2019/08/25
『ウォーターボーイズ』『ハッピーフライト』の矢口史靖監督が構想に16年を費やし、「ミュージカルって突然歌い踊り出すなんてヤバくない?」をテーマにしたコメディ・ミュージカル『ダンスウィズミー』が現在公開中だ。
妻夫木聡、上野樹里、綾瀬はるか等をスターダムに押し上げた矢口監督が全国オーディションでヒロイン・静香に抜擢したのが三吉彩花。静香が出会う“こズルい調査員の渡辺”をムロツヨシ、“お金とイケメンに弱いフリーターの千絵”をやしろ優、“ワケありストリートミュージシャンの洋子”を本作で女優デビューを飾るchay、“嘘くさい先輩エリート社員の村上”を三浦貴大、そして“インチキ催眠術師のマーチン上田”を宝田明がユーモア全開で演じる。
予測不能な展開とミュージカルの特性を逆手にとったテーマで話題沸騰中の今作の音楽を、バナナマンや東京03とのコラボも果たしている日本屈指のビッグバンドGentle Forest Jazz Bandと、矢口作品3作目の参加となる野村卓史が担当し、巧みな楽曲構成を披露している。これまでの矢口作品でも音楽は重要なカギを握っていて、『ウォーターボーイズ』では、妻夫木聡や玉木宏らがザ・キング・トーンズの「オンリー・ユー」や、シルヴィ・ヴァルタンの「あなたのとりこ (IRRESISTIBLEMENT)」、PUFFYの「愛のしるし」などに合わせてシンクロナイズドスイミングを演じ切り話題を呼んだ。また、ジャズの名曲とともに女子高生が青春を駆け抜ける『スウィングガールズ』では、ビッグバンドの定番曲「イン・ザ・ムード」や、「A列車で行こう」、「シング・シング・シング」などを上野樹里や本仮屋ユイカ、貫地谷しほりらが実際に演奏し各地の音楽祭にも出演。全力で演奏するバンドメンバーに影響され、吹奏楽部入部者が増えるなど社会現象を巻き起こした。
最新作の『ダンスウィズミー』は“音楽が聞こえるとカラダが勝手にミュージカル”してしまう静香が主人公で、静香のカラダが反応してしまう名曲が余すことなく登場する。今回はそんなきらめく楽曲たちのなかから、特に注目すべき楽曲&シーンをご紹介しよう。
◎「Happy Valley」(orange pekoe)
様々なダンスシーンがある本作の中でも、特別華やかで大人数で歌い踊るシーンが、静香のオフィスで披露される「Happy Valley」のシーン。シュレッダーの紙切れが紙吹雪のようにオフィス中に舞う中で、「Happy Valley」の煌めく音色に乗せて踊る静香は、華やかでまぶしいほど。まるでスクリーンから飛び出てくるような躍動感で観るものすべてを魅了する姿はまさにミュージカルスターだ。orange pekoeのメジャー・デビュー・シングルであり、今も色あせない不朽の名曲は、ハイトーン&ハイテンポでアレンジされており、ウキウキのリズムに思わず一緒に踊りたくなる。
◎「タイムマシンにおねがい」(サディスティック・ミカ・バンド)
数多くのアーティストにカバーされる「タイムマシンにおねがい」は、三吉彩花、やしろ優、chay、三浦貴大、ムロツヨシ、宝田明らが全員集合し、ポップなリズムに乗せて所せましと歌い踊りまくる場面で登場。キャストがリレー形式で熱唱し、貴重な三浦貴大の歌唱パートやムロツヨシのノリノリなダンスが楽しめる。子供達の鼓笛隊が出てくることにちなんで、Gentle Forest Jazz Bandのメンバーはそれぞれ弾いたことがない楽器を10 分ほど練習して、子供達の拙い演奏の感じを目指して録音したという。幸せいっぱいの歌とダンスがつまったまさに“ダンスウィズミー”な圧巻なシーンだ。
◎「ウエディング・ベル」(Sugar)
1981年にリリースされ、愛しの彼が別の女性と結婚式に臨む様子を女性目線で歌いあげた楽曲。<からかわないでよ><くたっばっちまえ!>といった怒りや皮肉に満ちた歌詞が発売当時に話題を呼んだ。劇中でこの曲を歌うのはchay。chayはこの曲の歌唱シーンで新しい一歩を踏み出したとか。劇中ではエキセントリックにフィーチャーされるこの楽曲も、軽快なサウンドと爽やかなテイストのアレンジで明るい印象となっている。
◎「狙いうち」(山本リンダ)
甲子園の応援歌にも使われ、世代を超えて愛されている楽曲の1つ。劇中では、低音のドラミングから入るアレンジがなされ、三吉も低めのトーンでかっこよく歌い上げている。「狙いうち」が流れるシーンは、静香が、想いを寄せる村上から食事に誘われる場面。社内で一番のモテモテな先輩と訪れたレストランで、音楽が聞こえてきてしまいミュージカルをしてしまう静香は<今にのるわ玉のこし>と力強く歌い、キレキレのダンスとテーブルクロス引きやポールダンスまで披露。劇中一番の大暴れを見せる静香と勢いのあるサウンドを畳みかける「狙いうち」が絶妙にマッチしている。
矢口監督は選曲について、「ふつうのミュージカルとは違い、“心情を吐露する時に歌う”のではなく、世間で流れている音に反応するので、既に発表されている楽曲になります。コンセプトはズバリ“古びない曲”です。40代から上の人がほぼみんな知ってて口ずさめるもの。若い世代には新曲に聞こえるかもしれないですが、名曲なので耳にすぐ馴染んで自然にノレるはずです」と、どのような世代も楽しめる観点で曲をセレクトしたことを明かしている。また、「物語の展開や主人公の気分にリンクする歌詞やメロディを基準に選んでいます」と語る。布袋寅泰作曲の「Tonight 星の降る夜に」も重要な場面で使用されているのだが、劇中で使用されている楽曲がなぜこのタイミングで流れているのかを考えるのも面白いだろう。
◎公開情報
『ダンスウィズミー』
全国公開中
原作・脚本・監督:矢口史靖
出演:三吉彩花、やしろ優、chay、三浦貴大、ムロツヨシ、宝田明ほか
配給:ワーナー・ブラザース映画
(C)2019「ダンスウィズミー」製作委員会
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