2019/12/02
2019年12月2日付のJAPAN Hot 100も、Official髭男dismの圧倒的な強さを思い知らされるチャートとなっている。加えて、上位にチャートインしている楽曲は、米津玄師を除くと完全にフィジカル型とサブスク型に二分されている。そしてサブスク型のほうが優勢であることもここから読み取れるだろう。ヒットの図式が完全に変わってしまったといってもいいかもしれない。
今回注目したいのは、今週17位にチャートインしたsumikaのニューシングル「願い」だ(【表1】)。この曲のポイントの内訳を見てみると、順にダウンロード、ストリーミング回数、ラジオのオンエア回数、ツイッターのつぶやき数という構成比になっている。フィジカルのCDに関しては12月11日リリースのためまだ反映されておらず、そのためレンタルの指数となるルックアップ(PCによるCD読取数)もない。だから現時点では彼らのことを簡単にサブスク型や配信型のアーティストとは一概にいえない。
しかし、今後の予想として、サブスクが伸びていくのではないかと思われる。というのも、6月にリリースされた前作「イコール」の動きと比較してみるとその兆候が現れているからだ(【表2】)。「イコール」ではストリーミング数のポイントはずっと圏外でチャート上はほぼカウントされていない。その代わり、ルックアップが長きに渡って上位に留まっていた。この曲は先にCDがリリースされ、その後サブスクでのサービスが始まったので少し時間差ができてしまい、ユーザーは主にレンタルを利用したと考えられる。
しかし、今回の「願い」では、配信を先行したことにより、ストリーミング数が一気に伸びている。このまま引っ張ってフィジカルのリリースを迎え、露出も増えるとするならば、さらにストリーミングの再生回数も増えるのではないだろうか。リスナーはレンタルよりも手軽なストリーミングを利用するようになっていくのは、自然な流れといってもいい。あとは長きに渡って聴かれるための施策を打てば、ヒゲダンやKing Gnuのようなロングヒットとなる可能性も出てくる。
もちろんあくまでも予想でしかないが、音楽の聴き方がどんどんサブスク型へ移行しているのは確かだ。 sumikaもそのような変遷を辿るかどうかを知るには、フィジカルリリースのタイミングを待ちたい。Text:栗本斉
栗本斉:旅&音楽ライター、選曲家。レコード会社勤務の傍ら、音楽ライターやDJとして活動を開始。退社後、2年間中南米を放浪し、現地の音楽を浴びる。その後フリーランスとして活動した後、2008年から2013年までビルボードライブのブッキングマネージャーに就任。フリーランスに戻り、雑誌やライナーノーツなどの執筆や音楽評論、ラジオやストリーミングサービスにおける構成選曲などを行っている。
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