2019/05/11 14:00
音楽の聴き方がすっかり変わってしまった昨今だが、今週のHot100の上位を見るとそれは顕著にわかる。トップ10に入っている楽曲で、フィジカルのCDの売上が上位にあるのは日向坂46の「キュン」だけ。それ以外は、ダウンロードやストリーミングのポイントが高いためのチャートインとなっている。
なかでも注目したいのが、今週5位となったKing Gnuの「白日」だ(【表1】)。この曲は2月リリースだが、フィジカルのCDは存在せず、ダウンロードとストリーミングのみ。加えて動画の再生数も非常に高い。そのため、CDの売上やルックアップ(PCによるCD読取数)のポイントも加算されていないが、それでも3ヶ月近く上位をキープしているのが驚異的だ。まさに、リスニング環境の変化に伴った新しいヒット曲といえるだろう。この結果には、あいみょんやONE OK ROCKにも共通するものがある。
King Gnuは、アルバム・チャートも健闘している。今週のHot Albumsでは1月リリースのアルバム『Sympa』が19位となっている(【表2】)。実は本作には「白日」は収録されていない。それでもここまで上昇しているというのは、やはりアーティストとしてのポテンシャルが上がっている証拠だろう。こちらもダウンロードのポイントが今週6位と非常に高いが、フィジカルのCDの売上も落ちることなく横ばいで29位となっている。いずれにせよシングルだけでなく、アルバムにもつながっていることを考えれば、彼らのやり方は成功といっていいだろう。
今後もフィジカルのシングルCDをリリースせずに活躍するアーティストが増えてくることが予想される。King Gnuの展開は、そういったアーティストのお手本としてひとつの雛形になってくることだろう。Text:栗本斉
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