2020/03/22 18:00
3月も半ばを過ぎているが、チャート上では1月から2月リリースのドラマタイアップ楽曲がじわじわと上昇しつつある。以前ほどドラマのタイアップに大きな効果が期待できなくなってしまったと言われているが、それでもテレビの大型タイアップの影響力は大きく、アーティストによっては大ブレイクのチャンスになることも多い。
今週のHot100で24位にランクインしている家入レオの「未完成」も、そんな1月クールのドラマタイアップ曲のひとつだ(【表1)】。この曲はフジテレビ系の月9ドラマ『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』の主題歌で、1月29日にリリースされている。2/10付で14位という好成績でチャートインしたが、その後は徐々に下降していた。しかし、先週から巻き返しを図り、再度浮上しているのだ。
この曲のチャートのポイントを見てみると、CDセールスに関しては初動以降はほぼ右肩下がりで、ダウンロードが横ばいになっている。ダウンロード数だけ見ると、安定した楽曲といってもいい。しかし、ずっと圏外だったストリーミングが、先週の3/16付では77位、今週は22位と大幅にランクアップ。YouTubeなどの動画再生数も増加していることを考えると、CD購入やダウンロードまで行き着かないドラマ視聴者が楽曲検索して聴き始めたといえるのではないだろうか。とくにドラマ最終回となると話題性も高いため、余韻を楽しむためにも主題歌に行き着くというのは自然なことだといえる
この現象は、他のドラマタイアップでも当然のように起こっている。今週66位にランクインしたflumpoolの「素晴らしき嘘」もじわじわとストリーミングを伸ばしている楽曲のひとつだ(【表2】)。日本テレビ系『知らなくていいコト』の主題歌であるこの曲も、「未完成」と同じく先々週まではストリーミングは圏外だったが、3/16付で94位、今週は82位と地道にポイントを伸ばしている。数字だけ見ると大きなヒットに結びついたとはいえないが、タイアップがストリーミングに影響していることは否めない。
ストリーミングが伸びるということは、グレーユーザーの耳に届くチャンスが増えているということであると同時に、新規のコアファンづくりへのチャンスとも言い換えられる。逆に言えば、ドラマのタイアップをうまくストリーミングにつなげられれば、新規ファンの獲得と同時にロングヒットも狙えるのだ。Text:栗本斉
◎栗本斉:旅&音楽ライター、選曲家。レコード会社勤務の傍ら、音楽ライターやDJとして活動を開始。退社後、2年間中南米を放浪し、現地の音楽を浴びる。その後フリーランスとして活動した後、2008年から2013年までビルボードライブのブッキングマネージャーに就任。フリーランスに戻り、雑誌やライナーノーツなどの執筆や音楽評論、ラジオやストリーミングサービスにおける構成選曲などを行っている。
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