2019/02/28
人工生命とアンドロイドを組み合わせたAlter3(オルタ3)が、2月28日に新国立劇場で初披露された。
オルタ3は、ミクシィ、大阪大学、東京大学 池上研究室、ワーナーミュージック・ジャパンによる共同研究プロジェクト。アンドロイドの第一人者である石黒教授(大阪大学)と、人工生命を研究する池上教授(東京大学)は4年前から、この2つを組み合わせることについて研究を重ねてきた。そして生まれたオルタの大きな特徴は、自律的に動くという点だ。今回発表されたオルタ3では、「非日常をリアルに体験できるVRをさらに発展させ、非現実的なアンドロイドを日常生活に持ち込むこと、そして人と人とを繋ぐ役割になることに挑戦したい」と石黒教授は説明。また、池上教授は参加する理由について「いつの時代も科学に必要なのは突破力。今ある技術を応用するのではなく、表現したいものがあるから、そのために研究、開発するということが大切だと思う」と述べた。
今回、披露されたオルタ3の前身であるオルタ2を使ったアンドロイド・オペラ『Scary Beauty』は2018年7月に日本科学未来館で上演され、チケットは完売。世界初の試みとして国外でも大きな話題となり、このオルタ3もすでに2019年にドイツ・デュッセルドルフや、ロンドンのバービカンセンターなどで展示、上演されることが決定している。日本科学未来館のキュレーターであり、世界各地でのオルタ3の展示も企画する内田まほろ氏は、「第一号を初めて展示した2016年から、オルタは機械と人間そして生命やプログラムの境界を越えながら、目の前のお客様に驚きや深い感動、思考する時間を与えてくれている。特に海外からのお客様の反応が良く、これからは日本の文化とテクノロジーを背負って世界の人々と対話する存在になるのでは」と期待を寄せた。また、ワーナーミュージックの増井健仁氏は、これからの展開について「世界にエンタテインメントを発信していく上で僕たちができることは何だろうと考えたときに、人間と人間のコミュニケーションではない、新しいアートではないかと思った。この作品を世界に伝えていくことは僕たちの使命でもある」と意気込みを語り、国内外での活動については随時発表していくと述べた。
そして、日本では2020年8月下旬に新国立劇場にて新作オペラが上演されることが決定。企画は、本劇場のオペラ芸術監督である大野和士氏、作曲は渋谷氏、台本は島田雅彦氏手掛ける。主人公はオルタ3で、約100名の子供たちとコミュニケーションしながら、人間の未来を想像、確信していくという内容が描かれる。大野氏は、新作オペラが生まれたきっかけについて「2020年夏に、新国立劇場で子供のためのオペラを作りたいと渋谷氏に相談したところ、オルタ3の開発タイミングと合致した」と説明。現在、作曲中の渋谷氏は「オペラらしいことをするのではなく、今までオペラでやっていなかったことに挑戦したい」と語った。本作品では、アンドロイドと子供の合唱団に加えて、オペラ歌手、新国立劇場合唱団、東京フィルハーモニー交響楽団、新国立劇場バレエ団も参加するという、新国立劇場が始まって以来の全ジャンルのコラボレーションが実現する。
◎オルタ3の今後の活動予定
2019年3月13日 ドイツ・デュッセルドルフ『Scary Beauty』上演
3月13日~5月5日 ドイツ・デュッセルドルフ【Hi,Robot!Mensch Maschine Festival】にて展示
3月28日~5月5日 ドイツ・デュッセルドルフ【Korperwende-von Nam June Paik bis Hiroshi Ishiguro】展示
5月16日~8月26日 イギリス・バービカンセンター【AI:More Than Human】にて展示
2019年9月以降 世界各地で『Scary Beauty』上演予定
2020年8月下旬 日本・新国立劇場2020年特別企画を上演
関連記事
最新News
関連商品
アクセスランキング
インタビュー・タイムマシン
注目の画像