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「短い曲を書くのはスリリング」― ヨンシー&アレックス インタビュー
シガー・ロスのヴォーカリストとして知られるヨンシー・バーギッソンと公私においてのパートナーであるアレックス・ソマーズによるヨンシー&アレックス。これまでインストゥルメンタル・アルバム『ライスボーイ・スリープス』などでコラボレーションしてきた2人が初となるTVドラマのスコアに起用された。7月下旬より全米放映されているこのTVドラマ『Manhattan』では、1940年初期ニューメキシコで行われていた原子爆弾開発や実験“マンハッタン計画”に携わる人々の人間模様が描かれており、スコアのゴールとして「抑制」を挙げるアレックスと「いつもとはまったく異なるチャレンジだった」だったと話すヨンシーが、これまでの作品へのアプローチとの違い、シガー・ロスの最新作、さらにはヨンシーによる新たなる“実験”について語ってくれた。
より理性的であって、直感的ではない
??スコアを手掛けるというのは、シガー・ロスの作品やヨンシーのソロ・アルバム『ゴー』を手掛けるのとはまた違うと思いますが、起用された時に番組制作チームからはどのようなリクエストがありましたか?
ヨンシー:僕らがやってきたことのサウンドスケープのようなものだよね。
アレックス:(エグゼクティブ・プロデューサーの)サム・ショーは、典型的な映画音楽コンポーザーではない人物を望んでいた。僕らには映像に音楽をつけるという経験はほぼなかったから、そこが気にいってもらえたポイントだと思う。
▲ 「Happiness」 / Jonsi and Alex
??『ゴー』やインストゥルメンタル・アルバム『ライスボーイ・スリープス』へのアプローチとはどういったところが異なっていましたか?
アレックス:『ゴー』は何年もかけて書かれた莫大な数の曲を、現在のマインドセットでアレンジしたものだった。今回は数分に及ぶ短い音楽を書き、曲の構造については考えていない。より理性的であって、直感的ではない―でも10秒、15秒の瞬間に単に音楽をつけるのではなく、出来る限り音楽性のあるものにしようと努力している。1つの曲として存在できるものを書き、そこから短いセグメントにはめるように編集していく。色々学びながら、進めているという感じだね。
ヨンシー:短い曲を書くのはスリリングだよね。
??監督たちとの関係性について教えてください。
ヨンシー:エピソードのシーンを編集する時に、仮で使うのは僕らの音楽だけにして欲しいと言ってあるから、彼らの要求がかなり細かに理解できる。
アレックス:クリエイティヴ面では完全なる自由を与えられているから、初版が完成するまで何も言われない。好きなようにやったら、その後に僕らが思いつかなかった具体的なアイディアを戻してくれる。そして登場人物から感情を引き出す指示をしてくれるんだ。
??ソロ作品、シガー・ロスの作品を含め、次は何に取り掛かるのですか?
ヨンシー:まだ動きはあまりないけれど、新しいスタジオ・スペースがあるんだ。もうすぐ本腰をいれるつもり。いつだって水面下では何かが起こっているからね。
アレックス:そうそう。後、ヨンシーは、レイキャビック郊外の森から枝を集めて変な実験をするワークショップを行ってるんだ。その枝を入れた蒸留器でヘンテコな薬を作ってる。
??どんなものを調合したのですか?
ヨンシー:香りにすごく凝っていて、白樺、松とアンゼリカからエッセンシャル・オイルを煎じたいと思ってるんだけど、まだ成功したことはないんだ。
アレックス:いや、そんなことないよ。バーチタールを作ったのはクールだったよ。火を起こして、上にバケツを被せると、黒いタールが垂れてくるんだ。あれは強烈だったね。
Q&A by Phil Gallo / 2014年9月2日 Billboard.com掲載
MANHATTAN: "3-2-1" Jonsi and Alex Version
『ライスボーイ・スリープス』
2009/07/22 RELEASE
WPCR-50264 ¥ 2,619(税込)
Disc01
- 01.ハピネス
- 02.アトラス・ソング
- 03.インディアン・サマー
- 04.ストックセイリ
- 05.少年1904
- 06.オール・ザ・ビッグ・トリーズ
- 07.ダニエル・イン・ザ・シー
- 08.ハウル
- 09.スリーピング・ジャイアント
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