2020/01/01
2019年12月31日、ビルボードライブ東京でザップが“令和初”となる2020年へのカウントダウン・ライブを行った。
DJ ATOMのディスコ/ファンクを中心としたプレイにフロアもしっかりと温まった午後10時半過ぎ、ドラマーのレスター・トラウトマンが、まずは客席の間を練り歩きながら登場。「パーティー!パーティー!パーティー!パーティー!」と連呼し煽ると、観客もそれに応え、ライブは冒頭から総立ちのオールスタンディング状態に。とにかく「今から楽しもう!」と呼びかけるエネルギーが凄まじく、否応なくオーディエンスも引き込まれる。
続いて何度も客席とコール・アンド・レスポンスを行っていたのが「ロジャー!」という掛け声。もちろん今は亡きバンドの先導者、ロジャー・トラウトマンへのリスペクトの意を込めてのことだろう。そして鳴り響くドラム・ビート。そこから幕を上げたザップのステージは、まさに“ビートとグルーヴの祝祭”だった。
演奏は、ところどころでドラムマシンのビートを活かしつつ、(シンセ)ベースやギター、シンセサイザー、(爆音の)ドラムス、そして言わずと知れたトークボックスを使ったエレクトロ・ボイスが重なる王道のザップ・サウンドのそれ。序盤は、とにかくノンストップで突き進む徹底的にフロア仕様のファンク・スタイルが印象的で、フロアの観客も、それに合わせて体を揺らしステップを踏む。ひとしきりグルーヴした後、ちょっとだけ切ないメロディが鳴り響く、そのエモさもたまらない。
演奏以外のステージ上での見せ方にも工夫と気合が溢れる。代表曲「Dance Floors」ではバック転や、鮮やかなダンスのステップ、さらに、いつの間にか二階席に上がっていたキーボードとギターのソロでも客席を沸かせた。そうやってファンクネスの連打で客席のボルテージを上げたかと思えば、一気にテンポを落として聴かせるミディアム・ナンバーも格別。緩急の付け方が絶妙なのだ。
中盤はパーティー・モードと、よりディープな部分を行き来するような、バンドの懐の深さを感じさせる展開に。ブルージーにハーモニカを響かせる一方、カラフルなイルミネーションに彩られた衣装で会場を沸かせもする。そのいずれの瞬間からも「客席とコミュニケーションを取るんだ!」という強い気持ちが伝わってくる。「Computer Love」ではシャーリー・マードックが飛び入りでステージに現れ、美声でファンを喜ばせた。
本編が終了し、会場はいよいよカウントダウンの準備へ。グラスシャンパンが客席の全員に配られ、2019年のビルボードライブの歩みを辿る映像が流れると、いよいよ“その瞬間”への期待が高まる。3分前にはバンドが再びステージに登壇。シャンパンとクラッカーを両手に、全員がスクリーン上の時計を見つめた。そして、カウントダウン。3…2…1…と自然と掛け声が上がり、バンドと客席から同時に「Happy New Year!」の歓声が上がった。
続くバンドの演奏。一曲目は日本では「蛍の光」のタイトルでも知られるスコットランド民謡の「Auld Lang Syne」。年始のお祝いにも歌われるというこの曲をザップ流に料理して届けた後、「More Bounce」「California Love」というバンドを象徴する2曲の演奏へ。最後まで力いっぱいのエンターテインメントとファンク・サウンドを届けた。
ザップの演奏が教えてくれたことの一つは「自分たちが一番楽しんで見せることではじめて、観客全員も最高に楽しめる」ということ。そういうパーティーの本質を、心底エネルギッシュなステージングで教えてくれるようなステージだった。
2007年に開業して以来、10年以上に渡り国内外のトップ・アーティストのライブを届けてきたビルボードライブ。ザップのファンキーなステージで、その2010年代の幕が閉じ、20年代の幕が開いた。今年は「ビルボードライブ横浜」の開業も決定している。アーティストの動向ととも、彼らとともに歩むビルボードライブの2020年にも、ぜひ注目して欲しい。
◎公演情報
【ザップ DISCO & FUNK PARTY featuring Zapp】
2019年12月31日(火)
ビルボードライブ東京
[COUNTDOWN SHOW]開場21:00 開演22:30
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