることにすごくこだわったんだけど、話した人全員に「いや、どの曲も似たり寄ったりだよ。」って言われて、「え?マジかよ?」って、困惑したのを覚えてる。だから、その時からアルバムに似た者同士な曲は収録しないことを目標として掲げてきた。曲がお互いからどんなにかけ離れていようと、作っている人間が同じだから、そこから自ずと一貫性は生まれる。ぶっちゃけ完成した作品を聴いてみて、こんなにも曲がバラバラだ、と感じたのは今回が初めてなんだ。だから、一貫性があるかどうかは俺にもよくわかんない(笑)。

 その故、トラックリストを考えるのは、これまた挑戦だったね。アルバムは好きだけど、この1曲だけはちょっと…、って言われても理解できる。例えば「I Feel So Free (Citation Needed)」は、「Every Little Bit Counts」とはまったく違うタイプの曲だし、曲ごとに好き嫌いが別れるアルバムだとは認識してる。

−−逆に今の世代に合っているアルバムなのかもしれないですね。特にジャンルにおいては、何か一つにこだわるというよりは、雑食的なリスナーが増えているので。

ニック:うん、それは俺らの思惑でもある。それと、今の子たちって、アルバムから何曲か聴いただけで、すぐに飽きちゃったりするじゃん?俺はアルバムを一つの作品として聴く世代だから、もちろん一つの作品として聴いて欲しいし、そういう目的でアルバムを作ってる。でも、今の子たちの感覚も理解できるから、難しいバランスだな。

写真
2015.10.09 CHK CHK CHK @ EBISU LIQUIDROOM
Photo: TEPPEI

−−今作には“自由”という言葉が度々登場しますが、キャリアを重ねる上で、その定義というものは年々変ってきていますか?

ニック:どんなことをやっても構わない、何でも手に入れることができる、と昔は思っていたけど、歳を重ねるとともに、世界が狭まってきたような気がした…。

−−具体的には?

ニック:友達を失ったり、友情にヒビが入ったり…それにバンドとしての成功、どこが頂点なのかってこと。俺たちは無敵だ、と思っていた時期もあった。色んな雑誌の表紙になったり…でもそれがすべてじゃない、ってことに気づいて、自由を求めて、もがきまくってた。自由とは何か、という葛藤。今作はその葛藤を描いたものなんだ。自分のため、そして自分の夢のために戦うこと。

−−その“戦い”は尽きないものだと感じますか?

ニック:もちろんさ。じゃなきゃ、退屈だし、いい作品も作れない。アルバムってのは、自分の苦闘をサウンドとして捉えたものなんだ。苦悩に満ちたアーティスト像というのが存在するのもそれが理由。悲嘆に明け暮れ、ドラッグ漬けになる必要はないと思うけど、いい作品を作るために、ある程度の苦闘は必要だと思う。

−−誰もハッピーな人間によるハッピーな曲は聴きたくないと(笑)。

ニック:アハハ(笑)。それで思い出したけど、ファレルの「Happy」は、俺の心にまったく響かないんだよね。でも、子供がいる友達に、子供が気に入ってるから大好きだ、って返された時に、俺ってマジで卑屈で、嫌なヤツじゃん、って思ったよ(笑)。

 このアルバムには、喜びのフィーリングも多少は織り混ぜられてる。例えば「Every Little Bit Counts」は、サウンド的にはアップビートで、ハッピーだけど、内容はダークで、今話してた苦悩について…幸福を得るための苦闘についての曲なんだ。

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    ムーブメントの一員として一括りにされること
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俺が一番嫌煙してるのは、未だに00年代当時の
ムーブメントの一員として一括りにされること

−−チック・チック・チックは、最強のライブ・バンドとして、その名を馳せてきましたが、そのレッテルが重荷に感じることはありますか?

ニック:今は、まだ大丈夫だけど、ぶっちゃけ今後のことを考えると、少し不安だな。俺は、ダイナミズム溢れるフロントマンとして知られているし、過去のライブを上回るようなパフォーマンスを毎回心掛けている。けど、今後体力が衰えてきて、これまでみたいなライブが出来なくなったらどうしよう、って思うことはある。今回、東京では1日で2公演やる。時差ボケもまだ残ってるけど、そんなことは関係なく、最高のショーにしたいと思ってる。いずれ期待に応えられなくなる日はやってくるし、その時のことを考えると怖い。でも、現状のパフォーマンスにはプライドを持っているから、今のところは大丈夫だな。

−−2000年代中盤にチック・チック・チックとともにシーンを牽引してきた仲間や同志のバンドで今も活動しているバンドは少くなったと感じるのですが、その現状についてどう考えますか?

ニック:考えてみたことないな。対外のバンドは、自分たちのユニークさを追求していて、唯一無二の存在になることを望んでる。俺は、新しい音楽やバンドが好きだし、今のシーンの一員になりたい。そういったバンドが、俺たちの音楽を気に入り、同志だと思ってくれることを望んでる。スタイル面においては、俺たちだけのユニークさというものがあるから、その点ではリスペクトされたいと思うし。俺が一番嫌煙してるのは、未だに00年代当時のムーブメントの一員として一括りにされること。それってつまんないし、俺がリスナーだったら、そんな昔の音楽聴きたくないし、興味もないから。

−−てことは、最近のポップ・ミュージックやカルチャーにも興味を持っているんですか?

ニック:最近の音楽を聴きすぎだから、もっと昔のも聴かなきゃ、って我ながら思うぐらいにね(笑)。何を訊かれても答えられる自信があるよ!テイラー、ニッキー、ドレイク、カニエ…最新の情報は常にチェックしてて、誰がイケてて、誰がイケてないか、ちゃんと把握してるし、ポップ・ミュージックが好きだ、って胸を張って言える。理解できなくなる日が来るのが怖いね。俺なりに、可能な限りオープンであろうとしてるから。たまに、「何でこんな曲が流行ってるんだ?」って最初は理解できないこともある。これまでハマったポップ・ミュージックの中で、最初は抵抗があっても、次第に好きになっていったことは何度もある。それは、俺が小さい頃もそうだった。聴いたばかりの時は「え、くだらない~。」とか思うんだけど、誘惑に勝てなくて、じきに好きになっていくんだ。

写真
2015.10.09 CHK CHK CHK @ EBISU LIQUIDROOM
Photo: TEPPEI

−−それがポップ・ミュージックの醍醐味でもありますからね。

ニック:その通り。大衆が理解し、共感できるのがポップ・ミュージックだから。中には、クソみたいなものもあるし、素晴らしいものもある、ってこと。

−−では、トレンドが下火になりつつあるも、一向に音楽シーンから消えないEDMはどうでしょう?聴き手をダンスさせるというコアはチック・チック・チックの音楽性と共通していますが、EDMは機械的で、“加工”された音楽ですよね。

ニック:俗にEDMの代表曲と言われてるのは理解できないものが多いね。でも、俺には到底理解できないものなのかもしれない。EDMの3大要素は、キラキラしてて、エネルギッシュ、そしてアドレナリン・ラッシュが感じられるというものだ。それって、俺ぐらいの年齢のリスナーに向けられたものじゃない。例えば、へヴィメタにハマるのって、俺の歳じゃ、あんまりないことじゃん?だって、怒れる若者の音楽だから。EDMも同じで、モーリーをやってる20歳ぐらいの若者のための音楽だ。それはそれでクールだと思うから、別にディスりたくはない。ここ数年のロックンロール・シーンは退屈だし。その世代、世代で共鳴できる音楽は必要だと思う。大人には理解できない、その世代だけのための音楽が。

−−因みに、ニックの世代にとって、共鳴できる音楽は何でしたか?パンク?ヒップホップ?

ニック:俺たちの世代はヒップホップだね。パンクは、俺が5歳ぐらいの時だから、聴くにはまだちょっと若すぎ…(笑)。でも、俺にとってパンクやその精神は重要だったよ。俺がパンクにハマりだしたのは、ニルヴァーナとかあの辺のパンクの第2ウェーヴがやってきた時だった。

 でも、当時俺のお袋が一番嫌いだったのはラップ。弟の誕生日にパブリック・エネミーのテープを買ってあげたんだけど、“マザーファッカー”っていう単語は女性差別だから、返品してこいって言われたんだ!俺の両親が、悪影響を与えると思って最も恐れた音楽(笑)、それがラップなんだ。

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