2020/02/16
今週のHot100は、Official髭男dismが圧倒的な強さを見せた。ニュー・シングル「I LOVE…」(【表1】)が見事に首位を獲得。2位は「Pretender」、10位が「宿命」とベスト10に3曲、そしてHot100内では8曲もランクインしている。いかに今彼らの勢いがすごいのかは言うまでもなく結果に現れている。
ただ、今回の新曲「I LOVE…」のCDリリース日は集計後の2月12日なので、フィジカルのポイントは加算されていない。それでもテッパンの強さを見せる「Pretender」を抑えて首位に輝いたのにはわけがある。グラフを見ればかわかるが、動画再生数が12位から6位へ、ツイッターのつぶやき数が89位から36位にまで急上昇しているからだ。ではなぜこのような上昇を見せたのかは様々な要因があるが、やはり大きかったのはテレビ朝日系の音楽番組『ミュージックステーション』に出演したことだろう。ヒゲダンとこの番組の相性は非常に良く、出演することによって大きくチャートに影響してくる。「Pretender」の際にもリリース前に出演してそのパフォーマンスが大きな話題となり、大ブレイクへの起爆剤となったのも記憶に新しい。今回もまさに同様のタイミングで効果が出ており、フィジカルのリリース前なのに首位を獲得という結果に結びついたのだ。
『Mステ』がこういった飛躍へのきっかけになることは、他のアーティストでも多々ある。今週でいえば、今週4位となったLiSAの「紅蓮華」もそのひとつだ(【表2】)。もちろんこの曲は昨年からヒットしているし、紅白歌合戦出場によって大きなピークを作っていたが、ここ数週は少しずつ落ち着きを見せ始めていた。しかし、人気アニメ『鬼滅の刃』の主題歌という話題性を引っ張りつつ、『Mステ』に出演することによってベスト5内へ返り咲き。ツイッターのつぶやき数、動画再生数、ダウンロード数などに加え、フィジカルのCD売上数も急上昇している。これが弾みとなって、さらにロングヒットとなるであろうことも予想できるだろう。
テレビへの出演は、たしかにダイレクトに売上やチャートに影響しやすい。ただ、なかにはそれほど効果が出ない場合もあり、出演のタイミングが非常に重要だといえる。そういった意味では、今回のリリース前のヒゲダン、ロングセールスを狙うLiSAのタイミングは大いに参考になるはずだ。Text:栗本斉
◎栗本斉:旅&音楽ライター、選曲家。レコード会社勤務の傍ら、音楽ライターやDJとして活動を開始。退社後、2年間中南米を放浪し、現地の音楽を浴びる。その後フリーランスとして活動した後、2008年から2013年までビルボードライブのブッキングマネージャーに就任。フリーランスに戻り、雑誌やライナーノーツなどの執筆や音楽評論、ラジオやストリーミングサービスにおける構成選曲などを行っている。
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