2019/12/06
2018年に4冠でイヤーエンド首位を獲得した米津玄師「Lemon」(18年3月14日発売)だったが、『紅白歌合戦』での初パフォーマンスが話題となり、放映直後の週以降ダウンロード、動画再生が牽引して高ポイントを維持、19年度イヤーエンドでは、18年同様ダウンロード、ルックアップ、Twitter、動画再生で1位、そして新たに新指標として加わったカラオケ指標で1位と、計5冠を獲得、【JAPAN HOT100】イヤーエンド・チャート連覇を成し遂げた。
これは、アメリカの60年、日本の10年を超える総合チャート【HOT100】の歴史でも類の無いトピックで、しかもオーディオ・ストリーミングを解禁していない現状であってもなお、いかに「Lemon」が長くそして広く愛されている楽曲であるか、よく分かる結果といえる。また、米津玄師は、100位以内に8曲を送り込み、19年9月11日にリリースされた「馬と鹿」も5位と、その勢いはまだまだ衰えを見せておらず、次年度以降もチャートを賑わせることは確実だ。
続く2位には、あいみょん「マリーゴールド」(18年8月8日リリース)。2018年の同チャート48位からのジャンプ・アップの後押しとなったのは18年12月の複数の音楽特番でのパフォーマンスにより、大きくファン層を広げたこと、アルバムを始めとする今年の他楽曲の連続リリース(2月、4月、7月、10月)により注目を維持したことや、度々話題となったツアーでのライブ・パフォーマンスなどのニュース・トピックの高い閲覧数などにより、ストリーミングの高頻度再生を維持したことが大きく、年間でもストリーミング1位を獲得、“ストリーミング発の最初のヒット・メーカー”に相応しい結果となった。100位以内には、8曲がチャート・インしているが、19年にリリースされた「ハルノヒ」が13位、「空の青さを知る人よ」は73位と、前出の米津玄師に比べると19年度後半には落ち着きを見せる展開となっている。
次いで今年躍進著しいアーティストによる2曲が続き、Official髭男dism「Pretender」が3位、King Gnu「白日」が4位となった。「Pretender」を筆頭に、100位圏内に6曲を送り込んだOfficial髭男dism。ラジオ・フレンドリーな楽曲も多く、ラジオ1位が「Pretender」、2位が「宿命」と並ぶ。ラジオに加え、ストリーミング、動画再生、ダウンロード、カラオケの計5指標が牽引しての躍進だ。一方のKing Gnuは、100位以内に「白日」と「飛行艇」の2曲がチャート・インと、ヒゲダンに比べるとアーティスト認知よりも楽曲認知が先行していて、ストリーミング、動画、ダウンロードが牽引。両アーティストともNHK『紅白歌合戦』出演が決定しており、米津やあいみょん同様『紅白』を始めとする年末音楽特番での露出がステッピング・ボードとなり20年度の一層の躍進となるか、今後の展開が注目される。
また、18年のトップ20では、欅坂2曲、乃木坂2曲、AKB1曲、TWICE3曲がチャート・インしていたが、19年では乃木坂2曲、欅坂1曲、日向坂1曲と、ガールズ・グループが8曲から4曲へ減となった。複数指標を合算する総合ソング・チャートでも、シングルによる販売数で他を圧倒、ランキング上位を独占することでアーティスト・バリューを上げるという、10年代前半で一般的だった勝ちパターンが19年ではいよいよ通じなくなってきた。
そして、19年の【JAPAN HOT100】イヤーエンドでは、トップ20でストリーミングが未解禁のアーティストは米津玄師のみで、動画再生未解禁はゼロとなった。オーディオ、ビデオ両方のストリーミング・サービスがユーザーの聴取方法として広く浸透、ヒットのカギを握る2指標として大きくクローズ・アップされることとなった。19年にオーディオ・ストリーミングを解禁したアーティストも、嵐、星野源、スピッツ、BUMP OF CHICKEN、WANIMA、Perfume、平井堅、小田和正、ゆず、YUKIなど数多く、これがユーザーの大量流入を招き、特にランキング上位の楽曲の再生回数を押し上げることとなった。この傾向は20年度も続くとみられ、今後はストリーミング自体を押し上げるためのトリガーを各々のアーティストがどう見つけ出すかが注目のポイントとなるだろう。
◎【Billboard JAPAN HOT 100 of the Year 2019】トップ10
1位「Lemon」米津玄師
2位「マリーゴールド」あいみょん
3位「Pretender」Official髭男dism
4位「白日」King Gnu
5位「馬と鹿」米津玄師
6位「まちがいさがし」菅田将暉
7位「パプリカ」Foorin
8位「今夜このまま」あいみょん
9位「U.S.A.」DA PUMP
10位「宿命」Official髭男dism
※記事初出時に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。
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