2020/03/30
現代アートや舞台芸術、インスタレーションから映画音楽まで、幅広く活躍する音楽家・原 摩利彦が、ニューアルバム『PASSION』を6月5日にリリースすることが決定。表題曲を解禁した。
https://youtu.be/myRfeSYHFkg
京都を拠点に国内外問わず活躍する原 摩利彦の音楽は、ヨハン・ヨハンソンにも通じる音響派的側面を持ちながら、久石譲やチリー・ゴンザレスのような親しみやすいピアノのメロディが重なるもの。自然音や街の喧騒、生活音なども楽曲に組み込むフィールドレコーディングの手法も取り入れている。
最近では松たか子、上川隆也、広瀬すず、志尊淳らが出演、【読売演劇大賞】最優秀作品賞を受賞し話題となった野田秀樹演出の舞台作『Q:A Night At The Kabuki』でサウンドデザインを担当。森山未來もダンサーとして参加している世界的振付師、ダミアン・ジャレと彫刻家名和晃平によるプロジェクト『Vessel』では、坂本龍一と共に劇伴を手がけるなど、活動の場を広げている。
そんな原 摩利彦の3年ぶりとなるソロ作品『PASSION』は、心に沁みる叙情的な響きの中に地下水脈のように流れる「強さ」を感じさせる彼の音世界がぎゅっと詰まった全15曲を収録。マスタリングエンジニアには、原も敬愛する故ヨハン・ヨハンソンの名盤『オルフェ』を手がけた名手、フランチェスコ・ドナデッロを迎えている。
アルバム表題曲であり、原自身が本作の方向性の決め手となったと語る「Passion」は、一つの主題が音域や和音を変えながら繰り返され展開していき、心の底に静かに眠る「情熱」や、あらゆる事象を粛々と「受け入れる」ような静かなる強さが感じられる楽曲だ。
◎原 摩利彦 『PASSION』についてのコメント
「Passion」という言葉は「情熱」や「熱情」翻訳されているが、元々は「受け入れること」、キリスト教では「受難」とされている。中世で「情熱」という意味が加わったようだが、「受け入れる」強い気持ちと考えると、二つの意味は繋がる。
十代の頃に音楽家になることを決意したとき、音楽が好きという気持ちとともに、これから自分の人生で起こることに対する苦難――当時はまだ悩み、苦しむ音楽家に憧れがあっただけにすぎないかもしれないが――を受け入れることを覚悟したのを覚えている。本アルバムには十六歳のときに作曲したピアノ曲もほぼそのまま収録している (Tr7「Inscape」)。
二十年経って、今一度音楽家としての覚悟を決める。これから訪れるであろう幸せも苦難も、すべてを受け入れる強い気持ち (=PASSION) を込めてこのタイトルをアルバムにつけた。
また何年か前に、マドリード在住の写真家イザベル・ムニョス (Isabel Munos) が別れ際に「A lot of Happiness. Good Luck and Passion!」と言った。そのとき彼女の口から出た「Passion」という言葉が強く胸に響いた。
音楽的な挑戦としては、前作『Landscape in Portrait』よりもピアノの音域を広げること、他者が録音したフィールドレコーディングを使ってみること、非西洋楽器を電子音とともに「音響的に」共存させることである。
音楽的な西洋と東洋、中東の融合や統合を目指しているのではない。それぞれの地域に住む人々が同じく朝を迎え、太陽の恩恵を受け、食事をし、夜になると月や星を見ること。人間としての共通の出来事を経験しながらも、それぞれの文化 (=音) が現れ、それが同じ地球上で鳴っているように、限られた時間の中で音響的に配置、共存させてみたいと思った。
◎リリース情報
アルバム『PASSION』
2020/6/5 RELEASE
BRC-619 2,400円(tax out)
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