2019/07/10
エレファントカシマシの毎年恒例となっている日比谷野外大音楽堂ライブが、今年で節目の30年連続開催を迎えた。
この日比谷野音公演は、エレカシにとってバンドのライフワークとして行っているライブで、過去には、宮本の病気のためライブ活動休止発表後「少しだけ歌わせてくれ」と宮本が一人ステージに立ち、その後の復活ライブの舞台になるなど、まさに紆余曲折の活動の中“エレカシの聖地”と呼ぶに相応しい会場である。
今年もどんな伝説が生まれるのか、雨の中会場を満員に埋めたファンの期待が高まる中、エレカシ4名のメンバーとキーボード・細海魚が登場し、「よろしくお願いします」という宮本の一声の後に演奏された1曲目は「シグナル」。続いて「愛の夢をくれ」「孤独な旅人」のライブスタートの選曲に会場の空気はボルテージが高まっていく。そして、さらにボルテージが高まる瞬間が突然やってくる。ステージ上におもむろにKeyboardが置かれ、そして久しぶりのエレカシのステージとなる蔦谷好位置が、ギター・ヒラマミキオと共に登場し、会場は大拍手に包まれる。そこから披露された楽曲は、蔦谷好位置アレンジの楽曲たち。その中でも、オリジナル音源とは違うピアノアレンジのイントロで会場の驚きを誘ったのは、松任谷由実のカバー曲である「翳りゆく部屋」。「雨の中、来てくれてありがとう、エビバディ」と宮本の挨拶後、更なるスペシャルゲストとして紹介されたのは、バイオリン・金原千恵子とチェロ・笠原あやの。蔦谷、ヒラマと一緒に「リッスントゥザミュージック」や今やエレカシの代表曲とも言える「笑顔の未来へ」「明日への記憶」を披露し、会場は大歓声に包まれた。
その後、最新アルバムから「旅立ちの朝」を披露した後、エレカシがブレイクするきっかけとなった23年前の楽曲「四月の風」、「悲しみの果て」を当時サウンドプロデュースしたギタリスト・土方隆行が登場。メンバーと共に「四月の風」、「悲しみの果て」、「今宵の月のように」という代表曲3連発で会場はさらに盛り上がりを見せ、一部が終了した。
二部は、再びエレファントカシマシの4名にキーボード・細海魚の5人の編成に戻り、「RAINBOW」からスタート。その後、この会場で聴くとやけに胸にしみる「月の夜」、「武蔵野」を披露し、さらに先日TBSドラマ『集団左遷!!』の主題歌として話題となった、今や日本を代表する応援歌「俺たちの明日」を披露。最後は、再びゲストミュージシャンを全員呼び込み「ズレてる方がいい」を披露し、会場はこの日ピークの盛り上がりを見せ、一同手をつなぎながら挨拶し、二部を締めた。
降りしきる雨の中、アンコールにエレカシメンバーとスペシャルゲスト一同が再びステージに集結し「so many people」を披露、そしてエレカシ曲の原点「ファイティングマン」、最後はメンバー4人の演奏で「星の降るような夜に」で締めくくり、30年連続となるエレカシの日比谷野外大音楽堂公演は大歓声・大盛況のうちに終了となった。
大歓声は、実は会場の中だけでは収まらない。エレカシの野音の“外聴き”のファンの多さは有名な話であるが、この日も雨にもかかわらず会場の外に漏れ聴こえる音を求めて、なんと数千人のファンが日比谷公園に集結する事態になっていた。会場のまわりをグルッと取り囲むように、至るところにファンがいて、ある人はシートを敷いて座り込み、ある人は立ちながら、会場の音に耳を傾けている。そして、会場内のファンと同じように、1曲終わることに拍手をし、歓声をあげている方もいた。この光景に通りすがりの人たちも何事かと立ち止まって、徐々に人が増えていく状態に。
この日のいわゆる“外聴き”する人は、恐らく野音のキャパを超え、公園全体がライブ会場と化すように感じた。これも伝説として語られるエレカシの“聖地”野音のライブの醍醐味だ。
スペシャルゲストが入れ替わり登場するという豪華なLIVEとなった節目となる30年目の野音のステージ。そして最高のライブパフォーマンスを30年の長きに渡ってできるロックバンドは、エレカシ以外にいないのではないか、そう強く思わせてくれるような圧巻のパフォーマンスだった。これから先、どんな伝説がこのエレカシの野音で生まれるのか。更なる期待を抱かせてくれる、そんな野音の2日目のライブであった。
Photo:岡田貴之
◎公演情報
【エレファントカシマシ 日比谷野外大音楽堂 2019】
2019年7月7日(日)
東京・日比谷野外大音楽堂
<セットリスト>
M1. シグナル
M2. 愛の夢をくれ
M3. 孤独な旅人
M4. 明日に向かって走れ
M5. 面影
M6. こうして部屋で寝転んでるとまるで死ぬのを待ってるみたい
M7. 翳りゆく部屋
M8. リッスントゥザミュージック
M9. 彼女は買い物の帰り道
M10. 笑顔の未来へ
M11. ハナウタ~遠い昔からの物語~
M12. 明日への記憶
M13. 旅立ちの朝
M14. 四月の風
M15. 悲しみの果て
M16. 今宵の月のように
M17. RAINBOW
M18. かけだす男
M19. 月の夜
M20. 武蔵野
M21. 俺たちの明日
M22. 友達がいるのさ
M23. ズレてる方がいい
アンコール
M24. so many people
M25. ファイティングマン
M26. 星の降るような夜に
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