2019/01/25
2019年1月23日にThe Atlanticが報じた、ブライアン・シンガー監督の性的不品行疑惑を1年にわたり追った記事を受け、【GLAADメディア賞】が『ボヘミアン・ラプソディ』のノミネートを取り下げることを決定した。
米国のメディア・モニタリング団体であるGLAAD(中傷と闘うゲイ&レズビアン同盟)は、現地時間1月25日午前に【サンダンス映画祭】の開催地である米ユタ州パークシティでノミネート全作品の記者会見を行うのに先立って発表した。『ボヘミアン・ラプソディ』は<最優秀映画(拡大公開)>部門でのノミネートが期待されていた。
The Atlanticの記事によると、シンガー監督は立場を利用して複数の未成年男性と性行為に及んだとされる。GLAADはハリウッド・リポーターに対し、映画をリストから外すのは「難しい決断だった」と回答している。声明には、「若い男性や10代の少年たちが耐えた、言い表せないほどの危害が記載された今週のThe Atlanticの記事は、無視すべきではない、ましてや暗に報いるべきでもない現実を浮き彫りにしている」と続き、「The Atlanticの記事に対するシンガーの反論では、性的暴行疑惑をかわすために不当に“ホモフォビア”(同性愛嫌悪)を利用した。GLAADはメディアと業界全体に対し、性的暴行を受けた者たちを最優先させるべきだということをごまかさないよう要請する。『ボヘミアン・ラプソディ』に一生懸命取り組んだチーム、そしてフレディ・マーキュリーのレガシーは、このような形で汚されずに評価されるべきだ」と記載されている。
シンガーは『ボヘミアン・ラプソディ』を最後まで監督しておらず、プロデューサーたちと何度も衝突した挙句に映画のクランクアップ数週間前に解雇された。本人は病気の母親の看病のために降板したと主張している。後任はデクスター・フレッチャーが務めた。
トラブルに見舞われながらもどうにか完成した同作は世界的大ヒットとなり、【ゴールデン・グローブ賞】で映画部門<作品賞(ドラマ)>と<主演男優賞(ドラマ)>を受賞したほか、今週【第91回アカデミー賞】で<作品賞>、<主演男優賞>(ラミ・マレック)、<編集賞>、<音響編集賞>、<録音賞>の5部門にノミネートされるなど、賞レースでもひときわ注目を集めている。シンガーの問題がなければ【GLAADメディア賞】受賞も夢ではなかっただろう。
シンガーは現在関わっているミレニアム・フィルムズの『Red Sonja(原題)』の監督は続投するそうだが、GLAADの声明では彼の今後について、「現在、そして将来シンガーが関わる映画は、The Atlanticの記事やほかの過去の申し立てへの反発を考慮すべきだ。業界は、これ以上誰かに危害を加える者から目を逸らしたり、止めずにいるべきではない。(被害者が)傷つきやすい若者であった場合はなおさらだ」と呼びかけている。
【GLAADメディア賞】は、LGBTQの人々と受容を促進する話題を、公正、正確、そしてインクルーシブ(受け入れるよう)に描いているメディアを表彰している。
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