Special
あなたの知らないネイザン・イースト~Billboard Live来日記念特集~
類まれなセッション・ベーシスト、そして作曲家やバック・シンガーとしても、これまで数百という作品に参加してきたネイザン・イースト。2014年の来日記念特集にもあるように、エリック・クラプトン作品への参加やフォープレイとしての活動など、既に多くのリスナーに知られている作品も多い一方で、その参加自体があまり知られていないものも数多く存在する。今回はネイザン・イーストの参加作品の中から、そんな知られざる作品をセレクト。その聴きどころとともにお送りしたい。 8月の来日公演の予習に、その音楽家としての奥行きをぜひ感じて欲しい。
福原美穂、Nao Yoshiokaのコメントも公開!
Rickie Lee Jones 『The Magazine』(1984)
自らの名前を冠した79年デビュー作の“気だるい”表情とともに広く知られるリッキー・リー・ジョーンズ。そんな彼女の84年の3rdアルバムにネイザン・イーストは参加している。ネイザンのジョーンズ作品への参加は「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」のカバーで知られる83年のEP『Girl at Her Volcano』に続き2回目となる。
本作は何度かのセッションに分けてレコーディングされたようで、ネイザンはスティーブ・ガッド(ドラムス)と同じ4曲に参加。特に、曲のアウトロでハジ―・フェイトンのカッティング・ギターやジェリー・ヘイがアレンジを手掛けたホーン隊との鮮やかなコンビネーションが堪能できる「リアル・エンド」や、メロウなヴァース部とスウィング感のあるコーラス部をスムーズに移行する名曲「ランアラウンド」などで印象的なプレイを披露している。
Bryan Ferry『Taxi』(1993)
90年代、ネイザンはブライアン・フェリーのソロ・アルバム2作に参加している。その1枚目である『タクシー』はスクリーミング・J・ホーキンス、キャロル・キング、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドなど幅広いアーティストの楽曲のカバーに取り組んだ作品として、ファンに根強い人気を誇る。プロデューサーはプロコル・ハルムのロビン・トロワーがつとめている。
ネイザンはアルバムの全10曲中9曲に参加、シンプルな構成の曲が多いこともあり、全編で抑制的かつファンキーなベース・ラインを提供している。全曲捨てがたいが、オススメはアルバム1曲目の「アイ・プット・ア・スペル・オン・ユー」。特にダフト・パンクの『ランダム・アクセス・メモリーズ』以降ネイザンを知ったファンには“おなじみ”のディスコ・グルーヴが体感できる。ネイザンはフェリーの次作『マムーナ』(ブライアン・イーノPRD)にも参加し、あのピノ・パラディーノとベースを分けている。
Usher『My Way』(1997)
ベイビーフェイスとの繋がりを考えれば驚くことではないのかも知れないが、あのアッシャーの2ndアルバムにもネイザンは参加している。次作『8701』(2001年)での大ブレイクを前に、この頃のアッシャーは、サウンド面やファン・ベースの構築も含めてスター街道への土台を築き上げている時期。それでも『My Way』は米ビルボードチャートで4位という好成績を残している。
ジャーメイン・デュプリがプロデュースしたアップテンポな曲が並ぶなか、ネイザンがベースを弾いたのはベイビーフェイスのプロデュースのミドル・バラード「Bedtime」。シンプルなドラムのビートに対し、細かくシンコペーションするベースで、さり気なくアクセントをつけており、ポップス畑のミュージシャンに重宝されるプレイヤーとしてのセンスと経験を発揮している。
Justin Timberlake『Justified』(2003)
同じく現代のポップス/R&Bのシーンを代表するミュージシャンであるジャスティン・ティンバーレイクのアルバムにもネイザンは参加している。本作はイン・シンクを脱退したティンバーレイクがソロ・アーティストとして踏み出した記念すべき1枚。アルバム全体をファレル・ウィリアムズ率いるネプチューンズとティンバーランドがプロデュースし、ジャスティンのそれまでのアイドル的なイメージを払拭する先鋭的な作品として高評価を得た。
そんな中、ネイザンが参加した唯一の曲「スティル・オン・マイ・ブレイン」はハーベイ・メイソン・ジュニアが作曲を手掛けた、ややクラシカルかつジャジーな感触のバラード。ここでのネイザンは、リズム面のアクセント付けはキーボードに委ね、リズムのボトムを支えるじっくりとしたベースを弾いている。かと思えば、サビの付近ではメロディアスなフレーズも聴かせ、徐々にゴージャスに盛り上がっていく曲を(あくまでさり気なく)サポート。“隠れた名曲”という言葉に相応しい佳曲だ。
Robbie Williams『Swings Both Ways』(2013)
“2013年のネイザン・イースト”と言えば前述のダフト・パンクとのコラボが有名だが、意外と知られていないのが、このロビー・ウィリアムズの『Swings Both Ways』への参加。ロビーにとって、2001年の『スウィング・ホェン・ユーアー・ウィニング』以来2枚目の“スウィング”作品である本作は、アーヴィング・バーリンの「Puttin' On the Ritz」や映画『ジャングル・ブック』の「I Wan'na Be Like You」などのスタンダード・ナンバーを中心とした作品。リリー・アレン、ルーファス・ウェインライトなど豪華なゲストも印象的なアルバムだ。
本作でネイザンは「Shine My Shoes」「Go Gentle」というロビー・ウィリアムズ自身のペンによるオリジナル曲のベースを担当。豪華なホーン隊をフィーチャーしたビッグバンド・サウンドの中、スウィングのマナーに従ったウォーキング・ベースを軸に、『ランダム・アクセス・メモリーズ』とは異なる形で、生演奏のベースの魅力を発揮している。
公演情報
ネイザン・イースト
[ゲストシンガー]福原美穂、Nao Yoshioka
ビルボードライブ東京
2015年8月10日(月)・12日(水) ゲストシンガー:福原美穂
1stステージ開場17:30 開演19:00
2ndステージ開場20:45 開演21:30
2015年8月11日(火) ゲストシンガー:Nao Yoshioka
1stステージ開場17:30 開演19:00
2ndステージ開場20:45 開演21:30
⇒詳細はこちら
ビルボードライブ大阪
2015年8月13日(木) ゲストシンガー:福原美穂
1stステージ開場17:30 開演18:30
2ndステージ開場20:30 開演21:30
2015年8月14日(金) ゲストシンガー:Nao Yoshioka
1stステージ開場17:30 開演18:30
2ndステージ開場20:30 開演21:30
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福原美穂 コメント
私がこれまで影響を受けた数多くの楽曲の中で、ベースを弾いていたのがネーザンイースト。
今になっても「この曲も?あの曲もか。」と驚かされることがあります。
そんな彼と初めて会ったのは2014年春、彼のアルバムのインナーパーティーでのこと。
本当に気さくで優しく、世界で活躍する彼の魅力がそのまま音楽になっていることを実感しました。
8月の公演、今からとても楽しみです。この機会に音楽の中で学べることを、彼からたくさん学びたいと思います
Nao Yoshioka コメント
私が10代のころ、アーティストとして活動する前によく聞いていたホイットニー・ヒューストンの「Greatest Love of All」。
この名曲のクレジットには、ネイザンの名前がありました。当時はそのグルーヴに身を委ねつつも強くは意識していなかったんですが、 今思えば私に影響を与え、今の私を形作るのに必要不可欠なアーティストや楽曲を支えていたのはまさに彼のベースだったんです。
そんな憧れのような存在であるネイザンと今ではYAMAHA MUSIC COMMUNICATIONSでレーベルメイトなんて、ここにも運命を感じています!
今回ネイザンとステージでの共演が出来ると聞いたときは本当に嬉しかったし、とても光栄に思っています。
広い意味での出会いはそれこそホイットニーの楽曲を聞いていた10代のころなんですが、実際にネイザンご本人と直接お会いしたのは 去年のアルバムリリースの来日公演の時でした。初めて生のパフォーマンスを観させていただいたんですが、大盛り上がりで最高でした!
そしてご本人にもご挨拶させていただいたんですが、演奏の温かさはここから来ているんだなーと思うほど、ネイザン本人も温かで柔らかな人柄が素敵な方でした。
私が大好きで影響を受けた楽曲を支えるベースを弾いていたネイザンと、一緒に演奏できるなんて夢のようです。
音楽は生き物なので、ネイザンのプレイで楽曲がどう変化するのか、私自身もどんなパフォーマンスになるのか、 きっと私が想像しているよりももっと凄いものをお見せできるんじゃないか、そんなことを考えるだけで本番が楽しみでしょうがないです。
ぜひそのステージ、その瞬間しか感じることのできないスペシャルな空気と音楽を感じていただきたいです!
公演情報
ネイザン・イースト
[ゲストシンガー]福原美穂、Nao Yoshioka
ビルボードライブ東京
2015年8月10日(月)・12日(水) ゲストシンガー:福原美穂
1stステージ開場17:30 開演19:00
2ndステージ開場20:45 開演21:30
2015年8月11日(火) ゲストシンガー:Nao Yoshioka
1stステージ開場17:30 開演19:00
2ndステージ開場20:45 開演21:30
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ビルボードライブ大阪
2015年8月13日(木) ゲストシンガー:福原美穂
1stステージ開場17:30 開演18:30
2ndステージ開場20:30 開演21:30
2015年8月14日(金) ゲストシンガー:Nao Yoshioka
1stステージ開場17:30 開演18:30
2ndステージ開場20:30 開演21:30
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NATHAN EAST
2014/03/19 RELEASE
YCCW-10217 ¥ 2,750(税込)
Disc01
- 01.101 イーストバウンド
- 02.サー・デューク
- 03.レター・フロム・ホーム
- 04.ムーンダンス
- 05.アイ・キャン・レット・ゴー・ナウ
- 06.ダフト・ファンク
- 07.セヴンネイト
- 08.キャント・ファインド・マイ・ホーム
- 09.ムードスウィング
- 10.オーバージョイド
- 11.イエスタデイ
- 12.ファイナリー・ホーム
- 13.マディバ
- 14.アメリカ・ザ・ビューティフル
- 15.フォー・オン・シックス -日本盤ボーナストラック-
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