2020/03/15 18:00
Hot100の中には、新曲ではなく長く売れ続けているロングヒットの楽曲がいくつか紛れ込んでいるが、今週61位にランクインしているwacciの「別の人の彼女になったよ」もそのひとつだ(【表1】)。この曲は2018年8月に配信が開始された一曲で、この年の11月に発表したアルバム『群青リフレイン』のリリース前に、4ヶ月連続配信という企画の第2弾として世に出ている。
しかし、配信された当初も、アルバムのリリースタイミングでも、この曲はチャート上では圏外で、特に目立った動きはしていない。ただ、楽曲の良さやタイトルのインパクトが口コミで話題になってじわじわと伸びていき、2019年の5月あたりからストリーミング数が大幅に増加している。LINE MUSICのチャート、YouTubeの再生回数、カラオケ、有線リクエストなど様々な要素が重なり、ざわつき始めた頃の2019年8月にタイミングよく新しいバージョンのミュージックビデオを公開。ストーリー仕立てになったコミック風の映像の切なさも決め手となり、さらにチャートが上昇し始めた。
この後の動きに関しては、wacciのバンド自体のポテンシャルが高まったこともあるが、楽曲がある程度ひとり歩きし始めたという印象の方が強い。YouTubeの再生回数も現時点では、オリジナルバージョンとコミックバージョンはどちらもさらに伸びて合計3000万回超えとなり、ストリーミングも安定して上位へ移行。加えてカラオケで歌われる回数も一気に上昇し、現在は20位前後をキープし続けている。この曲を聴いたり歌ったりしているユーザーの中には、曲名のインパクトや楽曲の良さなどに惹かれているが、wacciがどういうグループかを知らないというケースも多々あると想像できる。
本来、ヒット曲とはアーティストのコアファンだけでなく、そうでないグレーユーザーまでが自然に口ずさめる楽曲のことではないだろうか。そういう観点で見ると、wacciの「別の人の彼女になったよ」は真の意味でのヒット曲になり得る一曲なのかもしれない。Text:栗本斉
◎栗本斉:旅&音楽ライター、選曲家。レコード会社勤務の傍ら、音楽ライターやDJとして活動を開始。退社後、2年間中南米を放浪し、現地の音楽を浴びる。その後フリーランスとして活動した後、2008年から2013年までビルボードライブのブッキングマネージャーに就任。フリーランスに戻り、雑誌やライナーノーツなどの執筆や音楽評論、ラジオやストリーミングサービスにおける構成選曲などを行っている。
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