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デヴィッド・T.ウォーカーとモータウン 来日記念メール・インタビュー
モータウン黄金期を支えた世界一ソウルフルなギタリスト、デヴィッド・T.ウォーカー。そんな彼が行う久々の来日公演は“plays 「MOTOWN CLASSICS」”。彼自身のキャリアにおいて非常に重要な役割を果たしたモータウンの名曲に焦点を合わせたスペシャルな公演となる。今回はそんな彼にメール・インタビューを行い、モータウンの思い出やお気に入りの作品について話を聞いた。そのジェントルな人柄に触れる丁寧な受け答えにもぜひ注目して欲しい。
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デヴィッド・T.ウォーカー 来日直前特集(2013)
「Ooo Baby Baby」は演奏するつもりだけど、他の曲は教えられないな。
トップ・シークレットだからね:)
――今回“モータウン・クラシックス”にフォーカスしてライブを行おうと思ったのはなぜですか?
デヴィット・T. ウォーカー(以下DTW):公演の内容についてビルボードと話をしてた時に、“今度はモータウン時代の音楽をプレイするのはどう?”っていう話になったんだ。すごくいいアイデアだと思ったよ、だって60年~80年代にかけて、僕はモータウン所属のアーティストやグループと共に音楽活動していたし、僕がモータウンの裏方として些細な貢献をしてきたんだってことを日本のファンは知っているからね。実をいうと、これまで自分の作品や他のアーティストの作品でモータウン・クラシックを演奏してきたことはあったんだけど、モータウンに捧げるライブっていうのは、このビルボード公演が初めてなんだよ。
――ライブのセットリストはどのようなものになりますか?
▲Smokey Robinson and The Miracles - Ooo Baby Baby
DTW:まず、自分の曲でショーをスタートさせて、その後、モータウンのクラシック曲を演奏しようと思ってるよ。僕の好きな、スモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズの「Ooo Baby Baby」は演奏するつもりだけど、他の曲は教えられないな。トップ・シークレットだからね:)
――いま振り返って、モータウンというレーベルはどのような場所だったと思いますか?
DTW:僕にとってモータウンは、自分の音楽が評価され認められた場所だった。たとえそれがどんな音楽だとしてもね。今まで数えきれないほどのアーティスト、プロデューサー、編曲家ら音楽関係者たちと仕事をしてきたんだけど、僕が彼らに仕事を依頼された理由は、彼らが僕のクリエイティブな感性や個性、直観を必要としていたからなんだ。だから、今まで自分の担当するパートを振り当てられたり、指示されたりしたことはなくて、音楽を聴いて心で感じたままに演奏した。だから、実は譜面も持っていないんだよ。davidtwalker.comでこれまで僕がレコーディングに参加したアーティストのリストが載っているから、ぜひチェックしてほしいね。
――オクラホマ出身のあなたがモータウンのレコーディングに参加するようになったのはどのような経緯からだったのでしょうか?
▲Martha Reeves & The Vandellas - Nowhere To Run
DTW:僕はオクラホマ州のタルサで生まれたんだけど、2歳のころに家族全員でカリフォルニア州に引っ越した。ギターを始めたのは16歳の頃。高校の同級生と一緒にキンフォークスっていうバンドを結成して、アーティストのライブ出演の為にアメリカ中を駆け巡ったんだよ。1965年にマーサ&ザ・ヴァンデラスがバックバンドを募集していて、それを機に彼らと一緒にライブ・パフォーマンスをすることになったんだ。その後デトロイトに拠点を移動してモータウン傘下のアーティスト達と知り合うようになったんだ。彼らのアルバム参加し始めた頃から僕の人気も上がっていったんだよ。
どんなジャンルの音楽であっても、
感じたものをそのままプレイすることができるんだ
――モータウンの仕事で関わった中で、特に印象的なミュージシャンがいたら教えてください。
DTW:印象的な人はたくさんいるけど、名を挙げるとしたらマーヴィン・ゲイ、ダイアナ・ロス、ジャクソン5、スティーヴィー・ワンダー、それにこれまで一緒に仕事した作詞家、プロデューサーや作曲家の人達だね。
――当時モータウンに出入りしていた他のスタジオ・ミュージシャンからは何かインスピレーションを受けましたか?
DTW:友人で、ベーシストとして名高いジェームス・ジェマーソンからたくさんインスパイアを受けたよ。それにプロデューサー達からもいろいろと影響を受けたね。
――ジャクソン5のアルバムにはどのような経緯で参加したのでしょうか?
DTW:ダイアナ・ロスとベリー・ゴーディが、ジャクソン5の作品で何か新しいサウンドを打ち出したいと考えて僕が彼らの作品で演奏するようになったんだ。「帰ってほしいの」や「ABC」、「小さな経験」、「アイル・ビー・ゼア」や「ネヴァー・キャン・セイ・グッドバイ」なんか、沢山のヒットソングを収録したアルバムでプレイできたことをすごく光栄に思っているよ。
――モータウンなどでポップス向けにプレイする時と、ブルーノートなどでジャズ向けにプレイする時で、何か意識は違いますか?
DTW:僕はいつも、これまで培ってきたゴスペルやブルース、R&Bやジャズの要素を演奏に取り入れているから、それがどんなジャンルの音楽であっても、感じたものをそのままプレイすることができるんだ。だから僕にとっては特に違いはないんだよ。
――当時あなたがモータウンのためにレコーディングしたプレイで特に気に入っているものがあったら教えて下さい。
DTW:マーヴィン・ゲイの作品が好きだね。音楽が持つ感情をストレートに歌う彼の表現と、実生活を基にしたリアルな歌詞に惹かれるんだ。
――もし、これからモータウンの音楽を初めて聴く人がいたら、あなたはどの作品をオススメしますか?
▲Marvin Gaye - What's Going On
DTW:マーヴィン・ゲイの『ホワッツ・ゴーイン・オン』をおすすめするね。
――最後に、日本のファンにメッセージをお願いします。
DTW:親愛なる日本のファンの皆さんや友達へ
日本のお客さんやファンの皆は、僕の音楽とスピリットを深く理解してくれていて、すごく嬉しく思っているよ。皆の親切心と愛情と応援に心から感謝しているよ。皆の人生が愛と慈しみに溢れ、そして寛容でありますように! 8月のビルボードライブで会えることを祈っているよ!
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