2021/02/23
織田哲郎が、2月21日に【幻奏夜V】をBillboard Live YOKOHAMAで開催した。
本公演は、織田哲郎のオリジナル曲や提供曲をストリングス編成で届ける好評のシリーズライブ第5弾。ミュージシャンにとっても災難な年となった2020年、織田はちょうどこの日から1年前となる2月29日に、予定されていた公演が中止になったことをきっかけに配信ライブを開催。その後は8月25日に有観客で【オダテツ90分トーキング vol.2】を決行した。コロナ禍で他のミュージシャンに先立ち、模範になってきた織田。
そんな彼が、毎回新しいアレンジで観客を魅了させる公演が【幻奏夜】だ。同シリーズは今年、1月9日にヒューリックホール東京で、2月13日にBillboard Live OSAKAで開催。本稿では、2月21日に行われたBillboard Live YOKOHAMA公演の2ndステージをレポートする。メンバーには、バイオリニストの桜井大士や、ジャズベーシストの金森基などを迎え、より色っぽく、大人の味わいが詰まった演奏を堪能することができた。
開演後、颯爽とステージに登場した織田。ステージに用意された椅子に座るや否や「今日のためにキラキラした服を買ってきたんだよ」と衣装について話をし始め、序盤から会場を和ませる。そしてライブは「君に会うために」でスタート。【幻奏夜Ⅲ】と【幻奏夜Ⅳ】では、2曲目に披露されてきたバラード曲だ。今回一発目にパフォーマンスされたのも、「君に会うためきっと 僕は生きてきたんだね」という歌詞を聴くと、織田が今一番伝えたいことなのだろうと想像させられる。続いて、アコースティックギターを抱え、言わずもがな人気のナンバー「世界中の誰よりきっと」をしっとりと歌い上げた。
ピアノの前に移動すると、1月から放送されているテレビアニメ『怪病医ラムネ』の劇中音楽を担当していることについて語り始める。そしてそのまま披露された楽曲は「ラムネのテーマ」。叙情的なサウンドと、ポップスの明るさが絶妙なバランスで約1分に収められているインストゥルメンタルだ。その後に披露された「世界が終わるまでは」では、ピアノとストリングスの美麗なアンサンブルに心揺さぶられた。さらにラストサビでは、ストリングスのビブラートで世界観を広げたようなアレンジが圧巻だった。続けて披露されたのは最新シングルのバラード曲「CAFE BROKEN HEART」。織田の甘い歌声が会場全体を優しく包み込んだ。また、その後の「恋心」では、オーケストラの緊張感あふれる伴奏に、織田が緩急ある歌声を乗せる。2番からパーカッションが加わり、各楽器も音数を増やして疾走感を生み出すアレンジで観客を惹きつけていく。
中盤MCでは、(マスクを付けているため)観客の声や表情が分からない昨今のライブについて「相当異様なんです」と心境を語った。最近はその空間に慣れているものの、「皆さん是非とも拍手してくれる時、手拍子してくれる時、普段の3割増しぐらいの気合いでしてくれると嬉しいです」という思いを伝えると、観客から大きな拍手が送られた。次に披露された楽曲は、2020年末からライブで披露されている新曲「流星」。織田の哀愁感漂うギターのアルペジオに合わせて、オーケストラが幻想的な空間を作り出した。続いて「ブル―スフレーズを弦に弾いてもらう。そうするといい味が出るんですよ」という振りから、カッティングが冴えるナンバー「背中には今もブルースが張りついたまま」を披露していく。
耳馴染みのあるイントロが聴こえてきたところで、「ちょっと待った!今のカット!」と一旦チューニングを挟み、ハプニングを笑いに変える織田。そして「いつまでも変わらぬ愛を」で会場を盛り上げた後は、終盤のMCへ。「今年はいい年になってくれたらいいなと心から思います」と願いを込めて、最後にパフォーマンスされた楽曲は「祈り」だ。「漆黒の夜はいつか明けていくだろう」といった歌詞を一つ一つ噛み締めて歌う織田の姿に、感極まった観客がいたに違いない。
アンコールでは「拍手3割増しでお願いします」と改めて観客に語りかけ、アップテンポなナンバー「BOMBER GIRL」を大きな拍手に包まれながら笑顔で歌い上げた。最後にメンバーも紹介し、観客に「ほんとにありがとね」と改めて感謝を伝える織田。そんなライブは最高潮のままフィニッシュを迎えた。
5回目となる【幻奏夜】は、織田が好きな弦楽器の本質を体全体で感じることができる、今後の【幻奏夜】もより一層待ち遠しいライブとなった。なお、本公演は2月24日までアーカイブ配信されているので、こちらも是非チェックを。
Text by Tatsuya Tanami
Photo by Koichi Morishima
◎公演情報
【幻奏夜V】
2021年2月21日(日)
Billboard Live YOKOHAMA
チケット:2,800円
チケット購入URL:
https://eplus.jp/sf/detail/3354290002-P0030003?P4=001&P6=001&P1=0402&P59=1
販売期間:2月24日(水)21:00まで
アーカイブ配信:2月24日まで
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