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2021/03/20 16:35

<ライブレポート>【Mashroom 2021】東京公演リベンジ開催 テレン、パノパナ、サウシー、ヤジコ、ユレニワが熱演

 MASH A&Rが主催するイベント【MASH A&R presents「Mashroom 2021 ~Hello new wind~」】の東京公演が、3月14日に開催された。

 【Mashroom】は、MASH A&Rの所属バンドが年に一度、一堂に会する恒例イベント。2015年よりスタートし、今年で7回目の開催となる。本公演は、1月に中止となった東京公演のリベンジマッチで、2017年ぶりに恵比寿LIQUIDROOMにて開催された。

 オープニングアクトは、2019年に開催されたMASH A&Rのライブオーディション【MASH HUNT LIVE Vol.1】にて<BEST ARTIST>に選出されたEzoshika Gourmet Club。池澤英(Vo./Gt./key.)がフロアに向かって腕を振り上げ合図をすると、客席に座っていたオーディエンスが次々と立ち上がり、ライブがスタート。ドライブ感のある「東京」から、瑞々しいシンセの音色が印象的な「弾ける炭酸」へ。00年代の邦ロックバンドを彷彿とさせる、ポップとロックのいいとこ取りな楽曲には、親しみやすさを覚えたオーディエンスも多かったのではないだろうか。思わず口ずさみたくなるようなリフが癖になる「猫と占いと家具屋」からは、所属バンドではないものの、MASH A&Rの“一筋縄ではいかない”系譜が感じられた。また、5曲ノンストップで繰り広げられたライブからは、限られた時間の中で自分達の音楽を精一杯届けたいという強い意志が伝わってきた。アンコールのMCによると、LIQUIDROOMはバンド史上最大キャパだったとのことだが、それをまったく感じさせない自然体で堂々としたステージだった。

 続いて、本編トップバッターとなるPanorama Panama Townは、新旧織り交ぜたロックなセットリストでオンステージ。「SHINKACHI」、「いい趣味してるね」と活動初期の楽曲を連投した後は、昨夏に配信されたデモ音源公開制作番組“PPT Online Studio”より生まれた「Rodeo」へ。サビではコーラスに合わせて拳を突き上げる人々の姿も見られ、先月リリースされたばかりとは思えない盛り上がりを見せた。また「Rodeo」で特筆したいのが、間奏の雄たけびのようなコーラス。コロナ以前であれば、必ずコール&レスポンスが巻き起こっていたはず。あのセクションを会場の全員で歌える日が早く来るよう願うばかりだ。

 自己紹介代わりの「パノラマパナマタウンのテーマ」を挟み、タノアキヒコ(Ba.)のベースソロから岩渕想太(Vo./Gt.)がタイトルコール。「ロールプレイング」に突入すると縦ノリする人も増え、会場のテンションはますますヒートアップしていく。「SO YOUNG」のイントロでは「こんな時期だけど、ライブができてよかった」と岩渕。MCでも「2016年の【Mashroom】でオープニングアクトをやったのも、前のドラムが最後に立ったのも、喉の手術の前最後のライブもLIQUIDROOMでした。この会場には積み残してきたものがいっぱいあるような気がしてます」と、LIQUIDROOMに対する思いを語った。ライブのラストには、ここLIQUIDROOMで多くのオーディエンスと熱狂を生み出してきた「MOMO」、そして4月にリリースされる最新EPより「Sad Good Night」を披露。オーディエンスやライブハウスへの強い思いを感じる、力強いライブだった。

 2019年の【Mashroom】では、初登場で強烈なインパクトを残したユレニワ。2回目の出演となる今回のステージは、ミドルテンポの「焦熱」で幕を開ける。2曲目「Cherie」では、雰囲気が一転。曲が展開していくごとにダイナミクスを増していき、サビでは耳をつんざくような爆音ギターが炸裂する。さらに「だらしないね」では、シロナカムラ(Vo./Gt.)の退廃的なボーカルが生々しさを増幅。ガンガンに歪みまくったバンドサウンドと、衝動の赴くままに動き回るフロント3人の姿に、多くのオーディエンスはただただ圧倒されていた。「あんまりこういうのも何ですけど……みなさん、僕らのことどう思ってます?」とシロが尋ね、少しざわつくフロア。「“Saucy Dogめっちゃ好きです”って人が、はたしてユレニワ好きになってくれるかなあ。頑張っていきます」とはにかみ、後半2曲はバラードをプレイ。赤裸々なラブソング「Bianca」から「fusée 101」を挟み披露された「まぼろしの夜に」ではエモーショナルを爆発させ、演奏終了後には満身創痍で「アイラブユー、ありがとうございました」とシロの言葉で締め、ステージを去っていった。

 3番手には、ニューアルバム『アウトドア』をリリースしたばかりのYAJICO GIRLが登場。メンバーの顔が見えないほど薄暗いステージは没入感高め。オルガンの音色が響き「NIGHTS」がスタートすると、オーディエンスは思い思いに体を揺らす。細かいハイハットの刻みやデジタルクワイアを取り入れた「2019」、音数少なめのクールなダンスポップ「WAV」、ベースが気持ち良く曲をリードする「Surfing」と、シームレスに曲を繋げていく。曲のアレンジや歌の譜割りからは、R&B、アンビエントなど、さまざまなジャンルからの影響が感じられる。「熱が醒めるまで」では、客席から自ずとクラップも巻き起こり、会場はあたたかなムードに包まれた。ラストソング「Better」では、ステージギリギリまで躍り出て、フロアに語りかけるように歌う四方颯人(Vo.)。全8曲、ほぼMCなしだったが、洗練された楽曲の中にもフレンドリーな印象を感じるステージだった。

 トリ前を任されたのは、2月に自身初の武道館公演を成功させたSaucy Dog。オープニング・ナンバー「シーグラス」から多くのオーディエンスの腕が上がっていたことからも、その人気がうかがえる。「Saucy Dog始めます、どうぞよろしくー!」(Vo./Gt.石原慎也)と挨拶しながら、間髪入れずに「メトロノウム」へ。落ちサビの<トンネルの闇の中を抜けた先は明るいはず>という歌詞は、コロナ禍の出口が見えない今聴くと尚更響く。

 Saucy Dogのライブの中でメンバーの個性が出るMCパートでは、「【Mashroom】って、私達にとっては久しぶりに同じ事務所の全バンドを見られる機会でもあって。どのバンドも毎年めちゃめちゃ良くなってて、負けてられんなあと思わせてくれます。めっちゃいいバンドばっかりじゃですか?」と、せとゆいか(Dr./Cho.)が客席に問いかけ、拍手が巻き起こる。3人の抜群のコーラスワークを発揮した「雀ノ欠伸」、パワフルな演奏で魅せた「ゴーストバスター」とアップテンポのナンバーを続けた後、2度目のMCでは、緊張気味の石原に秋澤(Ba./Cho.)とせとが緊張緩和術を伝授する一幕も。和やかなムードで進行してきたライブのラストは、「とっておきの愛の歌を」と、ラブバラード「sugar」を披露。エモーショナルな演奏で、トリのLAMP IN TERRENにバトンを渡した。

 【Mashroom】第1回目から出演しているLAMP IN TERRENだが、トリを務めるのは今年が初。楽器のセッティングが終わると、メンバーは捌けずそのままライブがスタート。1曲目は、バンドのマスターピースとも呼び声の高い「BABY STEP」。続けて「ほむらの果て」で、重厚なアンサンブルを聴かせる。「凡人ダグ」では、「もっとにバカになりませんか?」(Vo./Gt./Pf.松本大)と挑発し、フロアのムードをガッチリ引っ張り上げる。中盤は、ホープネスなギターロック「ホワイトライクミー」、ダンサブルなポップナンバー「地球儀」と、開放感溢れる楽曲が続き、会場はこの日一番の盛り上がりを見せる。「まだ飛んだり跳ねたりすることできますか!」「疲れるくらいが良い思い出になると思ってます。全員見えてますよ、いいですか?」とフロアにガンガン声をかけ、コミュニケーションを取る松本。その横で笑顔を見せながら演奏する大屋真太郎(Gt.)、中原健仁(Ba.)、川口大喜(Dr.)。その多幸感に満ちた光景は、たとえ制限のあるライブでも、音楽で通じ合えることができると証明しているようだった。

 MCでは、東京公演が一度中止になったことを振り返りながら、開催に踏み切ったMASH A&Rのスタッフと各バンドを支えるスタッフ、今回出演したバンド達と集まったオーディエンスに感謝を伝える松本。「俺は自分が歌うことで、みなさんの人生を少しでも彩ることができると信じているので続けています。みなさんもそう。みなさんが生きれば人生は続いていく。その続いていく人生が少しでも楽しくなるように、俺達は全力でライブするし、“良い曲書いたな”って思いたい。そのために曲を作って、みなさんにずっと届けていきたいと思っています。だからこんな状況下でも、歌えば、歌える。続ければ、続いていく。生きていれば、生きていることができる。それがずっと楽しいものであるように、感動できるものであるように、ずっと歌っていきます。好きなバンドがいるなら、その好きなバンドのことを一生懸命、好きな間、好きな分だけ、愛してあげてください」

 そしてアンコールは、【Mashroom】恒例のコラボレーション・パートへ。今年はトリのLAMP IN TERRENが企画を担当。この日出演したバンドの楽曲をテレン流にアレンジし、各バンドのボーカルを招きセッションを敢行した。ちなみに披露されたカバー楽曲は、すべて大阪公演とは異なる楽曲となる。ユレニワのシロは「だらしないね」、YAJICO GIRLの四方は「WAV」、Saucy Dogの石原は「シーグラス」、Panorama Panama Townの岩渕は「フカンショウ」をそれぞれ披露。ラストはオープニングアクトを務めたEzoshika Gourmet Club の池澤を含めた全ボーカルが集結し、総勢9人でLAMP IN TERRENの「EYE」を演奏。大団円でこの日のイベントは締めくくられた。

 なお本公演のアーカイブ配信は、明日3月21日23:59まで視聴可能となっている。

Photo:山川哲矢(Ezoshika Gourmet Club/ユレニワ/Saucy Dog/アンコール)、小杉歩(Panorama Panama Town/YAJICO GIRL/LAMP IN TERREN/アンコール)
Text:Mika Fuchii


◎公演情報
【MASH A&R presents「Mashroom 2021 t~Hello new wind~」】
2021年3月14日(日)
東京・恵比寿LIQUIDROOM
<出演>
LAMP IN TERREN/Panorama Panama Town/Saucy Dog/YAJICO GIRL/ユレニワ
OA:Ezoshika Gourmet Club

<セットリスト>
◆Ezoshika Gourmet Club
1. 東京
2. 弾ける炭酸
3. 青山通り
4. 猫と占いと家具屋
5. 新曲

◆Panorama Panama Town
1. SHINKACHI
2. いい趣味してるね
3. Rodeo
4. パノラマパナマタウンのテーマ
5. ロールプレイング
6. SO YOUNG
7. MOMO
8. Sad Good Night

◆ユレニワ
1. 焦熱
2. Cherie
3. だらしないね
4. Bianca
5. fusee 101 ※4文字目のeはアキュート・アクセント付き
6. まぼろしの夜に

◆YAJICO GIRL
1. NIGHTS
2. 2019
3. 街の中で
4. WAV
5. Surfing
6. 熱が醒めるまで
7. FIVE
8. Better

◆Saucy Dog
1.シーグラス
2.メトロノウム
3. BLUE
4. 雀ノ欠伸
5. ゴーストバスター
6. バンドワゴンに乗って
7. sugar

◆LAMP IN TERREN
1. BABY STEP
2. ほむらの果て
3. 凡人ダグ
4. ホワイトライクミー
5. 地球儀
6. いつものこと
7. Fragile

◆アンコール
1. だらしないね ゲストボーカル:シロナカムラ(ユレニワ)
2. WAV ゲストボーカル:四方(YAJICO GIRL)
3. シーグラス ゲストボーカル:石原(Saucy Dog)
4. フカンショウ ゲストボーカル:岩渕(Panorama Panama Town)
5. EYE

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