2020/07/19
2020年7月20日付のBillboard JAPAN週間“Top Albums Sales”で、BiSH『FOR LiVE -BiSH BEST-』が50,199枚を売り上げ、1位を獲得した(集計期間2020年7月6日~2020年7月12日)。
『FOR LiVE -BiSH BEST-』は、前作『CARROTS and STiCKS』から約1年ぶりとなるアルバムで、このベストアルバムは新型コロナウイルス感染拡大により営業自粛を続けているライブハウスおよびCDショップに対して、何か貢献できないかというBiSHの思いから制作された。販売経路は全国のCDショップ及びCDショップが運営するECサイトのみで、サブスクやデジタル配信行われない。そしてこのアルバムの発売会社であるavexと運営会社であるWACKの収益全額が全国のライブハウスに全額寄付される。
今回はBiSHの人気がどのように広がっていったか、SoundScanJapanのデータを使用し調査した。まず、全6作のアルバムの発売初週の販路別(実店舗とEコマース)の販売枚数をグラフ化したものが図1(http://www.billboard-japan.com/d_news/image/90197/2)である。ただし、4作目『THE GUERRiLLA BiSH』についてはアナウンスされた発売日前にゲリラ先行販売を行われたため、ゲリラ先行発売分を除いたデータと加算したデータを両方入れている。
この表を見ると、全体的に右肩上がりのグラフになっており、リリース毎に着実に販売枚数を伸ばし、順調にファンを獲得している事が見て取れる。今作においては、初めてのベスト盤であり、ストリーミングやデジタル配信がないとはいえ、1形態のみの発売である事、上述の通り販路を限定している事、リリースに付随した特典会を行っていない事、告知からリリースまでの時間が短かった事等、過去作と比べると不利な条件が多くある。ただ、収益がCDショップやライブハウスなどに還元されるという企画へ賛同したファンによって、前作より1.2万枚以上販売枚数を伸ばし、アルバム・セールスチャートでも初めて首位を獲得することができた。もちろんBiSHの人気が広がっている事が最も大きな要因であるが、企画力とその実行のスピードも大きな後押しとなったことだろう。
さらに、EコマースについてはCDショップが運営するECサイトのみの販売と、販路がかなり制限されているにも関わらず、過去作と比較してもEコマースの販売比率が伸びている。おそらく新型コロナの影響で、大型CDショップのある繁華街への外出を自粛していること、また店舗での特典会が行われていないことによるものだろう。ただ逆に言えばBiSHは特典会等を行わなくても、ECによってセールスを伸ばすことができるということへの証明とも言える。
次に、『FOR LiVE -BiSH BEST-』が前作『CARROTS and STiCKS』と比較して地域別の販売比率がどのような変化があったのかを調査した。一般的なアルバムの地域別の販売比率として2020年に販売された全アルバムの販売比率と、前作については発売初週と、現在までの累計の地域別の販売比率を調査し、グラフ化した物が(http://www.billboard-japan.com/d_news/image/90197/3)である。
前作『CARROTS and STiCKS』は発売初週の販売比率は全アルバムと比較しても関東地方・近畿地方の比率が非常に大きくなっている、そして、『CARROTS and STiCKS』の累計を見ると関東地方や近畿地方の販売比率は減少し、他の全ての地方の販売比率は増加している。これは、初週は大都市を中心にリリースイベントを行い販売数を伸ばしていた事が影響していると考えられる。今作『FOR LiVE -BiSH BEST-』は、発売初週から更に地方色が強くなり、発売初週の販売比率は『CARROTS and STiCKS』と全く逆で関東地方、近畿地方のみが全アルバムより少なく、他の全ての地方は大きくなっている。この結果を見ると、すでにBiSHの知名度は全国に浸透しているようだ。また、四国地方3.1%(全アルバムは2.1%)、甲信越地方5.6%(全アルバムは4.1%)、中部地方14.9%(全アルバムは11.9%)は非常に大きい伸び率となっており、中部地方は近畿地方10.3%を抜いて、関東地方に次ぐ販売比率となっている。
BiSHは、首位を獲得した今作『FOR LiVE -BiSH BEST-』の発売から2週間後、勢いがあるまま2020年7月22日にメジャー3.5th(通算6枚目)のオリジナルアルバムを発売する。こちらもヒットを予感させるが、今後も彼女たちの活躍から目が離せない。
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