2021/04/28
2021年6月4日に発売されるビリー・F・ギボンズの3枚目のソロ・アルバム『ハードウェア』から2ndトラック「デザート・ハイ」の先行配信がスタートし、MVも公開された。
本楽曲はアルバムの中でも、より特異で印象的な曲で、神秘的な楽器の伴奏とともに、物語風のトーン・ポエム調の楽曲。最近ギボンズはここ数年、米カリフォルニアの砂漠地帯を活動の拠点にしており、昨年の夏にドラマーのマット・ソーラム、ギタリストのオースティン・ハンクスと一緒に『ハードウェア』のレコーディングをエスケープ・スタジオで決行、そのスタジオからインスピレーションを得た楽曲とのことだ。
ギボンズは、カリフォルニア州のジョシュア・ツリー周辺の砂漠をイメージして、不機嫌ながらも叙情的な語り口で曲を朗読している。 また、「デザート・ハイ」のMVは、ギボンズが65年式のダッジに乗って、埃っぽい砂漠の風景を巡っている。監督はハリー・リース、プロデュースはマット・ソーラムで、アルバムの既発曲である「ウェスト・コースト・ジャンキー」をスクリーンに映し出している。
この曲では、サソリ、サボテン、ガラガラヘビ、ワシの他に、3人の輝かしい音楽家の魂について言及している。 曲の中で、ビリーはこう言っている。「The desert toad takes me for a ride(砂漠のカエルがドライヴに連れて行ってくれる)、The Lizard King's always by my side(トカゲの王様が何時も一緒にいてくれる)」
トカゲの王様とは、もちろん、ドアーズの故ジム・モリソンの分身である。そして、砂漠のヒキガエルであるBufo Alvariusの毒は、強力な天然のサイケデリックであることも知っておくべきかもしれない。ビリーのZZトップの前身バンドであるムーヴィング・サイドウォークスは、60年代後半、ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンスやジェフ・ベック・グループ(ヴォーカルはロッド・スチュワート)と同様に、ドアーズとコンサートを共にしていた。
その後、「デザート・ハイ」の中でビリーはこう詠んでいる。「The Joshua Tree(ジョシュア・ツリー)、Gram died in room eight and left it all to Keith(グラムは8号室で亡くなり、すべてをキースに遺した)、Just a couple of miles from the salt and sea(塩と海からたった数マイル)」
グラムとは、かつてバーズやフライング・ブリトー・ブラザーズのメンバーでもあり、ローリング・ストーンズ(「Wild Horses」)とも共演したグラム・パーソンズのことである。そしてキースとは、ローリング・ストーンズのキース・リチャーズのことである。 パーソンズは1973年9月19日、ジョシュア・ツリー・インの8号室で亡くなった。キースはもちろん生き残っており、2004年にビリーとZZトップのメンバーをロックの殿堂入りさせることに尽力した。
リチャーズとギボンズの友情は、70年代初頭、ZZトップがストーンズと共演したハワイでの悪名高いコンサートにまでさかのぼる。 ZZトップがウエスタン調の衣装でホノルルに現れたとき、ストーンズの経営陣は間違ってカントリー・バンドをブッキングしてしまったのではないかと思ったが、ZZトップがステージに立ってロックを披露したことで、彼らの不安はすぐに解消されたのである。 "Salt"と "Sea"は、ジョシュア・ツリーの南45マイルに位置する人工的な内陸の汽水域、ソルトン海を斜めに表現したものである。
ビリーは「デザート・ハイ」のリリースについて次のようにコメントしている。「この曲は、“ハードウェア”の全体像を示すものではありませんが、このアルバムの乾燥した音の感覚を示しています。 砂漠は本当に神秘的な場所で、私たちはそこで時間をかけて熱やヴァイヴスを吸収し、それを生み出すことができました。 そこでは、自然の背景が最も生々しく、手つかずの状態になっています。 私たちがやったことは、何かを反映しているのではないかと思っています。あるいは、蜃気楼のようなものかもしれません」
『ハードウェア』は、ビリー・F・ギボンズがマット・ソーラム、マイク・フィオレンティーノと共にプロデュースした作品。 オーギー・マイヤーズとビル・シェフィードが作曲した「ヘイ・ベイビー、ケ・パソ」を除き、すべての曲はギボンズ、ソーラム、フィオレンティーノ、チャド・シュローサーが作曲も手掛けている。
◎リリース情報
アルバム『ハードウェア』
2021/6/4 RELEASE
https://jazz.lnk.to/BillyFGibbons_HardwarePR
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