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現代のポップ・ミュージック=巨大なタブロイド紙? レディー・ガガ 最新インタビュー
「アーティストとして、自由に羽ばたくことができない、と感じていた。」と話すレディー・ガガ。彼女の口からそんな言葉がこぼれるのは意外かもしれない。アーティスト生命を脅かした股関節の手術に続き、長年マネージャーを務めたトロイ・カーターとの決別、『ARTPOP』のセールス低迷…ここ数年間で幾度の苦悩を経験した彼女だが、今では人生が上向いていると自ら語る。かねてから交流のあった御年88歳の名シンガー、トニー・ベネットとのコラボ・アルバム『チーク・トゥ・チーク』を経て、「自分の人生において、とてもハッピーな時期」にあると胸の内を明かしたレディー・ガガのイスタンブール滞在時の最新インタビューを公開。
アーティストをより称賛し、サポートすることで、
より永久的にアートも生き続ける
??マネージメントとの意見の相違は、『ARTPOP』の制作に支障をきたしましたか?
レディー・ガガ:私のマインドに影響を与えたのは間違いないわ。この件に関して言いたいのは、クリエイティヴ面での意見の相違というより、自分がクリエイティヴになれるような時間を私自身が作らなければならなかった、ということ。スケジュールがハードすぎて、ついていけなくなっていた。そしてどれだけ多額の収入を短期間で得られるかということがビジネスになってしまって、そういったことは私にとってさほど重要じゃない。お金より、ミュージシャンとしての品位のほうが、数倍大切。『ARTPOP』を制作していた時、私はとても疲れていた。でも『ARTPOP』のことは誇りに思っている。作品に対して多くの批判もあったけれど、その中の大半は私の現時点でのキャリアについてだったと思う。長い間トップをキープしてきたけれど、業界の風潮でもあると思う―引きずりおろすために、ビルドアップさせるのが大好きなの。
??現在は、いい状況におかれているようですが、その影響は新たに制作している音楽にも表れていますか?
レディー・ガガ:まだ本当に初期段階なの。常に曲は書いている。つい数日前も、ここイスタンブールで一晩中曲を作っていたわ。部屋にとてもラヴリーなピアノがあったので、すごくエキサイトしちゃって。特にエレクトロニックじゃなくて、ちゃんと弦が張ってあるピアノを弾けることは、とてもハッピーにしてくれる。自分でもビックリしてしまうような曲を書いてる。ここ何年間で、重ね重ね多くの痛みを味わってきた。きちんとしたスタッフによるチームが周りにいないまま【Born This Way Ball】を行うのはとても困難だった。身体的にも極度の痛みを感じていて、結果的に股関節の手術をすることになった。自分では“ペイン・オブ・フェイム”(有名であるゆえの痛み)と呼んでる。自分の人生に変化が起きるとともに、周りの人々も変わっていく。お金は人々をクレイジーにする―人生が一変して、スターとしての人生を歩む上で付随してくるものや贅沢を目の当たりにして「彼女のことをずっと知ってる…または、一緒に歩んできたのだから、自分にもそれらを得る権利がある。」と思うのね。
??テルアビブで演奏をすることを避けるアーティストも大勢いますが、なぜ今回パフォーマンスをしようと思ったのですか?
レディー・ガガ:内部情勢に詳しい政治関連の人々の情報網から、安全性を確信していたの。幸運なことに、ホワイトハウスと素晴らしい関係性を保っているので、私たちが訪れている間も安全だと教えてくれた。今テルアビブにいても安全だというの知らせるために、この情報を世界の人々とシェアできればいいと思っているわ。何か悪いことが起きたかもと示唆したいわけではないけれど、私はジプシーで世界中を住みかとしているから、テルアビブに滞在していたとしても―『ARTPOP』に収録されている「ジプシー」の中で、「今日だけ私のホームとなって」と言うように、そこに滞在している間は私にとって家となるの。滞在していた時には、ビューティフルなエネルギーを感じたわ。
▲ 「ARTPOP」 (Live on The Tonight Show)
??先日U2が、Appleと組んでアルバムをリリースしましたね。そして近年ではジェイZやビヨンセも従来とは異なる方法でアルバムを発表しましたが、それらについてどう思いますか?ガガ自身もプロジェクトを準備している際に、それらをリリースする革新的な方法について考えたりしますか?
レディー・ガガ:私が心から思うのは、そしてこれは私の個人的な見解だけれど、今やるべきことは、アルバムに世界中が一時的に集中するように仕向ける方法を探すのではなく、メディアの扱いについてアーティスト自身が声をあげること、そして“セレブリティ”と“アーティスト”の境界線をきちんと設けること。だって今は2つとも同等に扱われているでしょ?全員一緒にされていて、ぶっちゃけ世の中には結構ひどいセレブリティもいるでしょ?理由なく有名な人々。だから、メディアが批判的にならずアーティストや音楽をより支援してくれれば…そして音楽を広める手助けや音楽は世の中にとってギフトなんだという視点を持ってくれればいいと思う。
メディアがより寛大になれば、世の中が大きく変わる、と心から私は思っているの。アメリカ国内で、ISIS(イスラム国)を支持するデモが起きたと聞くと、とても怖い。なぜならソーシャル・メディアは、世の中全体にネガティヴな含意を持たせてしまっているから。人々は、何を言っても、何をしてもいいと感じる。そこからは安堵感が生まれるけれど、実際には憎しみを培っているだけだと思う。アルバムのマーケティングの質問に対しての答えとしては、ちょっと的外れだってというのは自分でも分かってる。でも最終的には、音楽について書いている人々のハートに委ねられているの。アーティストをより称賛し、サポートすることで、より永久的にアートも生き続ける。そうでないのであれば、私が思う現代のポップ・ミュージック=巨大なタブロイド紙であり続ける。私に言わせてみれば、かなり下世話になったと思うわ。
Q&A by Associated Press / 2014年9月20日 Billboard.com掲載
"I Can't Give You Anything But Love" Studio Video
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Photo: WireImage
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