2019/05/19
英国ロイヤル・オペラ・ハウスの人気公演の舞台映像を全国の映画館で上映する『英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2018/19』の7作目ロイヤル・バレエ『ドン・キホーテ』が、2019年5月17日より公開スタートした。
本演目は、英国ロイヤル・バレエ芸術監督ケヴィン・オヘアが、就任後の最初の大きな仕事として、しばらく上演が途絶えていた『ドン・キホーテ』の新しいプロダクションを構想し、同バレエ団の元プリンシパルで世界的スター カルロス・アコスタが振付けた作品だ。約20年ぶりに日本人プリンシパル(ダンサーの最高位)の高田茜が主演することでも大変話題となっている。今回、ガラ公演でも頻繁に上演されるバレエの楽しさが詰まった陽気な人気作品『ドン・キホーテ』の全幕主演に大抜擢された高田茜のインタビューが届いた。
――バレエ作品の他キャラクターと比べて、『ドン・キホーテ』のキトリは、ひときわ情熱的で明るく太陽のような女性かと思いますが、高田さんはこのキャラクターをどう捉えていますか?
高田茜:私のイメージするキトリは、ただ底抜けに明るいおてんばなキトリではないんですよね。なんかもっとスペイン人として、女性として誇りを持っていて、でも短気で頑固で。何というかきちんと意思を持っていて、こうしろ! ああしろ! と言われるのが嫌なタイプの女性なのかなという風に捉えています。
――キトリの性格やシーンの中で、高田さんのお気に入りがあれば教えてください。
高田:あのジプシーの人たちがケンカを始めるシーンですね。毎回違うので、そこが毎回見ていて楽しかったですね。
――『ドン・キホーテ』は、1,139スクリーンで上映されており、世界中で反響があったかと思いますが、どのような声が聞こえてきてますか?
高田:「楽しんでいただけた」という風に(英国ロイヤル・バレエ芸術監督の)ケヴィン・オヘアから聞いています。「たくさんのお客様から反応いただいたよ!」と。この間もオーストラリアだったりアメリカだったり、少し遅れて上映されたりもしているので、上映される度にお客様から「ロイヤル・バレエの演劇の高い作品を観ることができて良かった」という風に仰っていただくことが多かったですね。
――英国ロイヤル・バレエ団の作品は演劇的だとよく言われておりますが、セリフを考えながら踊られたりするのでしょうか? 以前、平野亮一さんにお伺いした際、心の中でセリフを英語で言いながら演じられていると仰っておりました。高田さんはいかがでしょうか?
高田:そうですね。私も一緒です! でも私の場合は日本語の時もあります。日本語でも作品の時代にあわせている感じです。例えば『ラ・バヤデール』は時代劇に近いので、「そなたー!」みたいな(笑)。『王家の紋章』という漫画をご存知ですか? あんな感じの言葉で時代にあわせて言葉を変えると動作にも表れてくるのかなと思ったりしていて。多分漫画とかアニメの見過ぎなんです……(笑)。
――『ドン・キホーテ』のキトリでは決め台詞みたいなものを日本語で考えられたりしてたのでしょうか? 作品を拝見した際、セリフを考えられながらやっていたのかなと思ったのですがいかがですか?
高田:そうなんですか! でもキトリはなぜか英語でセリフを考えていた気がします(笑)。改めて言われてみると、結構日本語と英語が混ざってますね。決め台詞のようなものはなかったですが、キトリと恋仲にあるバジルに耳打ちをされるシーンでは「もう信じられない!」と心で言っていました。殴るというほどでもないんですが、「何言ってんの!」という感じのシーンは日本語でしたね。でも基本英語だった気がします。
――シネマシーズンを通して『ドン・キホーテ』が初めて見るバレエ作品のお客様もいるかと思います。日本のお客様に特に注目してほしいポイントを教えてください。また日本のファンに向けてメッセージをお願いいたします!
高田:『ドン・キホーテ』と言われて、すぐに思い浮かぶのはロイヤル・バレエ団じゃないと思うんですね。やはりロイヤル・バレエ団といったら、ケネス・マクミランの作品だったりアンソニー・ダウエルの作品だったり、人間の複雑な心情を描く作品だと思うんですよ。でも『ドン・キホーテ』もロイヤルならではの演劇性の詰まった、他のバレエ団とちょっと違った雰囲気を楽しめる作品になっていますし、カーテンがあいた瞬間からすごいカラフルで、ビビッドなカラーがたくさんありますし、ダンサーたちが自ら声を発してやじるシーンもたくさんあるので、そういったちょっと他の作品と違ったところも楽しんでいただけると思います。本当にシンプルにテクニックやストーリーを楽しんでいただける作品ですので、日本のお客様にもそういったところをみていただけるように私たちダンサーも頑張っていて、ご覧いただけることを楽しみにしているので、楽しんでいただけたらなと思います。
実は、取材日が高田の誕生日だということで、「本日は、お誕生日おめでとうございます!!!」と伝えると、「えーー! ありがとうございます!!!」と喜びの返答が。
――1年振り返ってみていかがでしたか?
高田:1年間……、そうですね。あっという間でしたね。年を取るほどに1年すごく短くなって(笑)。でも色んな作品に挑戦することができた1年だったと思うので、また次もこの年もたくさんのことに挑戦できる年であればいいなと思います。
――今年は、20代最後の年になるかと思いますが、この1年の目標などをお聞かせください。
高田:そうなんですよ~!!!(笑)。でも、また29になると、30になるのが楽しみになりますね! なんというかもう少しバタバタしないで、もう少し時間の余裕を持てるようになるのかなと、楽しみにしています。
◎公開情報
『ドン・キホーテ』
公開中
原版振付:マリウス・プティパ
演出・追加振付:カルロス・アコスタ
出演:クリストファー・サウンダーズ、フィリップ・モーズリー、高田茜、アレクサンダー・キャンベルほか
関連記事
最新News
関連商品
アクセスランキング
インタビュー・タイムマシン
注目の画像