2020/09/02
2020年8月29日に配信イベント【a-nation online 2020】が開催された。
2002年の第1回開催から今年で19回目を迎え、これまでの観客動員数は610万人を超える国内最大級の音楽フェス【a nation】。今年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を鑑み、史上初のオンライン・フェス【a nation online 2020】として開催された。また、1日に限ると、今回は過去最大の出演者数となった。
本記事では、【a nation online 2020】に出演したアーティストの中から何組か絞って、その模様をレポートする。
・大塚紗英
<Blue Stage>のトップバッターは、メディアミックスプロジェクト『BanG Dream!』の花園たえ役や、Poppin’ Partyのリードギターとしても知られる、2020年2月にエイベックスよりデビューしたシンガーソングライターの大塚紗英が務めた。大塚紗英の持ち時間は「ぬか漬け」「What's your Identity?」の2曲のみという短いもの。「ぬか漬け」では流れるようなメロディの中で、時には倒れこんで歌唱するなど動きのあるステージであったのと対照的に、「What's your Identity?」ではギターを持ちながらマイクスタンドの前で歌い上げた。今回、自分の私服を3着縫い合わせて作ったトップスと、「ぬか漬け」のMVでも着ていたスカートという衣装で登場した大塚紗英。短い時間でありながらも、自身のアイデンティティを前面に出した、印象に残るステージとなった。
・三浦大知
<Green Stage>にはバックバンドと4人のダンサーと一緒にステージに立った三浦大知が登場。2020年6月にリリースした「Yours」で切れのあるダンスをさっそく披露して始まった今回のライブ。「音楽でつながりましょう!」と言った三浦大知は2曲目に「Blizzard」を披露。終始オンラインの向こう側にいる観客に語りかけるような歌い方、そして表情を見せた。「皆さんそれぞれの形、それぞれのスタイルでこのオンラインライブ楽しんでくれたらうれしいです」と言って次に披露したのは“完璧な休日”こと「Perfect Day Off」。大きく手を振って観客に呼びかける三浦大知は「みんなのことは見えないけど最高なのは伝わってきます!」と、多幸感あふれる表情とモーションで応えた。「Be Myself」でラストスパートのボルテージを上げると、最後の1曲「I'm Here」では、「Goodbye Goodbye Goodbye」のコーラスをベースに紡ぎだされる丁寧な歌詞が、自分のためだけに語られているような感覚になった人もいるだろう、穏やかかつ力強いメッセージとして響いた。
・BALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBE
「ANTI-HERO`S」「44RAIDERS」「テンハネ -1000%-」とラップ調の歌唱と、7人の大きくステージを使ったコンビネーションの良いダンスで画面を映えさせるBALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBE。特に「44RAIDERS」の間奏で、赤黒くビビッドに光る照明の中でのV字に並んだダンスは序盤のハイライトだったであろう。「最高の夏の思い出をなってもらえれば」と、8月10日に配信リリースされた「SUMMER HYPE」を【a-nation online 2020】で初披露。「風」「砂浜」「太陽」など、野外を連想する楽曲に仕上がっている爽やかな「SUMMER HYPE」だが、決して野外だけでなく、屋内でもダンスしてインターネットの海に投稿してファンとつながるという、そのような両軸を持った楽曲だ。そして最後はまとわりつくような暑さも感じられる「PASION」で熱を高めて終了。ステージで躍動するメンバーそれぞれの顔がはっきり見えるという、オンラインライブの特徴の1つを存分に感じるステージでもあっただろう。
・Novelbright
いきなり代表曲「Walking with you」で始まったNovelbright。2曲目にはミドルテンポの「君色ノート」では、竹中雄大のその透明感のあるボーカルがより伸びやかに鳴り響いた。バラードである「また明日」では、その声がより主軸となって機能する。8月17日に配信リリースされた新曲のサマーチューン「Sunny drop」では、「君色ノート」「また明日」同様の透明感を持ちながらも、切れ味を増して、1点集中で遠くに飛ばすようなイメージを持った歌を魅せた。そのままの勢いでアップチューン「Morning Light」へ続くNovelbright。最後に披露した「拝啓、親愛なる君へ」では、伸びる澄んだ歌声を最大限に活かしたアンセムとして投下され、きれいに締めくくった。【a-nation】においてバンドとして出演するアーティストが少ないのは確かだが、その中でも確かな存在感を示したNovelbright。次は会場で見れる日を楽しみにしよう。
・Da-iCE
Official髭男dismの藤原聡が提供したことでも注目された1曲目「FAKE ME FAKE ME OUT」では、大きなウワモノの音と動くベースの中で、キメのはっきりしたダンスを挨拶代わりに披露。ボーカルの大野雄大と花村想太の声質の違いが、ボーカルチェンジの度に意識され、それが心地よい掛け合いに昇華される。MCをするとチャンネルを替えられると怖がったDa-iCEメンバーは、「FAKESHOW」に突入すると、ダークな雰囲気と明るい雰囲気が交差する流れをシームレスに表現。「Chocolate Sympathy」では椅子を使ったパフォーマンスが印象的に見え、違った絵を作り出した。花村は上着を1枚脱ぎ、大野は汗びっしょりで、ラストスパートでは“夏っぽい曲”である「君色」を繰り出した。最後には、8月26日にリリースされ、TVアニメ『ONE PIECE』の主題歌に起用された「DREAMIN' ON」を、最高にポジティブな空気を醸し出して披露。最後は5人が横並びで背を向け、こぶしを高く突き出すという、ONE PIECEさながらのポーズで締めくくった。
・Red Velvet
韓国の女性アイドルグループであるRed Velvetは<Yellow Stage>に立った。IRENEとSEULGIによる「Monster」では、寸分の狂いもないダンスで視聴者の目を引き付ける。メンバー全員が揃った2曲目「Psycho」は日本初披露。笑っているのか怒っているのか、嘆いているのか判別しにくい目線が、よりRed Velvetへの興味を引き立てる。後半では夏っぽい曲として、少し「チル」な「Bad Boy」でクールにキメたあと、アッパーかつダンサブルな「Umpah Umpah」で盛り上げた。最後に披露した「Red Flavor」は、先に述べたダンスの統一感やアッパーな雰囲気ななおのこと、メンバー全員の混声が一番映えた楽曲になっただろう。「Red Flavor」を披露し終えた後、画面いっぱいにメンバー一人ひとりの笑顔が映し出され、最終的にはチャーミングな雰囲気を残して終了した。
・SKY-HI
冒頭、暗い影から白い衣装をまとったSKY-HIが「SKY`s The Limit」を1発目として繰り出した。2曲目の「Simply Yourlife」の歌詞と呼応するように、レーザーが舞台のところどころを照射し、白なのか黒なのか曖昧な世界を作り出す。空間を覆うインスタレーション的な映像と引きの映像を効果的に使い、「Doppelgänger」や「Persona」「Run Ya」「何様」を矢継ぎ早に披露。「全部ぶつけに行くぞ!」と鬼気迫る雰囲気で「F-3」に移ると、身体表現もより鬼気迫り、ステージに跪きながら何かに訴えかけるような表情を見せた。そして、SKY-HIが自身のバンドであるSUPER FLYERSと共に“自宅セッションで作り上げる楽曲”として発表した「#Homesession」では、鬼気迫る感じからリスナーの後押しとなるようなメッセージを説得力を持ちながらも優しさも併せ持った声で披露。そこからは「Double Down」「Seaside Bound」「カミツレベルベット2020」とリスナーも一緒に掛け声をあげたくなるような、前半とは対照的な楽曲を投下していく。「俺は今日もステージの上で、お前に向けて歌ってるぞ!」と「カミツレベルベット2020」で宣言したSKY-HIは最後に「Snatchaway」を披露。SKY-HIの纏う白が、紛れもない白として鮮やかに輝いて見えただろう。
・浜崎あゆみ
【a-nation online 2020】のトリを飾ったのは浜崎あゆみ。くっきー!(野性爆弾)が制作したオープニング映像が流れた後に登場した浜崎あゆみの1曲目は、2020年7月31日にリリースされ、小室哲哉が作曲を手掛けた「Dreamed a Dream」となった。激しく踊る男女ダンサーの中央で黒い衣装に身を包んだ浜崎あゆみが威風堂々と歌い上げる。「INSPIRE」でもメリハリのある濱崎あゆみといえばこれだといった声を響かせた。ダンサーによる多種多様なダンスでさらにステージを高揚させたあと、衣装を変えた浜崎あゆみが再登場し「vogue」「Far away」「SEASONS」と、「絶望三部作」と言われる3曲が披露され、「Far away」の最後では泣き崩れるような仕草も見せた。「SEASONS」では、今まで周りを彩っていたダンサーたちもいなくなり、バックコーラス2人を後方に配置しながらも、浜崎あゆみ1人がステージ前方で一つ一つの言葉を慎重にゆったりと艶やかにに歌い上げ、最後には後方のスクリーンに「fin」の文字が表れて消えていった。
またしても一旦はけた浜崎あゆみは、ステージ下から浴衣姿で再々登場。「Greatful days」「glitter」「Independent」「Sunrise/Sunset ~LOVE is ALL~」「You & Me」と夏にピッタリなメドレーを惜しげもなくどんどん繰り出していく。そして明るかったメドレーから淡い青のライトの中で、徐々に興奮を高めて「BLUE BIRD」を、とても元気に、ただ少し感傷的に披露した。そして最後の曲は「July 1st」。「いーくーよーっ!」の掛け声でサビに入るところなど、最後の最後までボルテージを上げ続けて終了。客席上手、下手、そして中央に「ありがとうございました!」とダンサーとともに深くお辞儀をすると、コメント欄も「ありがとう」で溢れかえった。浜崎あゆみがいなくなったステージには花火がスクリーンに映し出され、【a-nation online 2020】も無事終了した。
今回、初のオンライン開催となった【a-nation online 2020】。配信でのライブが音楽カルチャーの1つとして根付いていき、さらに配信ライブのプラットフォームは進化していくだろう。日本のみならず世界へも配信可能なオンラインライブ。来年の【a-nation】がどのように開催されるかまだ分からないが、今後の【a-nation】およびエイベックスの配信ライブが進化していくための、観客への新たな楽しみを作り出した【a-nation online 2020】だっただろう。
Text by Akihiro Ota
◎公演情報
【a-nation online 2020】
2020年8月29日(土)
<大塚紗英>
01. ぬか漬け
02. What's your Identity?
<三浦大知>
01. Yours
02. Blizzard
03. (RE)PLAY
04. Perfect Day Off
05. EXCITE
06. I'm Here
<BALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBE>
01. ANTI-HERO`S
02. 44RAIDERS
03. テンハネ -1000%-
04. SUMMER HYPE
05. PASION
<Novelbright>
01. Walking with you
02. 君色ノート
03. また明日
04. Sunny drop
05. Morning Light
06. 拝啓、親愛なる君へ
<Da-iCE>
01. FAKE ME FAKE ME OUT
02. Phoenix
03. FAKESHOW
04. Back To Back
05. Chocolate Sympathy
06. 君色
07. DREAMIN' ON
<Red Velvet>
01. Monster(IRENE & SEULGI)
02. Psycho
03. Bad Boy
04. Umpah Umpah
05. Red Flavor
<SKY-HI>
01. SKY's The Limit
02. Simply Yourlife
03. Doppeelganger
04. Persona
05. Run Ya
06. 何様
07. F-3
08. Double Down
09. Seaside Bound
10. カミツレベルベット2020
11. Snatchaway
<浜崎あゆみ>
01. Dreamd a Dream
02. Startin’
03. vogue
04. Far away
05. SEASONS
06. medley
07. BLUE BIRD
08. July 1st
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