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J.D.サウザー 来日記念特集
イーグルスの数々のヒット曲のソングライターとして、また自身では「ユア・オンリー・ロンリー」(1979年)の大ヒットで知られるJ.D.サウザー。5月20日には約4年ぶりとなるスタジオ・アルバム『テンダネス』をリリース、6月には来日公演が決定している彼のキャリアを、70年代のウエストコースト・ロック・シーンを支えたキーパーソンたちを通じて紐解く。
グレン・フライ&イーグルス
ミシガン州デトロイト生まれのサウザーが、1960年代後半にロサンゼルスへと引っ越した際にルームメイトだったのが、同じくデトロイト出身のグレン・フライ。音楽活動をともにするようになった2人はロングブランチ・ペニーホイッスルという名のフォーク・デュオを結成し、1970年にアルバムをリリースしている。グループとしての作品はこれが唯一となるが、フライが翌年にイーグルスを結成し、2人はバンドを介して数々の名曲を世に送り出すことになる。
イーグルスにとって初の全米No.1シングルである「ザ・ベスト・オブ・マイ・ラヴ(我が愛の至上)」(1974年)や、ロック史に残る歴史的名盤『ホテル・カリフォルニア』の先行シングルとして全米No.1を獲得した「ニュー・キッド・イン・タウン」(1976年)などは、サウザーが楽曲制作に参加した代表的な楽曲で、自身のライブでも度々パフォーマンスしている。
クリス・ヒルマン&リッチー・フューレイ
1972年に自身の名を冠したデビュー作『ジョン・デヴィッド・サウザー』が不振に終わったサウザーは、バーズ、フライング・ブリトー・ブラザーズのクリス・ヒルマンと、バッファロー・スプリングフィールド、ポコのリッチー・フューレイというカントリー・ロックの草分け的存在のバンド出身である2人とサウザー・ヒルマン・フューレイ・バンドを結成し、2枚のアルバムをリリースしている。バンドとしての活動はそう長くは続かなかったが、カントリー色の強いナンバーを得意とするサウザーのソングライティングに絶大な影響を与えたことは言うまでもない。
ジャクソン・ブラウン
サウザーとフライが共同生活を送っていた当時、彼らの階下に住んでいた人物が、なんとあのジャクソン・ブラウンだった。やがてウエストコースト・ロック・サウンドの立役者となる3人は、同じアパートの住人として出会い、やがて音楽を通じて親交を深めていったという。イーグルスの楽曲制作を多数手掛けているサウザーだが、ジャクソン・ブラウンがフライにプレゼントした楽曲こそ、大ヒットを記録したイーグルスのデビュー曲「テイク・イット・イージー」なのである。
また、ブラウンはサウザーの代表曲「ユア・オンリー・ロンリー」でバック・コーラスで参加している。ともにシンガー・ソングライターとして今も現役で活動を続ける2人は、昨年9月にナッシュビルで行われた「アメリカーナ・ミュージック・アワード2014」で共演、ブラウンの「悲しみの泉」をライ・クーダーとともにパフォーマンスしている。
来日公演情報
J.D. Souther
Billboard Live Tour 2015
ビルボードライブ大阪:2015年6月8日(月)
>>公演詳細はこちら
ビルボードライブ東京:2015年6月10日(水)~6月11日(木)
>>公演詳細はこちら
INFO: www.billboard-live.com
関連リンク
Text: 多田 愛子
リンダ・ロンシュタット
70年代ウエストコースト・ロックを代表する歌姫、リンダ・ロンシュタット。グレン・フライ率いるイーグルスが、彼女のバックバンドとして集められたメンバーであることは有名な話だが、サウザーにとってもロンシュタットの存在はキャリアを語る上で欠かせない人物である。自身で作曲を行わないロンシュタットは、早くからサウザーの楽曲を取り上げ、そして1973年にはサウザーをプロデューサーに迎えてアルバム『ドント・クライ・ナウ』を制作。当時2人は恋人関係であったとされている。
2人の関係はそう長く続かなかったようだが、1975年発表の『哀しみのプリズナー』には、デュエットの相手にJ.D.サウザーを迎えたタイトルナンバーが、77年発表の『夢はひとつだけ』ではサウザーが1976年に発表した「シンプル・マン、シンプル・ドリーム」のカバーが収録されている。
カーラ・ボノフ
西海岸ロックを代表する女性シンガーソングライターであるカーラ・ボノフもまた、サウザーにとって多くの共通点を持つ盟友のひとり。リンダ・ロンシュタットの「誰かわたしのそばに」「またひとりぼっち」「風にさらわれた恋」という大ヒット曲を手掛け、サウザー同様、ソングライターとしての才能を先に開花させている。そんな彼女が1977年に発表した自身のデビュー作『カーラ・ボノフ』、そして出世作となった2ndアルバム『ささやく夜』(1979年)には、サウザーがダディーズ・スマイルやグレン・フライとともにレコーディングに参加している。
また、今も現役で音楽活動を続けているカーラとは、2012年、2014年と2回、ここ日本でのジョイント・ツアーを行っており、『ささやく夜』のエピローグ曲である「悲しみの水辺」などをデュエットで披露している。
ジェイムス・テイラー
サウザーと同じくカリフォルニア移住組でありながら、西海岸サウンドを代表する人物のひとりであるジェイムス・テイラー。サウザーが「ユア・オンリー・ロンリー」を大ヒットさせた2年後の1981年に、2人はデュエット・ナンバー「憶い出の町」を制作。同曲は、テイラーのアルバム『ダディーズ・スマイル』からシングルカットされ、全米11位のヒットを記録している。
最新作『テンダネス』
2008年に24年ぶりに発表した『イフ・ザ・ワールド・ワズ・ユー』の流れを踏襲し、シンプルながらジャジーなアプローチでアメリカン・スタンダードの世界に挑んだ作品。シンガーソングライターとして進化を続ける彼の充実ぶりが伝わる。日本盤ボーナス・トラックとして、リンダ・ロンシュタットに捧げられたナンバーも収録されている。
"Something in the Dark" (Live)
来日公演情報
J.D. Souther
Billboard Live Tour 2015
ビルボードライブ大阪:2015年6月8日(月)
>>公演詳細はこちら
ビルボードライブ東京:2015年6月10日(水)~6月11日(木)
>>公演詳細はこちら
INFO: www.billboard-live.com
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Text: 多田 愛子
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