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Suzu『未来地図』インタビュー
初めて会ったときの印象は、沖縄生まれの無邪気な女の子。あと、天才肌のアーティスト。発信する音楽が結果的に聴き手の背中を押すものになったり、実は生粋の破天荒キャラで世の中を驚かせたいといつも思っていたり、話を聞いているだけでこっちまで元気になってしまう。それは今回リリースされる1stアルバム『未来地図』にも言えること。クヨクヨ悩んでることがバカらしく思えるぐらい、彼女の音楽は無邪気で明るい。
ギターは小学校6年生から始めたんですけど、実はすぐ飽きてて(笑)
--Saku/新山詩織/山崎あおいとのギタ女対談でお会いしましたが、その際に物凄く面白い女の子だなと思ったので、どんな生い立ちから今のSuzuが出来上がっていったのか探らせて下さい。まず自分では自分をどんな人だなって思いますか?
※Suzu - 『you can do it!』collaborate with 『青空エール』~前編~
--高校2年生以降はもうギター飽きてないんですか? もうメジャーデビューしているので、ここで飽きられると困る人がたくさんいますよね(笑)。
Suzu:今はもう大丈夫です! 飽きてないです!--幼い頃はどんな女の子だったの?
Suzu:おてんば。親が目を話せない女の子。物静かでキレイな鈴の音色みたいな女の子になってほしくて、この名前にしたみたいなんですけど、「うるさい鈴になった」って今でもよく言われます。勉強もしないで、ずっと遊びまくってる元気な女の子だったみたいです。小学生のときに、私が夜になっても帰ってこなくて親が心配して学校へ行ったら、大雨の中、運動場の水溜まりの中で友達と遊んでたり(笑)。--幼い頃からそんな感じだったんですね。Suzuの人生の中で塞ぎがちだったり、暗かったり、物静かだった時期は一度もない?
Suzu:一応落ち込んだりもするんですけど、それも飽きちゃうんですよ。--(笑)
Suzu:すぐに「まぁいいや」ってなって、どっか遊びに行っちゃう。--沖縄のどんなところで生まれ育ったの?
Suzu:首里城の近くが実家で、親が働いてる病院で生まれました。--どんな家庭で育ったんでしょう?
Suzu:元気な家庭。両親がいて、お姉ちゃんがいて、弟がいて。お姉ちゃんも音楽学校で音楽をやっていたんですけど、私はそんなお姉ちゃんが好きだったみたいで、お姉ちゃんが親とケンカして「出て行く」って言ったら、Suzuもついていったり、お姉ちゃんが「いってきまーす」って学校へ行ってから帰ってくるまでずっと玄関で待ってたり。今も大好きで、東京で一緒に住んでます。優しいんですよ、とっても。--両親はどんな人?
Suzu:お父さんは無口で、あんまり喋らないんですけど、声がハスキーなんですよ。それの遺伝でSuzuもちょっとハスキーで。で、お母さんはいつも元気で喋ると止まらない、もう口から生まれたんじゃないかな?って思うぐらいうるさくて。だけど、家族のことをちゃんと考えてる。--じゃあ、家族は好き?
Suzu:はい! Suzuが「音楽をやる」って決めたときもサポートしてくれて、高校生のときはライブ会場まで車で送ってくれたり、家族みんなでライブを観に来てくれたり、インディーズ時代のライブ映像とかも全部家族が撮って残してくれてるんですよ。飛び入り参加っていうのが月に1回あって、そこでは2曲ぐらいしか歌わないんですけど、そういうのも全部撮ってある。ラジオも私が出てるのは全部録音してるし、そういう感じで応援してくれてます。--反対されたりはしなかったんですね。
Suzu:ないです。Suzu、ずっと遊んでばっかりだったんで、「やっと進みたい道を見つけてくれたんだな」って逆に安心されました(笑)。--何がきっかけで音楽を大好きになったんでしょう?
※Miley Cyrus as Hannah Montana - Who Said
--小学6年生で父親にギターをプレゼントされたみたいですけど、なんでプレゼントしてくれたんでしょう? Suzuちゃんが欲しがったの?
Suzu:お父さんがギター弾いている姿を見て「Suzuもやりたい!」って言い出したんです。ただ、親はSuzuが飽きっぽいのを分かってるんで、本格的なものじゃなく、おもちゃみたいなギターを買ってくれたんです。で、やったんですけど、すぐに「楽しくない!」って飽きちゃって。--どれぐらいで飽きちゃったの?
Suzu:2時間!リリース情報
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Interviewer:平賀哲雄|Photo:内山直也
私はF1レーサーになろうと思っていたんですよ
--2時間で1回やめてるんですね(笑)。
※Taylor Swift - You Belong With Me
--音楽以外に好きなことってなかったの?
Suzu:小学生のときにカートをやってました。お父さんが大好きでやってて、深夜にテレビで放送してたF1とかも一緒に観てて、私はF1レーサーになろうと思っていたんですよ。それでカートのエンジンを改造したりして、お父さんと一緒に走っていたんですけど、その当時は同時進行でピアノも習ってたんです。それで「指を怪我したら大変だからカートはやめなさい」って言われて。それでも続けてたんですけどね。ただ、小6からダンスに目覚めるんですよ。お姉ちゃんの友達の影響で。それから高校3年生まではずっとダンスをやってました。自分でチーム作って、バトルイベントとか出てましたよ。その中でダンスの先生になろうと思うんですけど、人に教えるのがヘタだったし、1時間以上踊ると疲れちゃうので諦めました。--(笑)。そんないろんな可能性があった中で音楽の道を選ぶ訳ですが、初めてのライブのことって憶えてます?
Suzu:憶えてます。めっちゃ緊張してて。しかも「やるぞ!」って衝動的にライブハウスに出ることにしたのでギターも全然練習してなかったんですよ。だからめっちゃボロボロのライブだったんですけど、観ていてくれた大人の人たちが「いいね!」「また来月来てね」って言ってくれて。で、いろんなアーティストさんと同じステージで歌えるのも楽しいと思って、それから毎月行くようになって。--どんな曲を歌ってたんですか?
Suzu:そのときは洋楽が大好きだったんで、テイラー・スウィフトとかマイリー・サイラスとかジャスティンの曲をカバーしてました。それでライブを始めてから3,4ヶ月ぐらい経ったときに、とあるオーディションに出たいなと思って。それがオリジナル曲じゃないと参加できないオーディションで、初めて自分で曲を書くんです。それからはもうオリジナルを歌うのが楽しくなって、どんどん曲を作るようになっていきました。--そこからメジャーデビューを果たすまでにはどんなストーリーがあったんですか?
Suzu:初めて飛び入りでライブしたときに、そのライブハウスのオーナーさんが気に入ってくれて、いろんなイベントに出演するのを勧めてくれたりして、仲良くさせてもらってたんです。で、そのオーナーさんがSuzuが今所属している事務所の社長と友達で、Suzuを紹介してくれて。16歳からずっと一緒に活動してきて、ユニバーサルさんと合体した!--合体(笑)。一緒にやっていくことになったんですね。そのストーリーの中で、得意のCUPSはいつから始めたんでしょう?
Suzu:去年メジャーデビューしてるんですけど、その前の年にデビューに向けてエリックさん(エリック・ リボム/スウェーデンのヒットメーカー)と曲を創ることになって、エリックさんが東京に来れないときはSuzuがスウェーデンに行ってたんですよ。その移動の飛行機の中で映画『ピッチ・パーフェクト』を観てたら、CUPSをやってて「格好良いな!」と思ったからすぐに私もやってみたんですよ。で、当時は日本でやってる人がほとんどいなかったから、驚かせたいなと思ってライブでやってたら、スタッフさんに勧められて自分の曲「LOVE TO YOU -by CUPS」にも取り入れることになったんです。Suzu、誰もやったことがないことをやるのが大好きなんで、やってみようと思って。--メジャーデビューして多くの人に自分の音楽を聴いてもらえるチャンスが増えたわけですけど、Suzuが発信していきたい音楽ってどんなものなんだろう?
Suzu:Suzuは「応援ソングが多い」ってよく言われるんですけど、でもそれは意識して作っている訳じゃなくて勝手に応援ソングになるんですよ。今回のフルアルバム『未来地図』の表題曲も、高校2年生のときにシンガーソングライターを目指そうと思って書いたんですけど、周りの人には「シンガーソングライターなんておまえには無理だろう」とか「おまえの歌は人の心に響かない」とか散々言われて、諦めそうになったときに出来た曲なんですよ。なので、夢を諦めかけている人にとって「諦めないで!」って背中を押される曲に自然となってる。そういう自分にとっても、聴いてくれる人にとっても前向きになれる、人生が明るくなる曲をどんどん届けていきたいですね。--前回のギタ女対談で初めて会ったとき、「雷雨の中でライブしたい」とか「ディズニーランドでいきなりフラッシュモブみたいにアカペラとかで歌い出したい」って言っていて、そういう世間をビックリさせるようなこともしたい人なんだろうなと思ったんですが、自分ではどう思います?
Suzu:その気持ちは強いです! ドッキリとかしてみたい!--音楽で?
Suzu:音楽でも音楽以外でも。会社に行ったらみんなゾンビになってるとか、街の機能が全部停止したりとか。--規模がデカい! それをSuzuちゃんが仕掛けるの?
Suzu:はい! あと、音楽でのドッキリだったら、アーティストさんが歌い出したらお客さんがみんな後ろ向くとか。--ただの嫌がらせじゃないですか(笑)。
Suzu:サプライズを仕掛けるのが大好きなんですよ。洋画ばっかり観てきた影響もあると思うんですけど、外国の方ってドッキリ大好きじゃないですか。それを小さい頃から見てて「楽しいな」と思って。で、ドッキリって最終的にみんなが笑顔になる。それが良いなって。ほんわかする。リリース情報
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Interviewer:平賀哲雄|Photo:内山直也
最終的には海外でライブが出来たらいいな。大雨の野外ライブ
--ちなみに今、何でも自由にやっていいよと言われたらどんなことをしてみたい?
Suzu:海外でストリートライブをやってみたい。全部。--全部?
Suzu:全部の海外。--地球上の国すべて(笑)?
Suzu:安全な国すべて(笑)。ストリートライブやっても大丈夫なところ。小さい頃から海外に憧れてて、アメリカとか大好きなんですけど、でもまだ行ったことがないんです。だから行ってみたい。あと、ストリートライブはインディーズの頃やってて、とても楽しかったんですよ。だから仲間をつれて一緒に海外でストリートライブがしたい。--そんないろんな野望を持つSuzuの1stアルバム『未来地図』が完成しました。自分ではどんなアルバムが出来たなと感じていますか?
Suzu:デビューする前から作っていた曲もあれば、このアルバム用に作った曲もあるので、2,3年前のSuzuから現在のSuzuまでが感じられる、たくさんのSuzuが詰まったアルバムになってます。「あー、歳取ったなー」って思いました。--いや、めちゃくちゃ若いですよ(笑)。
Suzu:2,3年前に比べると歌い方が大人になってるんですよ。声の使い方も昔とは違うなって思ったり。だから歳取ったというか、ちょっとだけ成長したなって。--アメリカンポップス然としてる曲も多いですし、「WE GOT THAT SOMETHING」のような全英語詞ナンバーも収録されてるし、それこそテイラー・スウィフトとか洋楽ファンにも聴いてほしいアルバムなんじゃないですか?
Suzu:Suzu、洋楽が大好きだから洋楽っぽい曲も多いんですよ。だから洋楽ファンにもぜひ聴いてほしいですねー。あと、その一方で沖縄っぽい曲もやりたいなって最近思っていて。最後はみんなでカチャーシーして終わる、みたいな。--CUPSを取り入れた時点で何をミクスチャーしてもOKだと思いますけどね。面白そう。また、今作には、J-POP然とした優しいバラード「いちばん星☆」みたいな曲も収録されています。この曲には自分ではどんな印象、感想を?
Suzu:沖縄って夢を叶える為に出て行く人が多いんですよ。Suzuも、今までずっと一緒だったみんなと離れるのは寂しいけど、自分の夢を叶える為に東京で頑張ることにしたんですけど、同じように沖縄を飛び出した友達とお互い夢を叶えたら語り合いたくて。そういう友達を題材にした歌詞になってるんです。--実際、自分が沖縄から東京へ出てきたときはどんな気持ちだったんですか?
Suzu:初めて東京出てきて何も分からないし、人がいっぱいで歩きづらいし、電車にも慣れないし。そういう慣れない東京でSuzuは頑張るよっていう歌なんです、「いちばん星☆」は。でも今はもう東京大好きで。歩く速さも東京の人に負けない。沖縄で友達と歩いていると私のほうが速いんですよ。普通に歩いてるんですけど。だから「足が成長したなー」って(笑)。--でも「いちばん星☆」を聴いてると、こんなに天真爛漫なSuzuちゃんでも押し潰されそうになるときがあるんだなと思いました。
Suzu:今でもありますよ。毎日落ち込んでるけど……ご飯とか出されると「ま、いいや」って感じになって。--(笑)。ご飯が出てくるまではどんなことで悩んでるんですか?
Suzu:Suzu、ちょっとしたことがどんどん溜まっていくんですよ。その場で思ったことをすぐに言えない。本当は大丈夫じゃないのに「大丈夫だよ」って言っちゃうから、家に帰ってから落ち込むんです。だからもうちょっと強くなれたらなって思う。でもご飯食べたら元気になるから、どんどん成長していく(笑)。--今作も簡単に言うと元気になれるアルバムだから、元気になりたい人に聴いてほしいですよね。実際、僕は最後の「Peaceful day(Acoustic Ver.)」まで聴いたらすごくラクな気持ちになれました。
Suzu:そういう音楽を届けていきたい。明るい、平和な曲になればいいなっていつも思っていて、このアルバムも「ピースフルな世界になればいいなー」って想いを込めて最後を「Peaceful day(Acoustic Ver.)」で締め括ったりしてるんです。だから笑顔になれる曲をどんどん作っていきたいです。--では、最後に、Suzuの未来地図。将来的に叶えたい夢、目標を聞かせて下さい。
Suzu:叶えたい夢は……家を作りたいです。--(笑)
Suzu:犬の家。--犬の?
Suzu:犬小屋ではなく、人間と同じぐらいちゃんとした犬の家を建ててみたいですね。愛犬の為に。あとは……いろんな楽器に触れて、その触れた楽器から曲を生み出していけたらいいなって思います。バンジョーで曲も作ってみたいし、あとはダンスやってたんでDJにも憧れてるんですよ。あ、ドラムもやってみたい!--やりたいことだらけですね。
Suzu:で、最終的には海外でライブが出来たらいいな。野外ライブで、大雨が降ってる中でやりたいです! Interviewer:平賀哲雄リリース情報
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Interviewer:平賀哲雄|Photo:内山直也
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