Billboard JAPAN


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【#BJMA】2014年ビルボードジャパン・チャート解析/冨田雅和

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【BJMA】特集


音楽の“今”を切り取り、“未来”を映し出すチャート


 今回発表された、2014年のBillboard JAPAN HOT100年間チャートと、当社で発表した2014「プチリリR」(※)年間ランキング(http://petitlyrics.com/contents/2014ranking.html)の二つを比較する形で、今年聴かれた音楽について見ていきたい。

歌詞を自動で検索!カラオケ風に表示できる音楽プレイヤー ~プチリリ
歌詞を自動で検索!カラオケ風に表示できる音楽プレイヤー ~プチリリ

 プチリリは、音楽を再生するだけで、自動で流れる歌詞(同期歌詞)が表示されるスマートフォン向け音楽プレイヤーアプリで、10代~20代のユーザーが非常に多い。
 また、他社サービスにも広くデータベースを提供していることもあり、歌詞が再生された総回数は、今年だけで10億回(1秒間に32回!)を超えた。Billboardチャートが各種指標を合算したものであるのに対して、プチリリランキングは膨大な再生カウントの中から集計された、「歌詞を見ながら楽しまれている楽曲のランキング」と言える。

 Billboardチャートと照らし合わせて見てみると「よく耳にした」曲が上位に入っているところは共通しているが、Billboardチャートでは9位までを2014年に発売された作品が占めているのに対し、プチリリランキングでは後述する1・2位、そして「4位の「春風/Rihwa」(Billboardチャート~22位)を除き、3位「恋音と雨空/AAA」(同~ランク外)、5位「ずっと feat.HAN-KUN & TEE/SPICY CHOCOLATE」(同~21位)、6位「RPG/SEKAI NO OWARI」(同~23位) など2013年以前にリリースされた作品がトップ10の大半を占める結果となっている。他にも23位「ヒカリへ/miwa」、34位「奏(かなで)/スキマスイッチ」、「好きだよ。~100回の後悔~。/ソナーポケット」、42位「小さな恋のうた/MONGOL 800」など多くの曲がランクインしており、Billboardチャートが爆発的なセールスの瞬間を切り取った、今年の流行をあらわすチャートになっている一方、プチリリランキングは歌詞とともに長く聴かれている曲のランキング、と言えるだろう。

 今年、Billboardチャートで上位だった作品の中でじっくりと聴かれ、歌われた曲は来年のプチリリランキングにも入ってくることだろう。

 今年大ヒットした映画「アナと雪の女王」の主題歌「レット・イット・ゴー~ありのままで~」はBillboardチャートでは7位だが、プチリリでは松たか子版、MayJ.版が1・2位を独占。再生回数も桁違いとなっている。話題になった、映画の「みんなで歌おう」版を見に行く前に、歌詞を覚える目的でプチリリ等の歌詞アプリを使った人が多いのではと考えている。 プチリリが単に歌詞を見るだけでなく、カラオケの練習にも使われるアプリになってきたことは提供側としても、とてもうれしい。

 異なる複数の指標を、長い歴史で培われた哲学で的確に取り入れてきたBillboardチャートは、これからも「過去と現在と未来を映し出すチャート」として進化を続けていくだろう。今後Billboardチャート上位曲がプチリリランキングにどのように反映されてくるのか、注目していきたい。
※「プチリリR」は株式会社シンクパワーの登録商標です。



プロフィール写真

冨田雅和  1960年福岡生まれ。85年日商岩井入社。情報産業本部にて通信設備の輸出、メディア事業を担当。ブラジル駐在を経て2000年に同本部が独立したITXにて新規ベンチャー投資・育成を担当。2006年に株式会社シンクパワーを設立。100万曲の歌詞データベースを持ち、各種端末向けに「同期歌詞」のサービスを「プチリリR」ブランドで展開しつつ大手音楽配信事業者向けにも提供。現在は海外も視野に入れた展開を計画中。

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