2019/06/03
山村隆太(Vo/Gt)の“歌唱時機能性発声障害”を受けた活動休止発表から約1年半。2019年5月22日、flumpoolの復帰後初のツアー【Command Shift Z(※)】東京公演が東京国際フォーラムで行われた。この日は活動再開後の第1弾ニュー・シングル「HELP」のリリース日でもあり、本人たちはもちろんファンたちにとっても特別な1日だった。
「HELP」は、2014年のベスト・アルバム収録曲「明日への賛歌」以来となる“歌詞が先行して作られた曲”で、そこには山村による全身全霊のメッセージが込められており、そんな1曲を一心不乱に演奏するメンバーの姿も印象的だった。山村自身が弱さをさらけ出せず、病気が発覚しても周りに「助けて」と言えなかったこと、1度は立ち止まり音楽を伝えられなくなったこと、そういった様々な葛藤を経たからこそ、“必ず助けてくれる人はいる”という気持ちが込められた歌詞は、いまの山村が歌うことに大きな意味があるだろう。
“一度諦めた場所へ、もう一度戻る”という、前回ツアーの無念を晴らす今回のツアー【Command Shift Z】は、前回の【Re:image】ツアーで残念ながら公演中止となった4会場からスタート。復帰後初の東京公演だったこの日、観客の心中にも様々な思いが渦巻いていたようで、開演前からどこか張り詰めた空気感が会場には漂っていた。しかし、ステージに登場したメンバーの明るい表情、声の調子を取り戻した山村の優しい歌声、いつもと変わらない阪井と山村の掛け合い――そんな“いつものflumpool”を見て、安堵した。山村の口から「東京、ただいま! 復活しました!」という言葉が放たれれば、観客の拍手はしばらく鳴り止まず、山村本人が「もういいよ(笑)」と照れ笑いする、そんな何気ない一幕も温かい空気で包み込まれていた。
ステージ両脇に立つ阪井一生(Gt)と尼川元気(Ba)のコーラスは山村を支えるようでもあり、小倉誠司(Dr)は彼の背中を押すようにドラムを鳴らす。ライブ中盤のMC、山村が「HELP」について「“良い歌詞だね”とメンバーに言われたことが救いだった」と話したことからもメンバー間の強い絆が伝わってきた。
デビューから約10年、数々の前向きな言葉を紡いで歌を届けてきた山村。しかし、いざ自分がどうしようもなくなった時には“音楽の力すらも効き目がなかった”という。そんな時、「“頑張ろう、きっといつか報われる日が来る”という思いを持っていられたのは、“待っています!”と言ってくれるみんなの存在があったからでした」と、ファンの存在が心の支えになっていたことを明かす。そして「活動休止中、いろんなことを感じたけれど、前向きな言葉だけじゃなくて、辛さも苦しみも、時には弱音もちゃんと伝え合っていこう。自分自身の素直な気持ちから逃げず、みんなに向き合っていこうって思っています」と、真っすぐな思いを伝えたのだった。
「花になれ」のデビューから10周年を迎えた昨年、バンドを待ち受けていたのは決して華々しいアニバーサリー・イヤーではなかったかもしれない。しかしこの日、「デビューの時よりさらにもっと大きな夢を見ています。僕らと一緒にこれからも夢を追いかけてくれますか?」と山村が語った通り、すでにflumpoolは次の10年を歩き始めている。
ツアー【Command Shift Z】は9月のパシフィコ横浜まで続いていく。
※「Command」および「Shift」の正式表記は、キーボードの修飾キーを示す特殊文字
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