2019/11/11
2019年11月7日に米ニューヨークで開催された【Fast Company Innovation Festival】のパネル・ディスカッションにカニエ・ウェストがサプライズ登壇した。自身のYeezyブランドのチーフ・フットウェア・デザイナーであるスティーヴン・スミスと初めて一緒に公の場に現れたカニエは、一部がエコ・フレンドリー素材でできている新作スニーカーをお披露目し、“アパレルのApple”と胸を張る自身のブランドのサステナビリティー計画やデザインのこだわり、そして以前より噂されている2024年の米大統領選立候補などについて語った。
カニエはスミスを、「“ダッド・シューズ”のダッド(父)って呼ばれてるんだ」と紹介した。最近リバイバルしている、いわゆる“おじさんスニーカー”とも呼ばれるシルエットを、New Balance、Reebok、Nike、FILAなどで開発した人物で、Yeezyのために初めてデザインした商品は“6.5秒で完売した”と本人は豪語している。カニエは、「俺らはムーブメントの先を行っていたんだ。ダッド・シューズのリバイバル人気のね。(Yeezyファッション・ショーの)シーズン5で披露したシューズの、ものすごくデカいヴァージョンを俺が履いている写真があるんだ。たまにパパラッチもいい仕事をしてくれるんだけど、バレンシアガのトリプルSが披露されたショーの1週間前に、俺が(Yeezyの)スニーカーを履いている写真をキャッチしてくれたんだよね」と語っている。
スミスは、Yeezyの開発ではデザインに関する制約はほぼないと明かしている。「カニエについて一番好きなのは、ルールを全部取っ払っちまってるところだ。これまでやってきたことが全て粉々に砕かれて、全く違う考え方をするんだ。経験したことがないような、創造性の解放だ。あらかじめプログラムされているようなものはないし、俺たちはデスクに向かっている歩兵じゃない。カニエの場合は、ただ“GO!”って感じだ」と彼はYeezyのシステムを説明している。
カニエが唯一注文をつけるのは“靴紐とステッチがないこと”だけだそうで、「【サンデー・サービス】の最中に靴紐を7回とか結び直したくないんだよ。”トライする”という言葉をなくして、ただ“やる”だけだ。ヨーダが言ってるみたいにね」と語っている。
また、「Yeezyの本社を米ワイオミング州コーディに移転したんだ」とカニエは明かしている。建築制限が少ないエリアであることから、創作や考え事をする自由が得られるそうだ。ライト兄弟が米オハイオ州デイトンに暮らしていたことになぞらえ、「彼らは考えるための場所が必要だった。でなければ現在のような飛行は存在しなかった。俺たちが持つ可能性を世の中が知ってさえいれば、メディアに邪魔されないで済むんだけど」と彼は述べている。
カニエは、報道によると2019年9月にコーディにある4,000エーカー(約16平方km)の牧場を1,400万ドル(約15億円)で購入しており、ほかにも現地に不動産を所有している。「農業をして、種を植えたり縫い物をするんだ。綿を育て、水耕栽培をし、大麻と麦も育てる。あと、環境への負荷が少ない染料の開発も始めているんだ、色彩はブランドの大きな特徴だからね。ファッション業界による地球への影響は染料が主な原因の一つだから、AからZまで責任を持とうとしている。2年以内には製造ラインをアメリカに、北米と南米に戻して、ここで雇用を創出するつもりだ」と彼は説明している。
新作のYeezyスニーカーを袋から取り出しながら、材料について、“池から収穫した”藻から作られる新しい繊維を使っているとスミスは解説した。「俺たちの仕事は生態学的な問題と交差している。これがYeezyの未来だ。これは昨日アトランタで、米国で、試作品として製造されたものだ。俺たちはここに雇用を戻すし、Yeezyを米国で製造する」と彼は語っている。
「2024年に大統領選挙に立候補したら……」とカニエが述べると、会場から笑いが起こったが、彼は、「どうして笑うんだ?たくさん雇用を創出できるぞ!焦らずのんびりやらせてもらうよ。“カニエはイカれてる”って見出しを見るだろうけど……アフリカ系アメリカ人の3人にひとりは刑務所に入っているし、セレブだってみんな刑務所に入っている。あいつらは何も言えないからね。意見を持っていないし恐れているから」と持論を語っている。
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