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「このアルバムを、自分にとっての再出発だと思っている」― テイラー・スウィフト 最新インタビュー
これまで4枚のアルバムを発表し、全世界で3,000万枚近いセールスを誇る24歳のシンガーソングライター、テイラー・スウィフト。グラミー賞7度の受賞経験持ち、20代前半にも関わらず、世界的アーティストとなった彼女が、約2年ぶりとなる最新作『1989』をここ日本で10月29日にリリース。長年拠点としていたカントリー・ミュージックのメッカ=米テネシー州ナッシュヴィルを離れ、NYマンハッタンへ拠点を移し、マックス・マーティン、シェルバック、ライアン・テダーやファン.のメンバーでもあるジャック・アントノフらと制作した“ポップ・アルバム”と自ら称する今作。アルバムからの1stシングルとなる「Shake It Off」は、米ビルボード・シングル・チャートで1位を記録、そしてアルバムも全米で初動枚数80~90万枚を売り上げることが予想されている。そんなテイラー自身の生まれ歳をタイトルにした、“再出発”アルバムについてじっくりと語ってくれた。
もし恋愛関係についての曲があるとするなら、それは過去の関係のことで、
そこから私が学んだことについて歌っている
??前作から音楽、そして生活に大きな変化がありましたが、まず近況を教えてください。
テイラー・スウィフト:私は、アルバムを一つの声明として捉えるのが好きなの。ヴィジュアル、サウンド、エモーション―すべてに特徴を持たせたい。今回は、自分がやりたいと思うことやっている感じね。ポップ・アルバムを作りたいと思ったから、それを行動に移した。そうすることを心から正直に、堂々とやりたかったから、そうした。ニューヨークに引っ越したいと思った―特に理由はなくて、愛、そしてビジネスのためでもなかったけど、そうした。それに、髪を短く切りたいと思ったから、それもした。これらのことは、人生を自分らしく生きるゆえのことなの。現在の人生段階で、これらのことを“祝福”しているの、何故ならそれらが私をとても、とてもハッピーにしてくれるから。
??「Shake It Off」を1stシングルにしたのも同じ理由?自分の好きなことをするという、声明にも聞こえますが。
テイラー:「Shake It Off」は、批判やゴシップや侮辱など、私を見下げてきたものについての曲なの。今は、それらに笑って対処してる。被害者のようには感じたくなかった。4年前にリリースした「Mean」では、「なぜ私をからかうの?なぜ私がやることは、いつでもあなたの御眼鏡に適わないの?」って多少負け犬目線だったと思うの。そして4年早送りして、「Shake It Off」では、「いい?もし、私が私らしくあることがそんなに気に障るんだったら、もっとそうするし、あなたより楽しんでいるから、関係ない。」って。
▲ 「Welcome To New York」 (Preview)
??マンハッタンへ拠点を移したこともキーとなっていますね―『1989』は「Welcome to New York」で始まりますし。
テイラー:あの曲は、ニューヨークへの引っ越しをアプローチした、好奇心とオプティミズムについて歌ってる。新たな冒険を始めるという考えに、とてもエキサイトしていて、曲のサウンドは「ここでは何でも実現可能なんだ。」という、その感情を反映している。
??過去の作品には、元カレについての曲が多数ありましたが、このアルバムでは?
テイラー:“ボーイセントリック(男の子を中心とした)”と言う言葉がたまに使われたと思うけれど、このアルバムはあまり“ボーイセントリック”ではないと思う。何故なら、それが私のフォーカスではなかったから。この2年間、優先事項ではなかった。もし恋愛関係についての曲があるとするなら、それは過去の関係のことで、そこから私が学んだことについて歌っている。過去の人、そして現在の私の人生の中にいる人で、このアルバムを聴いて、気を悪くする人はいないと思う。私が、こんなにアルバムについてエキサイトしているのはこれが初めてで、「え?また同じ話?」という感じはまったくしないわ。
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自分と周りのスタッフに、これはポップ・アルバムだ、
と認めたのは、制作開始から1年ぐらい経ってから
??『1989』のどの様なところがエキサイティングなのですか?
テイラー:このアルバムは私が思い通りに作ったアルバムで、他人の意見や計略はまったく考慮されてない。音楽の方向性は、そこまで難しく考える必要はなかったと感じる。これまでは、2つの異なるジャンルをきちんと両立させることにこだわって来たけれど、今回そのうちの1つのことしか考えなくてよかったことでクリエイティヴ面で楽になった。自分が作っている作品に正直でいられることは素晴らしかったわ。
??何故、今になってポップな方向性をえらんだのですか?
テイラー:そうすることを決心させたのは、前作『RED』の中から「一番好きな曲は何?」と聞かれた時に、ためらうこともせずに、「I Knew You Were Trouble」と答えていたことかしら。新作の作業をスタートする為にスタジオに入った時に、これまで作ってきた作品と全く違うものにしたいと思っていて、そして私自身が自然とポップな感性に惹かれ、その方向に進んでいっていた。自分と周りのスタッフに、これはポップ・アルバムだ、と認めたのは、制作開始から1年ぐらい経ってから。カントリーと呼んだら、誠実じゃないし、私が愛してやまないジャンルと音楽の都への敬意を表して、正直にならなければと思った。自分が大事だと思う人々に率直であることが、自分の人生、そして決断に最も正直でいられる方法だと感じるの。
??この件についてナッシュヴィルから反発はありましたか?
テイラー:彼らのおかげで今“パーティ”にいることができるのを彼らはわかっているし、私がそれを理解しているのもわかっている。でも正直な話、これまでこの件で気を害した人には会ったことがないわ。私自身が、正直で、堂々としていることは、みんなを欺こうとしているわけではないことを理解する手助けをしている。壁を青く塗って、それを緑だと言うことはできないとわかってるから。
??ポップ・ソングとカントリー・ソングを作る際の主な違いは?
テイラー:ポップを作る時には、これまでは可能でなかった様々な要素からフックを作ることができて、そこがソングライターとしてとてもスリリングなの。叫んでも、話しても、囁いてもいい―それがクレバーであれば、フックになりうる。多様なサウンドで実験するのも、とてもエキサイティング―私が大好きなシンセ・ポップなど80年代のサウンドや、80年代後半のピーター・ガブリエルやマドンナのプロダクションは大好きだし、ボーカルのスタイルではアニー・レノックスやシニード・オコナーなどね。
??自分が生まれる前に作られた音楽にハマったきっかけは?
テイラー:音楽史、そしてポップ・カルチャー史を振り返るのが大好きなの。80年代後半が持っていたようなアティチュードには魅了される。ポップ・ミュージックでは、チャンスにかけ、クリエイティヴであるためにクリエイティヴだった。みんな自己改革を行い、リスクを恐れずに、自分たちのアートに挑戦していた。ファッション界でも、“普通さ”に挑戦していた―「私たちが着ることができる“普通”の色は?」「私たちが反発することができる普通のものとは?」。極限のオプティミズムと限りないポテンシャルのフィーリングが漂っていて、何でも可能だと思わせてくれた。この2年間で、それらが私の人生に取り込まれてきた。このアルバムを、自分にとっての再出発だと思っているわ。
Q&A by Gary Graff / 2014年10月24日 Billboard.com掲載
「Shake It Off」 MV
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