Special
BiS 『IDOL』インタビュー
過激でセンセーショナルな展開を繰り広げてきたBiSの頭脳 渡辺マネージャーを降板させるきっかけ、BiS変革の要因となったメンバー ゆっふぃーことテラシマユフ。今思えば、デビュー当時から様々な“距離感”を感じていた彼女だが、何故ここに来てブログで本音を暴露し、BiSの在り方を変えようとしているのか。
……それは、すべて渡辺マネージャー考案の“釣り”プロジェクトに乗じてのことだった訳だが(詳しくはこちら )、今回のインタビュー“完全版”に残された言葉は“釣り”を前提として語られたものではない。ゆっふぃーがストーカー気質であることも、ユケがきっかけで変われたことも、自分の全部が嫌いなことも、全裸で樹海を走りたくないことも、BiSにももクロに負けないスキルを持たせたいことも、マイナスを見せずにポジティブなところを見せたいことも、多くの人に知ってもらう為のアクションを起こしたいことも、渡辺さんが理解できないことも、リアルである。
が、BiSが『IDOL』PVを公開するまで解禁できなかったラストシーン+αが存在する為、この“完全版”でもってお届けしたい。
辞めたかった加入時~変われたのはユケのおかげ
--実際のところ、ゆっふぃーはストーカー気質なんでしょうか?
ゆっふぃー:多分、そうですね。高校生のときに好きな人がいて。高2のときに同じクラスだったんですけど、高3で違うクラスになっちゃったから、その彼のクラスの時間割とかチェックして「何曜日の何限目はウチのクラスの前通る!」みたいな。フフフ!
--笑って話していますが、結構怖い話ですよ。
ゆっふぃー:サッカー部の人だったんで、校庭を見て「今日いる」みたいな。基本的には何時に練習終わるとか、ちゃんと知っているんですけど(笑)! それを見計らって下駄箱に行くんです。タイムスケジュールはすべて把握していました。
--さすがに後をつけたりはしないよね?
ゆっふぃー:ついてはいかな……あ、でも、偶然を装って、朝の通学の電車が一緒だったんで、時間を合わせたり。でも話し掛けない、みたいな。
--ほぼアウトですね。
ゆっふぃー:アハハ! 困ったな(笑)。
--プー・ルイ(リーダー)は「ファンの人にもソクバッキーですからね」と言っていましたが、私だけを見てほしい欲求は強い?
ゆっふぃー:うーん……強いかもしれない。でも私は好きな人をストーキングしても、付き合いたいとは思わないタイプなんですよ。見ていれば、幸せ。だから研究員(BiSファンの総称)さんのツイートとかも、見ているだけで幸せなんですよ。
--健気ですね、と言いたいところですが、やっぱり不気味です。ただ、ゆっふぃーってそうした本性をデビューしてしばらくは一切見せなかったよね?
ゆっふぃー:余計なことを言って、BiSに迷惑を掛けるのは申し訳ないと思っていたから。インタビューとかで私がポロって言っちゃったことで、BiS自体が叩かれたりしたらマズイんじゃないかと思って、何も言えなかった。
--BiSに入ってすぐ「辞めたい」と言ったそうですが、それはどうして?
ゆっふぃー:『My Ixxx』のPVを観たりとか。あとは、最初のお披露目ワンマンライブの特典が“パンツにサイン”だったんですね。それで、私はそういうことに免疫がなかったので、このテンションでは続けられないぞと思って、お披露目する前に消えた方が良いんじゃないかと。もうその時点でレコーディングとかしていたんですけど、渡辺さん(BiSマネージャー)に電話して……。
--辞めたいと。
ゆっふぃー:でも必死に止められて。それで、歌とかダンスをやっていきたい気持ちはあったので……あと、渡辺さんが「これからどんどん正統派に戻るから、大丈夫だよ」って言っていたから。
--酷い嘘をつかれた訳だ。
ゆっふぃー:そのときは疑う気持ちを持っていなかったので(笑)。
--BiSでデビューする前、ライブハウスで歌っていた頃はアイドルじゃなく「歌い手でいたかった」と言っていましたよね(BiS『My Ixxx』リリース時インタビュー)。
ゆっふぃー:ライブハウスで一緒にやっていた人たちはアニソンを歌っていて、私も歌ったんですけど、アニソンは曲自体で盛り上がるから、別にそれを歌うのが私じゃなくてもよかったんですよね。それが寂しかったから、オリジナルや普通のJ-POPとかを歌って。全然ウケなかったんですけど(笑)。あと、アイドルに関しては、モーニング娘。のオーディションが17才までだったりしたので、自分には無理だと思い込んでましたね。それで、アコギ部だったんで、ギター弾きながら歌ってみるのも良いなと思ったり……自分、ギター、超下手なんですけど。
--ゆっふぃーの弾き語り、ちょっと聴いてみたいです。
ゆっふぃー:とてもじゃない(笑)。あと、演歌も好きなので、アイドルとしては年齢高いけど、演歌歌手だったらいけるかもと思ったりとか。いろんな方向性を考えていましたね。とにかく何でもいいから歌手になりたいと思っていた。
--それなのに、BiSは無理と思ったんだ?
ゆっふぃー:BiSは想定外だったんです。スケジュールがすごくハードであるとか、ダイエットしなさいとか、そういうのは全然耐えられたと思うんですけど、BiSのやっていることは、それまで20年間生きてきた自分にとってあり得ない選択肢というか、ノリだった。だから心が折れましたね。
--それに対して当然面白くないプー・ルイたちがいて。楽屋ではひたすら勉強するしかなかったみたいですね。
ゆっふぃー:そうですね。でも会話がないのは今も同じなんですよ。それがBiSにとっての普通の状態。でも加入当初はそれを知らなかったから、楽屋で同年代の女の子が4人(当時は現メンバー(プー・ルイ、のんちゃん、ゆっふぃー)以外にユケという特攻隊長がいた。2011年大晦日に脱退)も集まっていて、すごく静かなのは私がいて話しづらいからだと思って。本当は仲良いんじゃないかって。
--本当は仲悪いんじゃないかと疑うことはあっても、仲良いんじゃないかって疑うことはあんまりないよね(笑)。
ゆっふぃー:ただ、あの時期は、私に対してみんなイライラしていたと思うし、私もどう接していいか分からなかったし、すごく空気は悪かったと思います。しょうがないから勉強していました。
--でも、ゆっふぃーはどんどん積極的になり、ツイッターではファンとどんどんコミュニケーションを取り、全国各地のゆるキャラたちを手のひらで転がし、ステージではボーカルのソロパートはもちろんダンスパートも獲得し、ユケの専売特許だったダイブも繰り広げ、今やBiSにとって欠かせない存在になりました。何がゆっふぃーをここまで変えたんでしょう?
ゆっふぃー:うーん……多分、ユケさんと仲良くなったことが大きかった。メンバーの中でいろんなことを話せる人ができたから、そのノリで他のメンバーとも話せるようになって。あと、意外と突っ込んだことを言っても大丈夫だと気付いて、自分の好きなことや好きなものについて話せるようになりました。最初は、私生活は優等生じゃないのに(笑)優等生キャラを与えられたから、とりあえず大人しくしたり、自分なりに演じていたんですけど、だんだんそれを気にしないようになったのかな。
Interviewer:平賀哲雄|Photo:佐藤恵
性格は相当悪いと思います。自分の全部が嫌いです。
--ユケの話が出ましたけど、何がきっかけで仲良くなれたんでしょう?
ゆっふぃー:ototoyさんの企画で、夏休みの自由研究というのがあって、ユケさんと私がペアになって恋愛の歌詞を書いたんですよ。そうなると、お互いの恋愛観とか話すじゃないですか。ユケさんと私の恋愛観は全然違くて(笑)それが面白くて、話すのが楽しくなっていって。それからだんだん仲良くなったので、愚痴とかも言えるぐらいになって……っていう感じでしたね。最初はのんちゃんとすごく仲良かったんですけど、それはプー・ルイさんとユケさんが怖かったからで。
--若干、ヤンキー臭もするしね。
ゆっふぃー:そうですね(笑)。でものんちゃんは最初からホワーンとしていたので、仲良くなれた。ただ、のんちゃんはBiS以外の話はしないから、メンバーの中でBiS以外の話をできたのはユケさんが最初だったんです。だから辞めちゃうときは寂しかったですし、ユケさんはすごく心配してくれていました。自分が辞めた後のことを。
--ゆっふぃーがどうなっちゃうのか?
ゆっふぃー:そう。で、プー・ルイさんの相談もユケさんが聞いていたから、橋渡しの人が居なくなっちゃうというところで、今後のことをすごく心配しながら去っていきました。
--今は3人で活動している訳ですけど、どうすればメンバーともっと仲良くなれると思いますか?
ゆっふぃー:うーん、最近は今ぐらいの状態が良いのかなって思い始めてきて。仕事仲間じゃないですか、一応。友達ではないから、なあなあの仲になってもいけないし、これぐらいでいいのかなって思っています。
--では、聞きたいんですが、仕事としてやっていく以上は他のメンバーより人気を集めたいとか、あの人には負けたくないとか、そういう想いってあります?
ゆっふぃー:そこはあんまり気にならなくなってきたかな。去年の秋ぐらいはそれについてすごく悩んでいたんですけど。加入したばかりの頃は、新しいメンバーだからみんな寄ってきてくれるじゃないですか。まだサインもチェキも私のは持っていないから(BiSはライブがある毎にチェキ会など、購入者特典を用意している)それが欲しくて物販に来てくれる。だから最初だけだろうというのは分かっていたんですけど、やっぱりその通りだったんで「今後どうやっていけばいいかな?」って考えた。でもいつの間にか気にならなくなってきた感じですね。
--それは自分のファンが増えたからじゃないの?
ゆっふぃー:どうだろう? でも「ユフちゃん推しです」って言ってくれる人がいることに気付いたのは、関係してるかな。「一応、何とかやっていけるかな?」みたいな(笑)。でも自信はないです。
--唐突な質問ですけど、自分で自分のことを「エグいなぁ」とか「黒いなぁ」って思うことあります?
ゆっふぃー:性格は相当悪いと思います。私は私みたいな人が近くにいたら友達になりたくない。なんで? なんでですかね。だって、感じ悪くないですか?
--(笑)。自分ではどこが感じ悪いと思うんですか?
ゆっふぃー:すべて。自分の全部が嫌いです。よく自分のことを好きそうって言われるんですけど、それも嫌なんですよね。
--じゃあ、どう見られたいの?
ゆっふぃー:謙虚な人間。
--それは無理じゃない? 実際、出たがりじゃん?
ゆっふぃー:そう言われますね。自分ではよくわかんない。自己分析がよく出来ていないんですよ。
--自分を明かしたくないだけじゃなくて?
ゆっふぃー:それはあるかもしれない。本当に性格悪いから、明かしちゃったらファンがいなくなっちゃいます。だから「壁がある」って言われるんですよね。近寄りがたいって。でもとても見せられない。お腹の中、真っ黒ですよ。
--ゆるキャラ好きや丁寧な言葉遣いは、そうした自分の闇の部分に対する反動でもあるんですかね。それでバランスを取っているというか。
ゆっふぃー:わかんないです。
--お腹の中、見せてくれませんか?
ゆっふぃー:(笑)
--では、ここからはBiS運営(渡辺さん)との距離感について掘り下げていきたいと思います。BiSってどんなグループだと思いますか?
ゆっふぃー:アイドルなんですかね? 毎回ライブに来て下さっているような方と、BiSをちょろっと知っている方では見え方が違うと思うんですけど、詳しく知らない人には本当に変なグループだと思われていると思うんですよ。変なこといっぱいしているので。でも近くで見ている人は「いろいろ大変そうだな」って目で見てるんじゃないかな。
--そのBiSの方向性を変える新曲『アイドル』のPVがYouTubeで公開。
ゆっふぃー:あれはすごく照れましたね。楽しかったけど、すごく恥ずかしかったです。
--ゆっふぃーはそのPV公開直後、3/14のブログで、王道アイドル路線へ変更する旨を発表しました。実際のところ、『My Ixxx』のPVのような過激な側面を持っているBiSと、『アイドル』のPVのような過激さのないBiS。どっちが本人的にはやりたいことだったりするの?
ゆっふぃー:前者のBiSの方が好きですね。
--これ、『IDOL』の発売日前に載っちゃうんですけど。
ゆっふぃー:あ、発売日前だとダメです。
--載せちゃって大丈夫ですかね?
渡辺さん:(爆笑)
ゆっふぃー:バレちゃいますよ! 私がやりたいって言ったことになってるんだから(笑)。
--じゃあ、今のところは発売日後に載せましょう。ただ、『アイドル』がやりたいことじゃないとしても、『My Ixxx』のPVみたいなことはやらないよね?
ゆっふぃー:やりません。今だったら「やれ」って言われて出来ちゃうかもしれないんですけど(笑)、やっぱりやらない自分のままでいたい。そういうのをやらない人がこのグループにいることで、普通のアイドルファンを取り込めればいいなって思うようになったかな。
--ということは、ゆっふぃーは自分じゃなくBiSそのものを変えようとしていますよね?
ゆっふぃー:私が入ってからBiSはソフトになってきていますし、ちょっとずつ変わってきたのは事実ですね。渡辺さんが気を遣ってくれているのかもしれないですけど(笑)。
--BiSはアイドルらしからぬセンセーションを追い求めた結果として、デビューから1年以内にリキッドルームのワンマンに1000人集客して、TBS「ライブB」に出演して、GLAYのHISASHIさんまでもがファンになるという、ミラクルを起こしましたよね。楽曲の力や純然たるアイドルとしての力量だけでは、ここまで来られなかった。そこは理解していますか?
ゆっふぃー:理解はしてる。そうやっていろいろやってきたことを「面白い」って評価してもらって、今があると思うから。それはやって良かったこと思いますけど、これからはそういうことをやらなくても売れるようになりたいです(笑)。
Interviewer:平賀哲雄|Photo:佐藤恵
これからのBiS~ゆっふぃーにとっての渡辺さん
--ゆっふぃーもBiSの在り方については、ずっと考えてきたと思うんですよ。その中で「BiSがこうなったらいいな」という理想像は出来上がっていると思うんですが、それはどんなものなの?
ゆっふぃー:もっと幅広い年代だったり、いろんな人に聴いてもらって、好きになってもらえる存在になりたいとは思っていて。今までBiSがやってきたことは、意見がすごく分かれていたと思うんですよ。「超面白い」って言ってくれている人と「絶対ムリ」って言う人と。だからその差を縮めていけたらなって。BiSは私にとっても大切な場所になっているから、そこは頑張っていきたい。
--今日のインタビューで確信したんですけど、ゆっふぃーも戦っているんだよね。ポジティブに生きていくしかないという戦い。それは時として痛々しく映るんだけど、みんなを明るい気持ちにするのも確かで。自分ではどう思います?
ゆっふぃー:自分ではよく分かんないですけど、あんまりマイナスのところは見せたくないとは思っています。それはBiSの活動以外、日常生活でもあるんですけど、悩んでいるところや凹んでいるところをあんまり人に見せたくない。特にBiSの活動だと、一応アイドルだし、ポジティブなことを発信していきたいから。実際、小さいときに観ていたモーニング娘。もそうだったし、アイドルってそういうものだと思うんですよね。なので、BiSがボロボロになっているのを見せるのも面白いとは思うんですけど、私個人としてはポジティブなところを見せたい。
--聞こえは美しいけど、ズルくもあるよね?
ゆっふぃー:私だけ空気が読めていない感じなのかな(笑)。まぁでもみんなでブワァ~って出したら見ている方もツラいから。ひとりぐらいはそういうメンバーがいてもいいかなって、自己弁護しています。
--それって逆にツラくないですか?
ゆっふぃー:ツラいときはあります。いろんな人が「何かあったら相談していいよ」って言ってくれるんですけど、なんか言えないんですよね。そのまま時間が経って、自己解決。もしくはとりあえず流す。
--それでどこまで頑張れるんですかね?
ゆっふぃー:プー・ルイさんが「BiSは2年で解散だ」って言っていたから、それまでは頑張ります!
--解散しちゃうんだ(笑)。じゃあ、2年間で終わらなかったら?
ゆっふぃー:耐えられないかもしれない(笑)。
--ちなみにゆっふぃーのBiSとしての夢って何なの?
ゆっふぃー:いろんな人に知ってもらうこと。みんながちゃんとBiSのことを知っている状態にしたいんです。今、AKB48を知らない人の方が珍しいじゃないですか。そういう風になりたい。
--自分も、冗談抜きにAKB48に一石でも二石でも投じられる存在になって、世の中を振り向かせてほしいと思います。
ゆっふぃー:そうした想いは強いです。
--その為にはどうしていくべきだと思う?
ゆっふぃー:周りと同じことをしていても仕方ないとは私も思うんですよ。でもそれに歌やダンスが劣っていていいとは思えなくて。ステージに立ったときのクオリティをもうちょっと上げないと……今は「不完全なのが可愛い、面白い」って言ってもらえているけど、そろそろそういうレベルじゃなくなりたいなと思っていて。AKB48も最初は振り付けがすごく簡単だったじゃないですか。でも今は振り付けも難しいし、フォーメーションとかも凄いことになっているし、そういった部分で「変わったよね」って思われるようになりたい。
--今の話を聞いていても思ったんですけど、ゆっふぃーはダンスを武器にBiSの中で変化していったよね。実際、ダンスについて一番熱く語っているし、一番踊れるメンバーですし。
ゆっふぃー:私が入った時点でダンス経験者は私しかいなかったから、逆に空気を壊しちゃってないかなって。それは今もなんですけど「変な動きが面白い」って言われている中に、きっちり踊っちゃう人が入ってくると変に目立っちゃうじゃないですか。かと言って、下手に踊るのも違うし。
--そこは全力でいいんじゃないですか。また、そのダンスへの熱を他のメンバーにも求めていけば、ゆっふぃーの理想とするBiSには近づけるよね。個人的には話題作りも大事だと思うけど、涙を誘うぐらいのパフォーマンスを目指していくのは表現者としての基本だと思いますし。
ゆっふぃー:だから練習やレッスンをもっとやりたい。自分たちで振り付けを考えるのも楽しいけど、一度だけでもちゃんとかっちりした振りを付けてもらえたら、変わっていくと思うし。今って出来ない動きとかがあると「難しいから変えよう」ってなっちゃうんですけど、それは違うなと思って。この前の練習でもそういう空気になったので、私が「それは……」ってワガママを言ったんです。
--そのときの空気は?
ゆっふぃー:カチーン。
--やっぱり凍るんですね(笑)。
ゆっふぃー:でも凍るのが怖くなくなってきました。だからダンスに関しては少しずつ変わっていると思う。練習ができるうちにちょっとでもパワーアップして、新メンバーも入ることですし、そこのクオリティは上げていけたらいいなって。私がBiSでやりたいことってそれかもしれない。TBS「ライブB」をメンバーやスタッフの皆さんと観たとき思ったんですけど、後ろ向いて手上げるところが面白いとか、曲が良いとかは言ってもらえても「ダンス、上手い」は誰も言ってくれなかったから(笑)。そういう意味では(東京)女子流ちゃんとかに勝ててないし、ももクロちゃんなんて凄いじゃないですか。振り付け面白いのに、ガッツリ踊っている感も出ているし。あの娘たちは本当に凄い。そうしたアイドルと対等に戦えるようになりたいですね。外でいろいろめちゃくちゃなことをやっていても、ステージがショボいというのは格好悪い。
--ステージがショボいと感じてるんだ?
ゆっふぃー:もっと出来るはずって思います。ダンスもそうだし、最近は生歌も増えてきているから、もっと歌をちゃんとやりたいし。それはプー・ルイさんもそうだと思うんですけど。最近、ダンスの無料体験とか行ってるし。私もプー・ルイさんものんちゃんもこれから入ってくるメンバーも、これから強くなっていくしかないですよね。で、その方向性は違うと思うなら今のままやっていけばいいし、ダンスや歌を磨きたいなら磨けばいいと思うし。とりあえずやってみてダメならやらなきゃいいだけだから。
--そういう話って3人でちゃんとしてるの?
ゆっふぃー:してない……から、これを読んでもらおう(笑)。
--ゆっふぃーがBiSでやりたいことはよく分かりました。では、テラシマユフ個人としての夢は?
ゆっふぃー:小さいときから好きだった歌とダンスをずっとやっていくこと。やっぱりアイドルって寿命があるし、BiSは2年で解散するって言ってるし(笑)、絶対にいつかは終わっちゃうじゃないですか。その後、どうするかっていうのは考えていて。終わった後、すぐ消えちゃうと思うんですよ。BiSみたいに話題性で「面白い、面白い」って言ってもらって大きくなっていくグループは話題が無くなったら終わりじゃないですか。解散って一番大きな話題だと思うし、それを使っちゃったら当然後はないから。そうなったときに生き残るスキルをつけなきゃなって。
--今の答えは、ゆっふぃーの一番素直なところだし、残酷な冷静さでもありますよね。
ゆっふぃー:そうですよね。新メンバーが入るタイミングで申し訳ないんですけど(笑)。
--では、最後に。ゆっふぃーにとって渡辺さんはどんな人でした?
ゆっふぃー:最初はちゃんとしている人だと思ってました。親と一緒に挨拶に行って、私もカタい感じだったからだと思うんですけど、すごくしっかりと説明してくれる人で。なのに、突然『My Ixxx』を出してきて!「なんなんだろう?」みたいな気持ちがどんどん強くなって、ユケさんが辞めるって決まる頃までにはだいぶ嫌いになっていた。あと、スケジュールとか全然教えてくれないんですよ。ほんと、学校とかその他諸々の生活プラスBiSでいっぱいいっぱいなのに、予定が立たないからイチイチ不安になってしまう。そういうところも全然気にしてくれない人だったので、本当に何を考えているのか分からなかったです。
--でも渡辺さんが離れちゃったらBiSはどうなると思います?
ゆっふぃー:ヤバイですよね。仮にこれからアイドル路線に行くことになって、渡辺さんがいなかったら、もう何にも面白くないから。「今まで何だったの?」ってなっちゃう。だから困ると思います。
--困るんだ? ということは、渡辺さんとこれからも一緒にやっていきたい?
ゆっふぃー:そうですね。本当に嫌いだったから、そんな風に思う日が来るとは思わなかったけど(笑)。なので、これからも渡辺さんに頑張ってもらいつつ、私たちもパフォーマンスの質を上げて、もっといろんな人に知ってもらう。知ってもらったときに好きになってもらえるようにしていきたいです。『アイドル』の路線ですか? 撮影は楽しかったですけど、私がメイド服は痛いだろうと(笑)。そもそも私は秋葉原でライブ活動をしていたときから、周りがメイド服を着ていても私は着なかったぐらいなので。あれをやり続けるのは厳しいですね。
--可愛らしかったですけどね。
ゆっふぃー:やっぱり『アイドル』以前のままのBiSの方が格好良いし、面白いし、好きですね。私は裸にはなれないけど(笑)。『アイドル』の路線のまま行ったら、全然面白くないと思います。
Interviewer:平賀哲雄|Photo:佐藤恵
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