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2020/05/11

【米ビルボード・アルバム・チャート】ケニー・チェズニー初登場1位、ドレイクが2位に続く

 ケニー・チェズニーの新作『ヒア・アンド・ナウ』が1位に初登場した、今週の米ビルボード・アルバム・チャート。

 本作は、2018年8月11日付チャートで2位にデビューした前作『ソングス・フォー・ザ・セインツ』から約2年ぶり、通算19作目のスタジオ・アルバム。TOP10入りは16作目で、2010年以降は8作全てのアルバムが1位、もしくは2位を獲得している。

 これで、Billboard 200での首位獲得数を9作目に更新したケニー・チェズニー。カントリー・シンガーとしてはガース・ブルックスと並ぶ歴代最多で、同9作にはその他ドレイク、マドンナ、ローリング・ストーンズ、カニエ・ウェストの計6組がいる。歴代最多はビートルズの19作で、続いてジェイ・Zの14作、ブルース・スプリングスティーンとバーブラ・ストライサンドの11作、エミネムとエルヴィス・プレスリーの10作が上位6組。

 『ヒア・アンド・ナウ』の初動ユニット数は233,000で、そのうちアルバム・セールスが222,000、アルバム・ストリーミング(SEA)分が10,000、楽曲によるユニット数(TEA)は1,000だった。売上には、今月末からスタートする予定のツアー【Chillaxification Tour】のチケットによるバンドルが含まれている。カントリー・アルバムとしては、2018年9月29日付チャートでNo.1デビューした、キャリー・アンダーウッドの『クライ・プリティ』(266,000ユニット)以来の好成績。

 2020年度としては、3月7日付チャートでBTSの『Map of the Soul:7』が打ち出した347,000、4月4日付チャートでザ・ウィークエンドの『アフター・アワーズ』が記録した275,000に次ぐ3番目に高い週間セールスとなっている。

 なお、2020年度のチャートでカントリー・アルバムが首位を獲得するのは初の快挙で、2019年11月23日付チャートでルーク・コムズの『ホワット・ユー・シー・イズ・ホワット・ユー・ゲット』が記録して以来、約半年ぶりとなる。  

 その『ヒア・アンド・ナウ』にはわずか及ばず、ドレイクの新ミックステープ『ダーク・レーン・デモ・テープス』は2位にデビューした。なお、前述の『ソングス・フォー・ザ・セインツ』が2位にデビューした2018年8月11日付チャートでは、ドレイクの『スコーピオン』が首位を勝ち取っている。ドレイクは、これでBillboard 200でのTOP10獲得数を12作目に更新した。

 『ダーク・レーン・デモ・テープス』の初動ユニットは223,000で、そのうち201,000がアルバム・ストリーミング分(SEA)、楽曲によるユニット数(TEA)が4,000、アルバム・セールスは19,000と、1位のケニー・チェズニーとは対照的な内訳だった。初週の視聴回数は2億9,910万回で、2020年度ではリル・ウージー・ヴァートの『エターナル・アテイク』(3月21日~28日)に次ぐ、3番目に高い週間ストリーミングを記録している。

 対照的なのはセールス/ストリーミングの比率だけでなく、『ヒア・アンド・ナウ』はチケットのバンドルが多く含まれるのに対し、『ダーク・レーン・デモ・テープス』はチケットやグッズの販売が一切なく、デジタル・ダウンロードのみの販売だったこと。また、ケニー・チェズニーは事前にリリースを告知していたのに対し、ドレイクは発売の数時間前にSNSで発表しただけと、プロモーションの様態にも対極がみられる。

 新型コロナウイルスの影響により新作の延期が増え、ここ1~2数か月はユニット数の減少がみられたが、エミネムの『ミュージック・トゥ・ビー・マーダード・バイ』(279,000ユニット)と、ホールジーの『マニック』(239,000ユニット)が並んだ2月1日付チャート以来、約3か月ぶりに上位2作品が20万ユニットを突破した。

 『ダーク・レーン・デモ・テープス』は、これまでSoundCloudやSNS等でリークされたナンバーや、新曲が含まれた未発表曲集で、正式な新作(スタジオ・アルバム)は今年の夏に発表する予定だと公言している。

 先週5位にランクインしていたリル・ベイビーの『マイ・ターン』は、前週比147%増の100,000ユニットを記録し、3位にTOP3復帰した。ストリーミングが急上昇したのは、6曲の新曲が追加されたデラックス・エディションを5月1日にリリースしたため。前述の『エターナル・アテイク』や『アフター・アワーズ』もそうだが、昨今では発売後にデラックス・エディションをリリースし、セールス・ストリーミングを増加させるアーティストが増えている。シングルも、オリジナルにゲストを加えたリミックスを再発するケースが多々見受けられる。

 その手法で現在大ヒットしているのが、ミーガン・ジー・スタリオンの「サヴェージ」。ビヨンセを迎えたリミックスの効果により、先週のソング・チャート“Hot 100”では14位から4位にジャンプアップし、自身初のTOP10入りを果たした。同曲の大ヒットを受け、収録アルバム『SUGA』も43%増の39,000ユニットを記録し、10位から7位へ自己最高位を更新している。

 同様に、ドジャ・キャットの「セイ・ソー」も、ニッキー・ミナージュをフィーチャーしたリミックスを5月1日にリリースし、大きな反響を呼んでいる。今週のソング・チャートではおそらく最高位を更新するだろう。リミックスの効果を受け、収録アルバム『ホット・ピンク』は19位から9位にTOP10復帰を果たしている。


Text: 本家 一成

※関連リンク先の米ビルボード・チャートは、5月15日以降掲載予定となります。

◎【Billboard 200】トップ10
1位『ヒア・アンド・ナウ』ケニー・チェズニー
2位『ダーク・レーン・デモ・テープス』ドレイク
3位『マイ・ターン』リル・ベイビー
4位『ブレイム・イット・オン・ベイビー』ダベイビー
5位『エターナル・アテイク』リル・ウージー・ヴァート
6位『アフター・アワーズ』ザ・ウィークエンド
7位『SUGA』ミーガン・ジー・スタリオン
8位『ハリウッズ・ブリーディング』ポスト・マローン
9位『ホット・ピンク』ドジャ・キャット
10位『YHLQMDLG』バッド・バニー

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