2019/06/13
US新世代ジャズ・シーンのカリスマ的トランペット奏者、クリスチャン・スコットがビルボードライブ大阪でライブを行った。単独公演としては、"Jazz生誕100年"を記念した3部作「THE CENTENNIAL TRILOGY」として、『ルーラー・レベル』『ディアスポラ』に続く3タイトル『エマンシペイション・プロクラスティネーション』発表直後、2017年10月以来。昨年はロバート・グラスパーとテラス・マーティンが中心になって結成したグループ「R+R=NOW」に参加し、『コラージカリー・スピーキング』を発表。8月に東京・大阪のビルボードライブで公演を行ったことも記憶に新しい。
彼自身の活動としては、今年3月に最新アルバム『アンセストラル・リコール』を発表。ジャズを基軸にしながら、アフリカン・ビート、R&B、ヒップホップ、更にはエレクトロを包括し、彼が提唱する「Stretch Music」を体現しつつ、時代の最先端を捉えるようなサウンドが、大きな話題となったばかりである。
今回のステージメンバーは、アルバムのレコーディングメンバーであり、前回の来日時にも参加したローガン・リチャードソン(Sax)、さらにクリスチャン・スコット・アトゥンデ・アジュアーのメンバーでもあるローレンス・フィールズ(Pf)、マックス・ミュシャ(Ba)、そしてブッチャー・ブラウンのドラマーとしても活躍するコーリー・フォンヴィルが参加。
アッパーなトラックにのせ、軽やかに刻まれるリズム、うねるベースラインにのせ、鍵盤が旋律を描く。前を見据え、クリスがリバース・フリューゲルホーンを奏で始めたその瞬間、ステージの空気が変わった。低く語りかけるように、やがて次第に熱を帯び、変幻自在に表情を変えていくその音色は、唯一無二の存在感を放っていた。
会話するように重なっていくアンサンブルは、実験的な要素を内包しつつ、緻密に計算された音の連なりを生み出していく。まるで「クリスチャン・スコット」というプレイヤーの生き様を彩るかのような鮮烈な演奏に、フロアから歓声と拍手が沸き起こった。曲間には再びこのステージに立てたことへの感謝を表しつつ、メンバーを1人ずつ紹介するクリス。自身のルーツや作品への想いを熱っぽく語る場面も見られた。
本日6月13日には、ビルボードライブ東京にて公演が行われる。従来のジャズの概念を越えた新世代ジャズのムーヴメントにおいて、揺るぎない地位を築き上げた圧倒的なパフォーマンスをぜひ体感していただきたい。
Photo by Kenju Uyama
Text by 杉本ゆかり
◎公演情報
【クリスチャン・スコット】
2019年6月11日(火)※終了
ビルボードライブ大阪
2019年6月13日(木)
ビルボードライブ東京
1st ステージ 開場17:30 開演18:30
2nd ステージ 開場20:30 開演21:30
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