2018/12/28
2018年12月25日のクリスマスに、エミネムが自身のSiriusXMチャンネルShade 45で、『12 Days of Diss-Mas』(トゥウェルヴ・デイズ・オブ・ディスマス)と題した、タイトルどおり歴代ベスト・ディス・トラック12曲について語り尽くす番組を公開した。
“ディス”・クリングル(サンタの別称Kris Kringleから)ことエミネムは、長年のマネージャーであるポール・ローゼンバーグとDJ Whoo Kid(フー・キッド)とともに、40分以上かけて各曲が生まれた背景やアーティスト同士の関係などを説明し、ヒップホップへの深い造詣を披露した。ちなみに彼らは、今回のリストにエミネムの楽曲は含まれないと、最初におことわり(“diss-claimer”)を入れている。
まず彼らは、KRS・ワン/ブギ・ダウン・プロダクションズの有名な「ザ・ブリッジ・イズ・オーバー」(1987年)からスタートし、マーリー・マールとMCシャンとの対立について語ったあと、UTFOを非難するロクサーヌ・シャンテの「ロクサーヌ・リベンジ」にまつわる当時の揉め事の背景を紐解いた。フー・キッドは、「このレコードはワン・テイクで録音を終えたってことを言わせてくれよ。当時は機材がなかったからさ」とうんちくを語っている。
次に話題はMC Lyte(ライト)の「10% Diss」に移り、自身の楽曲で使用したAudio Two(オーディオ・トゥー)の「Top Billin’」からのループと同じものを、MCアントワネットが「I Got An Attitude」で使用したことを非難しているという経緯が語られた。エミネムたちのリストにはほかに、LL・クール・Jの「Jack the Ripper」、N.W.Aの「Fuck Tha Police」、アイス・キューブの「No Vaseline」、ドクター・ドレーの「Dre Day」、そして東海岸vs.西海岸バトルの口火を切った故Tim Dogの「Fuck Compton」が含まれている。
曲紹介の間に彼らは、エミネムがクラシック・ラップのシングルやアルバムのカセット収集に熱中していることや、彼がLL・クール・Jに今も魅了されていることに触れている。エミネムは、「“Jack the Ripper”はすげータフな曲だ。史上最高のディス・レコードのひとつだ」と絶賛している。
トップ4にはコモンの「The Bitch in Yoo」(東海岸MCをディスったアイス・キューブの「Westside Slaughterhouse」に対するアンサー)、故イージー・Eの「Real Mothaphuckkin' G’s」(ドクター・ドレー、スヌープ・ドッグ、<デス・ロウ・レコード>をディス)、Yz(ワイ・ズィー)の「Diss Fe Liar」(Poor Righteous Teacherのメンバー、Wise Intelligentを攻撃)がランクインしている。「Diss Fe Liar」を巡る対立についてエミネムは、「自分的に一番葛藤があったビーフかも。どっちも気に入ってるから」と語っている。
ランキングのトップは、故2パック(トゥパック・シャクール)が元友人の故ノトーリアス・B.I.G.に放った強烈な一撃、「Hit 'Em Up」(1996年)だ。ローゼンバーグは、「これが史上最高のディス・レコードかもしれない」とコメントし、エミネムは、ディス・トラックでこれほど個人攻撃に徹したものを、その当時は聴いたことがなかったと語っている。
◎#12DaysOfDissMas音源
https://youtu.be/5XtJxS8vRi4
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