2019/09/23
今週のHot100は、米津玄師の新曲「馬と鹿」が首位を獲得した(【表1】)。すでに8月12日に各音楽サービスで先行ダウンロードがスタートしており、ダウンロードのチャートでは5週連続1位をキープしていたが、総合で首位となったのは今週が初めて。9月11日にリリースされたフィジカルのCDのポイントが大きく加算されたことによる結果となった。
この曲が今週1位になったことは、各方面で騒然となっている。というのも、同日リリースで嵐の新曲「BRAVE」があったからだ。嵐といえば、2020年いっぱいで活動休止を発表したこともあって話題も豊富だし、6月にリリースされたベスト・アルバムは今もずっと売れ続けている。当然シングルを出せば1位となるのが当たり前という印象があり、実際、今作も初週の売上は70万枚を超え圧倒的な強さを見せた。米津の「馬と鹿」のCDの売上は44万枚というから、その差は26万枚もある。どう考えても嵐が優勢であると思うだろう。
しかし、ジャニーズは御存知の通り、ダウンロードやストリーミングも解禁されておらず、動画もアップされることはない。そのため、純粋にCDのセールスをメインに勝負するしかない。その反面、米津はCD以外にダウンロードの圧倒的な強さに加え、動画の再生数に関しても「Lemon」や「orion」など億超えの楽曲を何曲も持つほど無敵だ。また、ラジオでのオンエア回数もダントツの1位となっておりマスコミのシンパが多いことも頼もしい。もはや嵐でもこの総合的な強さには勝てないのだ。
ただ、米津の楽曲は、いまだにストリーミングが解禁されていない。今後解禁されることがあるなら、またチャートにおける動きも大きく変わるだろう。もしくは、フィジカルからストリーミングまですべてにおいて高ポイントを獲得する新しいアーティストが米津を脅かすことになるかもしれない。まさに今はチャート戦国時代なのである。Text:栗本斉
栗本斉:旅&音楽ライター、選曲家。レコード会社勤務の傍ら、音楽ライターやDJとして活動を開始。退社後、2年間中南米を放浪し、現地の音楽を浴びる。その後フリーランスとして活動した後、2008年から2013年までビルボードライブのブッキングマネージャーに就任。フリーランスに戻り、雑誌やライナーノーツなどの執筆や音楽評論、ラジオやストリーミングサービスにおける構成選曲などを行っている。
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