2018/12/07
2018年の総合アルバム・チャート【Billboard JAPAN HOT ALBUMS of the Year2018】は、安室奈美恵のベスト・アルバム『Finally』が首位を獲得、同チャート史上初となる2年連続首位獲得という偉業を成し遂げた。昨年度に引き続き、フィジカル・セールスとルックアップで2冠を達成している。
2017年11月8日にリリースされた『Finally』は、その約1か月前に伝えられた引退発表の話題も後押しして、同年間チャートの集計期間ラスト3週で150万枚近くのCDセールスを記録し、ルックアップもトップを維持、驚異的な追い上げで昨年度の年間“HOT ALBUMS”首位を獲得してみせた。
そんな『Finally』のチャート・アクションは2018年度の集計に入っても高水準で、CDセールスの発売以来累計は230万枚超にものぼり、ルックアップは初登場から計55週、トップ10から漏れることはなかった。それぞれの推移を見てみると、発売から今年1月いっぱいまでは引退発表の余波がセールスを盛り上げ、その勢いがやや落ち着いてきた2月から6月まではラスト・ツアーの影響もあって、ルックアップが上位チャートインを下支えしている。そして9月16日の引退日周辺では、再びセールスが活性化し、その売上枚数は年末年始のそれと並ぶほどに。音楽聴取の主媒体が着実にデジタライズしていく中、そういった業界の風潮から距離を置く形で配信未解禁のまま、近年まれに見るロングヒットを記録した『Finally』は、流行り廃りに関わらず、長きに渡って聴かれ続けていくに違いない。
2位以下には全指標でバランスよくポイントを積み上げつつ、特にダウンロードとルックアップが強いアーティストの上位チャートインが目立つ。中でも総合2位を獲得した米津玄師の4thアルバム『BOOTLEG』は、今年度の集計で10万DL超を売り上げてダウンロード2位となり、ルックアップに至っては、圧倒的なCDセールスを誇る安室奈美恵『Finally』と比べても遜色ないポイントを記録して2位をマーク。そのCDセールス順位が11位であることを考えると、レンタルの需要も相当に高かったことが窺える。
また米津はほかに、2nd『YANKEE』を28位、3rd『Bremen』を56位、1st『diorama』を89位にそれぞれ送り込んでおり、これまで“米津玄師”名義で発表してきた全アルバムが100位内にエントリーしている。最新作のロングヒットと過去作の再評価、どちらも米津が今年最もファン層を拡大したアーティストであることを如実に物語る快挙と言えるだろう。
総合3位には宇多田ヒカル『初恋』、4位にはサザンオールスターズ『海のOh, Yeah!!』と中堅~ベテラン勢が続く。どちらもCDセールス、ダウンロード、ルックアップの3指標でバランス良く上位をマークしており、幅広い層からの支持が窺える。宇多田ヒカルは今年デビュー20周年、サザンは40周年とそれぞれ節目のタイミングだが、現役アーティストとしての強い求心力がなくては、ここまでの成績を残すことはなかっただろう。
米津玄師『BOOTLEG』を抑え、ダウンロード1位を獲得したのは、映画『グレイテスト・ショーマン』のオリジナル・サウンドトラック。今年1月に国内盤がリリースされた本作は、映画の日本公開週に総合2位までジャンプアップし、これまでに通算3回の1位を獲得している。フィジカル領域での勢いが緩やかに落ち着いていく一方、ダウンロードは根強く上位を維持し続け、“HOT ALBUMS”における洋楽作品の年間順位としては最高位となる総合5位を獲得した。
そのほか、トップ10内にはAKB48、WANIMA、Mr.Children、BTS (防弾少年団)、B'zといった、ジャンルも年代も様々なアーティストの作品が並ぶ。“ストリーミング時代”におけるプレイリスト戦略が日本でも重要視され始めた昨今、アルバム市場が縮小する見方を頭ごなしに否定することはできない。しかし、アルバムがアーティスト本人のキュレーションによるプレイリストであると考えれば、デジタル音楽プラットフォームの乱立と、それに伴うプレイリスト競争の激化が進むにつれ、その需要はむしろ高まっていく可能性すらあるのではないだろうか。ビルボードジャパンでは2019年も引き続き、アルバムのヒットを注意深く観察していく。
◎安室奈美恵『Finally』スタッフコメント
安室奈美恵の25年間を踏襲した「Finally」という作品を、
たくさんの方々にご支持頂いたこと、大変光栄に思います。
これからも、安室奈美恵の作品が、
皆さまの日々に寄り添い続けられることを心より願っております。
(Dimension Point)
◎【Billboard JAPAN HOT ALBUMS of the Year 2018】トップ10
1位『Finally』安室奈美恵
2位『BOOTLEG』米津玄師
3位『初恋』宇多田ヒカル
4位『海のOh, Yeah!!』サザンオールスターズ
5位『グレイテスト・ショーマン(オリジナル・サウンドトラック)』
6位『僕たちは、あの日の夜明けを知っている』AKB48
7位『Everybody!!』WANIMA
8位『重力と呼吸』Mr.Children
9位『FACE YOURSELF』BTS (防弾少年団)
10位『DINOSAUR』B'z
集計期間:2017年11月27日(月)~2018年11月25日(日)
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