2020/07/04 13:10
Official髭男dismやKing Gnuなどに代表されるように、ここ最近の傾向としてシングルはデジタル・リリースのみで行い、アルバムをフィジカルのCDで売り伸ばすというパターンが一般化してきた。
ヨルシカもそういったアーティストに数えられるだろう。n-bunaとsuisによって2017年に結成されたヨルシカは、当初こそCDがメインだったが、シングルは基本的にデジタルのみのリリースとなっている。今週23位にランクインした「花に亡霊」は、メジャー・デビューしてから3作目の配信シングル(【表1】)。ラジオのオンエアが先行して盛り上げた後、4月22日にダウンロードとストリーミングがスタートし、ミュージックビデオも同タイミングで公開されている。
最初のピークは、やはりこのリリース時であるが、この曲は粘り強い。少しずつチャートは下降していったが、6月頭から再び上昇傾向に変わっている。おそらくこの曲が主題歌となったアニメ映画『泣きたい私は猫をかぶる』の影響も大きいだろう。本来であれば劇場公開されるはずの映画だったが、6月18日からNetflix独占で配信されている。その話題もあって、「花に亡霊」の動きにも変化が出たといえるのではないだろうか。加えて、6月24日には4作目のシングル「思想犯」も配信開始され、その影響もあるはずだ。
また、映画や新曲の話題の後には、彼らの3作目となるオリジナル・アルバム『盗作』が7月29日に控えている。おそらくその前後ではさらに露出も増え、チャートがさらに上がることが予測できる。あとは、どこまでこの楽曲にパワーがあるのかが、ロングヒットするかどうかの分かれ道となる。そしておそらく、最終的にはストリーミングで長く聴かれることによって、チャートインし続けていくのだ。
今後もテレビ、ラジオ、映画、そしてSNSなど様々なツールを使ってプロモーションは行われるだろう。ただ、目的は露出ではなく、広く長く聴かれること。そのポイントを押さえれば、ロングヒットへの礎となり、自身の代表曲へと成長していくに違いない。Text:栗本斉
◎栗本斉:旅&音楽ライター、選曲家。レコード会社勤務の傍ら、音楽ライターやDJとして活動を開始。退社後、2年間中南米を放浪し、現地の音楽を浴びる。その後フリーランスとして活動した後、2008年から2013年までビルボードライブのブッキングマネージャーに就任。フリーランスに戻り、雑誌やライナーノーツなどの執筆や音楽評論、ラジオやストリーミングサービスにおける構成選曲などを行っている。
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