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あの歴史的名盤から20年! アンダーワールドの『ダブノーベースウィズマイヘッドマン』をカール・ハイドが語る
80年代前半に音楽活動をスタートしたカール・ハイドとリック・スミスによるテクノ/エレクトロニック・ユニット、アンダーワールド。1990年には、新進気鋭DJダレン・エマーソンが加わり(2000年に脱退)、従来のテクノやハウス・ミュージックにロック的な感性でアプローチした1994年リリースの『ダブノーベースウィズマイヘッドマン』で注目を浴びる。その2年後にカルト的人気を誇るダニー・ボイル監督作『トレインスポッティング』に「Born Slippy」が起用されたことで、世界的に大ブレイク。2012年には、ボイル監督が総合演出を務めたロンドン・オリンピック開会式の音楽監督を担当するなど、今やイギリスを代表する国民的アーティストとなった彼ら。
そんなアンダーワールドが脚光を浴びるきっかけとなり、現在でもクラブ・ミュージックに多大な影響を与える『ダブノーベースウィズマイヘッドマン』がリリースから20周年を迎える。20周年アニバーサリーを記念して、再発される歴史的名盤について、近年では、ソロ作品『エッジランド』、そしてブライアン・イーノとのコラボ・アルバムも発表しているメンバーのカールに話を訊いた。
クラブでは多くのキッズが僕らの音楽で踊ってたんだから、
レーベルとシーンとの間でズレがあるのはわかってた
▲ 「Dark And Long (Halls Edit)」 MV
??『ダブノーベースウィズマイヘッドマン』がこんなにも大きな影響力を持つアルバムになると思いましたか?
カール・ハイド:ノー、何故ならアルバムを作ろうとは思っていなかったから。僕らは、単に曲作りを楽しんでいただけで、それがダンスフロアに適していた時もあったし、そうじゃない時もあった。曲をコレクションにしていったのはリックで、何が彼にそうされたのかは僕にも分からないね。
??その当時、何らかのシーンの一員だという風には感じていましたか?
カール:もし何かに属していたとすれば、ダレン・エマーソンがプレイしていた音楽の周辺のクラブ・シーンかな―シカゴとデトロイト・ハウスやジュニア・ボーイズ・オウン・レコーズ。ダンスフロアがすべてって感じだった。でも幸いだったと思うよ、何故ならその頃のレーベルには、ダンス・ミュージックを作りたいんだったらシンガーをクビにしろ、そうしたくなかったらドラマーを入れろなんて言われてたから。でも当時、クラブでは多くのキッズが僕らの音楽で踊ってたんだから、レーベルとシーンとの間でズレがあるのはわかってた。
▲ 「Mmm…Skyscraper I Love You」 (Live Jam Kyne rd)
??ダレン・エマーソンに惹かれたのは?
カール:彼は、イビザ発のバレアリック・サウンドにハマってたまだ19歳のキッズだったけれど、同時にビートルズのファンでもあった。当時シーンで人気上昇中だった彼に、他にも映画音楽、ダブ、ギター・ミュージックなんかを取り入れたらいいんじゃないかって言われて、そこから折衷的なサウンドが生まれたんだ。
??その頃のダンス・シーンはかなり明確に分離していましたが、あなたたちの客層というのは?
カール:ブリクストン・アカデミーでオールナイトのイベントをやっていたけれど、ダンスしに来てるだけのキッズばかりが数千人いるというよりは、インディー・キッズもたくさんいたね。彼らは、ダンス・キッズに対して、「ここで何してんだ?これは俺たちのバンドだ。」って感じでさ。
??当時の音楽に、今も新鮮味があると感じますか?
カール:興味深いことに、古臭くは聴こえない。それは多分、当時起こっていた出来事に影響を受けていなかったからだと思う。単にマーケットに反応しているのではなく、より直感的で知的だったから。
??これらの曲を再び聴くことで、感情的にガツンときましたか?
カール:当時は直感的にやっていたけれど、今では出来なくなってしまったことを再び体感すると言うのは、つらいよね。同時に、「なぜ続けなかったんだろう?」と考えることもあった。リックと僕の間でいくつかの興味深い会話が生まれたのは、間違いないね。
??映画『トレインスポッティング』で「Born Slippy」がかかる場面は、時代を象徴するようなシーンですが、今振り返ってみて、神の恩恵または呪い、どちらでしょうか?
カール:恵みだと感じるね。僕らにとって様々なチャンネルを開いてくれたし、急速に売れるきっかけとなったから。
??フューチャー・アイランズによる「Seasons」という曲をご存知ですか?というより、どれだけ「Born Slippy」に似ているか知っていますか?
カール:もし意図されたものであるんだったら、オマージュありがとう。もしまったくの偶然なら、なんていいジェスチャーなんだ。素敵じゃないか。彼らに幸運を祈るよ。僕らのように、彼らにとってのダニー・ボイルがみつかるといいね。
Q&A by Ken Scrudato (THR.com) / 2014年10月19日 Billboard.com掲載
「Dubnobasswithmyheadman」 Super Deluxe Boxset
リリース情報
ダブノーベースウィズマイヘッドマン
<デラックス・エディション>
- アンダーワールド
- 2014/11/19 RELEASE
- [UICY-15342/3 定価:¥3,456(tax in.)]
- 詳細・購入はこちらから>>
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