2019/06/08
今年3月、約6年ぶりのシングル「サッカー」で見事な復帰劇を果たした、ケビン、ジョー、ニックのジョナス3兄弟から成るポップ・トリオ=ジョナス・ブラザーズ。同曲は、3月16日付の米ビルボード・ソング・チャート“Hot 100”で自身初のNo.1獲得を果たして以降、およそ3か月間にわたりTOP10にランクインし続けている。米ポップ・チャートの他、オーストラリアとカナダでも、自身初の首位に輝いた。
プロデュースは、昨今のヒット曲には欠かせない存在のフランク・デュークス&ルイス・ベルの2人。作曲陣には、3兄弟に加えワンリパブリックのライアン・テダーもクレジットされている。これまでの作品とはまた違ったタイプのファンク・ポップで、少年から青年へ、成熟したからこそ醸し出せる色気やボーカルワークも聴きどころとなっている。それぞれの妻たちが登場したミュージックビデオも話題となり、アルバムの発売までに1億5,000万再生というすさまじい記録をたたき出した。
翌4月に発売した2ndシングル「クール」も、「サッカー」に続きライアン・テダーが制作/プロデュースを担当した。その「サッカー」とは対照的なチルアウト系のミディアムで、米マイアミのビーチで撮影されたミュージック・ビデオも、サウンドに合わせた夏っぽい仕上がりになっている。Hot 100での最高位は(現時点で)27位と勢い振るわずだったが、楽曲自体の完成度は高い。同曲は、ボーナス・トラックとしてアコースティック・ヴァージョンも収録されている。
3曲目の「オンリー・ヒューマン」も、レゲエ調のリズムに歌謡曲風の旋律を乗せた夏らしい一曲。プロデュースは、テイラー・スウィフトやアデル、ジャスティン・ティンバーレイク等のヒットを手掛けるシェルバックが担当している。米LAの売れっ子プロデューサー、グレッグ・カースティン(シーア、ピンク、ホールジー等)が手掛けた「エヴリ・シングル・タイム」では、さらにレゲエ色を強めた意欲的な取り組みもみられた。
そのグレッグがプロデュースした他曲「アイ・ビリーヴ」や「ドント・スロー・イット・アウェイ」は、「オンリー・ヒューマン」とはカラーの違う、レイニーやホンネあたりを彷彿させる“セツナ系”のエレクトロ・ポップに仕上がった。ジョナス・ブラザーズは、ロックからエレポップ、レゲエにR&Bまで、どんな曲でも“彼ららしく”染め上げてしまうのが強みでもある。 スタンダードなポップ・ロック「ストレンジャーズ」も、ジョーとニックのポスト・コーラスが彼ら独自の音楽性を確立している。
離れても変わらない愛について歌ったアコースティック調の「ラヴ・ハー」や、“必ず君の元に戻る”とファンに向けて歌ったともとれる「カムバック」など、メロウ・チューンも充実。前者は、意外にも(?)ジェイ・Zやドクター・ドレー、エミネム等ヒップ・ホップ・アーティストの作品で知られるベーシスト、マイク・エリゾンドがソングライターとプロデュースを担当した。
ポスト・マローンを意識したというミディアム・メロウ「ユースト・トゥ・ビー」や、クリーン・バンディットやマルーン5の作品でタッグを組んでいる、ジェイソン・エビガン&アマル・マリクのコンビによるアジアン・テイストの「トラスト」、過去の作品に近いタイプのスタンダードなポップ・ソング「ハッピー・ホエン・アイム・サッド」と、バラエティに富んだ楽曲が交互に続き、聴きごたえも抜群。
2013年の解散から約6年を経て復活したジョナス・ブラザーズだが、再結成に至るまでの経緯を描いたドキュメンタリー番組『ジョナス・ブラザーズ 復活への旅』が、アルバムのリリース直前に配信されたばかり。<Amazonプライム>のプロモーション動画でバックに流れていた「ローラーコースター」も、もちろん収録されている。アルバムの発売前月、1年半の婚約期間を経て結婚したばかりのジョーだが、「ヘジテイト」は彼女への“ラブレター”であると公言していたりと、話題性も豊か。
国内盤は翌6月14日に発売予定。
Text:本家一成
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