2019/12/02
11月20日にTSUTAYA O-EASTでザ・クロマニヨンズの全国ツアー【ザ・クロマニヨンズ ツアー PUNCH 2019-2020】の東京公演が開催された。
今回の全国ツアーは10月9日にリリースした最新アルバム『PUNCH』をひっさげたもので、10月30日に秋田・Club SWINDLEで開催された公演からスタートしている。2020年4月まで開催される本ツアーは全部で58公演が予定されており、そのパワフルさにライブに行く前から脱帽してしまう。11月19日にも同じ会場で開催されていた本公演。本記事は、そのライブレポートである。
前説が大いに会場を煽ったあと、ザ・クロマニヨンズが登場すると、会場のオーディエンスは歓声と熱狂に包まれた。そんな雰囲気の中、ザ・クロマニヨンズは『PUNCH』に収録されている楽曲を収録順に披露していく。つまり「会ってすぐ全部」から始まったわけだが、甲本ヒロト(Vo)の声も然ることながら、ステージ上での立ち振る舞いや動きを見ているだけで、「あぁ、ザ・クロマニヨンズのライブに本当に来たんだな」という気持ちがフルで心を埋めていく。そして、そんな心を持ちながら、激しく拳を上げ、激しく踊り狂っていく。「怪鳥ディセンバー」でのサビの歌詞「飛んでいけ」の部分のハーモニーもまた、あのザ・クロマニヨンズであった。
「ビッグチャンス」は、新アルバムに収録されている楽曲でありながら、オーディエンスとのコミュニケーションが完全にできあがっていることに驚いていると、披露後に甲本が「ありがとう。アルバム曲順にやらせてもらっています。A面最後の曲は「小麦粉の加工」だよ!」とコメント。「あっというまだよ あっというまだね」と何度も歌われるフレーズが、早くもA面最後の曲を披露していることも相まって、象徴的に響いていく。「小麦粉の加工」は本を読むぐらいしかしてなかったらいつの間にか夕方になっていたことを描いているが、そのような時間感覚は熱狂の中でも同様に生まれる。もう6曲が終わったのだ。
「13枚目のアルバム『PUNCH』より曲順通りお届けしていますが、このまま最後までやっても30分くらいで終わります。そこで、一生懸命考えた結果、他のアルバムからもやった方がいいという、天才的な発明により、他のアルバムからもやらせていただきます」と、天才的なまじめさで話すと、過去リリースアルバムから披露。オーディエンスの熱狂は落ち着く気配がなく、オーディエンスの体力とザ・クロマニヨンズへの没入具合に、またしても驚いてしまった。ここまでコミュニティとしての一体感があるのは、なかなかない。
そして、再び『PUNCH』のゾーンに戻って、曲順通りB面の1曲目「クレーンゲーム」からスタート。披露されていく『PUNCH』の楽曲をいくつも聴いていくと、ロックンロール特有の縛りのなさと共に、各パートが鳴らす音のタイトさにセクシーさもどんどん感じられていった。ロックンロールとは泥臭さではなくセクシーさであることを痛感する。「リリイ」や「長い赤信号」では、そこに優しい真島昌利(G)のギターや赤いライトが繰り出す感傷や哀愁が加わり、オーディエンスの内面に絡みこんでいく。
「アルバムはあと1曲となりました。それは最後にします。その前に、ワーッと盛り上がりたい」「僕もうしゃべりませんよ。最後まで続けてやります」ということで、ザ・クロマニヨンズの公演は最後に向けてフルスロットルで突き進んでいく。特に「ギリギリガガンガン」や「ナンバーワン野郎!」では、「今日は最高」や「ナンバーワン」といった全面的にポジティブは言葉が飛び交い、オーディエンスの興奮は最高潮の中の最高潮に達する。常に最大瞬間風速が出ている感じといえばよいだろうか。そして“ラストPUNCH”である「ロケッティア」を披露して本編は終了した。
アンコールに登場した甲本は、「楽しんでいってください!」と言うと、本編終盤で出した最大瞬間風速を「突撃ロック」などで再び呼び起こした。そしてアンコール最後は「我々がクロマニヨンズだー!」と叫んで完璧に会場をフィナーレへ持って行った。ザ・クロマニヨンズの楽曲には、短いキラーワードを何度も叫ぶものが多いが、ライブではそれがよりダイナミックなものとなって聴こえてくる。何度も叫ばれる言葉の数々。TSUTAYA O-EASTからの帰り道、一人でそれを反芻しながら歩いていた人もいただろう。彼らのライブは、必ずオーディエンスに何かを残していくのである。
Text by Akihiro Ota
◎公演情報
【ザ・クロマニヨンズ ツアー PUNCH 2019-2020】
2019年11月20日(水)
東京・TSUTAYA O-EAST
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