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2019/03/27

向井太一、バースデーライブを開催 27歳のリアルな"今"

 ブラックミュージックをベースに、ソウル、ファンク、エレクトロニカなどを取り入れながら、ソウルフルかつスムースな歌声で上質のサウンドへと昇華する新世代シンガー・ソングライターの旗手・向井太一が、自身の誕生日である3月13日、ビルボードライブ大阪でライブを行った。彼がビルボードライブ大阪のステージに立つのは、2017年8月に行われたDATSとのツーマンライブ以来。昨年秋にリリースしたセカンド・アルバム『PURE』が話題となり、アルバムを引っ提げた全国ツアーは全公演ソールドアウト。今や日本のみならず台湾や中国をはじめ海外での注目度も高く、今回の公演のチケットも争奪戦となった模様。

 今回の公演では、オープニングDJとして河嶋奈津実(FM802『Groove-U』DJ)が登場。更にスペシャルメニューとしてバースデーケーキ仕様のデザートや、向井太一も好きだというカクテル「グラスホッパー」をアレンジしたオリジナルカクテルも登場。この日ならではの演出に、フロアでは開演前から祝祭ムードが高まっていた。

 この日のライブは、「リセット」(アルバム『PURE』収録)からスタート。グランドピアノ、ドラム、キーボードをバックに、ステージ中央で伸びやかに歌う向井。続く「FLY」では、「座ったままでいいから手を挙げて!」と煽り、ビートの効いた「Haters」でフロアをグルーヴの波へと誘っていく。

 「ビルボードライブ大阪といえばグランドピアノがあるということで」と、一転してピアノと二人でジックリ聴かせる場面もあった。まずはデビュー前からよく歌っていたというジャズのスタンダードナンバー「Lullaby of Birdland」。「いつかこのステージで歌いたかった」と目を輝かせる様子に、彼がこの日のライブに向けて積み重ねてきた意気込みを垣間見た。続く「Break up」ではシルキーかつ情熱的に歌い上げ、「今日は特別な日なんで」と、自身も交流のあるiriの「会いたいわ」をカバー。叙情的なピアノにのせて、メロウに歌い上げるパフォーマンスに会場がグッと引きこまれる。

 中盤では彼がずっと歌い続けているという「君にキスして」を披露。誕生日という節目だからこそ、彼が大切にしてきた楽曲、そして「向井太一」というアーティストの"今"を感じることが出来る曲の数々が続く。それはまさに最新作『PURE』に込められた"アーティストとして純粋な歌い手でありたい"というメッセージを体現しているかのようであった。

 自身の音楽活動に関する、飽くなき願望を語りながら、「これからも僕の "道"についてきてもらえると嬉しいです」という言葉の後に始まったのは、先月配信スタートとなった最新シングル「道」。広がりのあるドラマティックなメロディ、躍動感のあるサウンド、そして「もっと上へ/まだ遠くへ」というメッセージに、向井太一というアーティストが今後切り拓いていくであろう、輝かしい未来への予感を感じた。

 アンコールでは、オープニングDJとしてプレイしていた河嶋奈津実(FM802『Groove-U』DJ)との出会いについて話す場面も。まだ自主制作していた頃の音源からいち早く番組で取り上げたというエピソード、そしていつも応援してくれている大阪のファンへの感謝の言葉に、温かい拍手が沸き起こった。

 人との出会いへの期待を歌った「24」を熱唱した後、一瞬の静寂ののち、バンドメンバーがバースデー・ソングを演奏し始める。大きな拍手と歓声の中、ステージにはバースデー・ケーキが登場。驚いた表情を浮かべた後、満面の笑みで「僕が僕で生まれて良かった日になりました」と話す向井。そしてステージには河嶋も登壇。この3月でFM802を卒業する彼女への深い感謝を口にしつつ、ハグを交わす二人。音楽が繋いだ絆、友情に、再び会場から温かい拍手が贈られた。

 ラストナンバーは「空」。「最後は一緒に歌ってくれますか!」という向井の声に立ち上がり、クラップとシンガロングを返すオーディエンス。最高の盛り上がりの中、ジャンプで演奏を締める向井。「27歳の向井太一もよろしくお願いします」そんな言葉に応えるかのように、彼がステージを去ったあとも、なかなか鳴り止むことのなかった拍手、観客の笑顔が、この日のライブの素晴らしさを物語っていたのではないだろうか。

Photo by 渡邉一生
Text by 杉本ゆかり

◎公演情報
【向井太一 / 27】

2019年3月7日(木) ※終了
ビルボードライブ東京

2019年3月13日(水) ※終了
ビルボードライブ大阪

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