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「自分の周りの世界を変えるのに、唯一必要なのは自分自身の思考を変えること」― ダミアン・ライス 最新インタビュー
シンプルながらも味わい深いメロディ、繊細さと大胆さを兼ね備えた唯一無二のヴォーカル、ギター1本で何千人もの観客を魅了するその表現力豊かなライブ・パフォーマンスで、人気を博すアイルランド出身のシンガーソングライター、ダミアン・ライス。2002年リリースのデビュー作『O』が、全世界で200万枚以上のセールスを記録、イギリスでは100週近くチャートインし、2006年に発表した2ndアルバム『9』では、米ビルボード・アルバム・チャートで初登場22位をマークし、アメリカでも本格的にブレイクを果たす。そして同作のツアー中、公私においてのパートナーで、ミューズであったリサ・ハニガンとの破局した後もマイペースに音楽活動を続けるが、スタジオとは距離を置いてきた。
そんなダミアンが、リック・ルービンを共同プロデューサーに迎え、LAとアイスランドにてレコーディングされた最新作『マイ・フェイヴァリット・フェイデッド・ファンタジー』を2014年10月31日にリリース(日本盤は12月10日)。8年のブランクがあったものの、本国アイルランドでは初登場1位、米ビルボード・アルバム・チャートでは自身最高位の15位を記録。アルバムのリリースに伴い行われたアメリカ、ヨーロッパの主要都市での公演は、すべてソールドアウトとなり、その人気の高さを証明した。取材されることをあまり好まない彼が、新たなスタートとなった最新作について語ってくれた。
アルバムが完成していたことに、僕自身気づいていなかった
▲ 「The Creative Process of "My Favourite Faded Fantasy"」
??大半のアーティストにとって、アルバム制作中に方向性が定まるターニング・ポイントが訪れると思うのですが、今作『マイ・フェイヴァリット・フェイデッド・ファンタジー』にとってターニング・ポイントとなったのは?
ダミアン・ライス:制作が終わったと、やっと認めたときだね。
??それは制作プロセスのどの段階で起ったのですか?
ダミアン:自分で気づいたことではなくて、示されたことだった。レイキャビクにあるスタジオで最終ミックスを編集していて、技術的な問題に直面していた。マスタリングの時期も既にフィックスしていたけれど、デッドラインに間に合わないのが明らかだったから、アルバム・リリースの予定を変更する寸前だった時に、アイスランドの友人Kariがスタジオのソファーに僕を座らせたんだ。そしてエンジニアのMioに、僕が構想していたアルバムのトラックリスト順に曲を並べるように指示し、順番に曲を聴いてみるように言われた。その場に座り、耳を澄ました。そして最後まで聴くと涙がこぼれてきた、アルバムが完成していたことに、僕自身気づいていなかったから。
??前作からかなり時間が経っていますが、このアルバムの曲はその間に書き続けていたもの?それとも、一定の期間に集中して書かれたものですか?
ダミアン:新しい曲は、このアルバムの準備期間に集中的に書かれたもので、2010年以降の3年間で書いたものだよ。
??アイスランドは、ソングライティングにどうような影響を与えましたか?
ダミアン:アイスランドでレコーディングを始めた頃には、曲は書き終えていた。アイスランドが、色ペンのケースというところだね。
▲ 「Rootless Tree w/ Lisa Hannigan」 (Live)
??アイリッシュ・インディペンデント誌のインタビューで、リサ・ハニガンがいない今、スタジオで新たなサウンドボードを必要としていたと話していましたが、リック・ルービンはどのようにその役割を果たしたのですか?リックとの作業、そして彼のアプローチで、一番驚かされたことは?
ダミアン:彼のアプローチは、僕が行き詰った時には流動性を促し、そして抑制を必要としていた時には重石となってくれた。凧を飛ばすためには、括り付ける必要がある。自由を味わうために、時たま必要とされる制限が、いかに重要なのかを学んだね。
??彼との作業から学んだ制限の例はありますか?
ダミアン:一番の制限は、たとえ気分がのらなくても、何かをやる癖をつけること。逃げるのではなくて。いい仕事というのは、時には得られるもので、自分自身を乗り越えた時に、ミューズが気づき、祝福してくれるんだ。
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自分の周りの世界を変えるのに、
唯一必要なのは自分自身の思考を変えること
▲ 「The Greatest Bastard」 (Live)
??同じインタビューで、厄介さに関わらず“すべてのミミズの缶”を開けることで、自分自身について学んだ様々なことについて話していましたが、中でも曲に投影され、驚かされたものはありますか?
ダミアン:自分の周りの世界を変えるのに、唯一必要なのは自分自身の思考を変えることだ、と気づいたこと。
??たとえば?
ダミアン:昔は、太った赤いサンタクロースとキリスト教上の神は実在するものだと思っていた。そして、条件付きの愛情が愛だと思っていた。
??数週間前にLAの聖堂行われたライブを拝見したのですが、実に素晴らしかったです!特に昔の曲を演奏するあなたは、別人のようでした。過去の2作品からの曲に対して新たな敬慕の情があるのですか?
ダミアン:あれらの曲を歌うことを今でも楽しめること、そして曲の元となった経験には、とても感謝している。その当時、いくら苦痛で苛立たしく感じたにもかかわらず、一瞬とも変えたいとは思わない。実際問題、変えることができないから、ホッとしてるけど。
??『O』の思いがけない成功について過去に触れたことがあると思います。成功により注目されることに対する、若き自分へアドヴァイスはありますか?
ダミアン:どうだろう。君は、自分の子供たちにサンタクロースや神についての神話を話す?
??アルバムのが成功を収めた大きな要因は真実味と詞の奥深さにあり、そこに人々が共感したからだと思います。曲に影響された人々の反応で、一番気に入っているものは?
ダミアン:曲を聴いていて、初めて一夜を共にしたカップルの話を聴くのは興味深いね―臆面もなく、とてもオープンに詳細を明かしてくれて、感心させられるよ。
??まさに親密さですね。そういった話をしてくれることに驚きますか?
ダミアン:主に驚いたのは、ほとんどの曲が別れについてのものなのに、それらの曲を聴きながら一緒になったカップルがいるということ。人生は、奇妙な方法でバランスを保っているということかな。
??ダミアン自身、ファンとして深く共感する曲はありますか?
ダミアン:レナード・コーエンは、語彙が豊富かつユーモアがあり、明るくなること思い出させてくれるから、とても感謝しているよ。
??『マイ・フェイヴァリット・フェイデッド・ファンタジー』を通して聴くことで得るものは?
ダミアン:スタジオに戻り、もっと音楽をレコーディングする意欲。
??近々ということですか?アルバム間で書かれた曲はたくさんあるのですか?
ダミアン:熱意は溢れるほどあるけれど、今存在しない未来を僕が予想することができると思うのは馬鹿げているね。
Q&A by Steve Baltin / 2014年11月14日 Billboard.com掲載
「I Don’t Want To Change You」 MV
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マイ・フェイヴァリット・フェイデッド・ファンタジー
2014/12/10 RELEASE
WPCR-16140 ¥ 2,703(税込)
Disc01
- 01.マイ・フェイヴァリット・フェイデッド・ファンタジー
- 02.イット・テイクス・ア・ロット・トゥ・ノウ・ア・マン
- 03.ザ・グレイテスト・バスタード
- 04.アイ・ドント・ウォント・トゥ・チェンジ・ユー
- 05.カラー・ミー・イン
- 06.ザ・ボックス
- 07.トラスティ・アンド・トゥルー
- 08.ロング・ロング・ウェイ
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