2018/11/22
神奈川県川崎市にて11月8日より11日間にわたり開催された音楽フェスティバル【かわさきジャズ2018】。同フェスティバルの最終日となる11月18日、ミューザ川崎シンフォニーホールにて【デイヴ・グルーシン・ビッグ・バンド ウエストサイド物語~バーンスタイン生誕100年特別プロジェクト~】がおこなわれた。
ジャズ・フュージョン/映画音楽界の巨匠デイヴ・グルーシンによる約3年ぶりの来日公演。今回の公演は“バーンスタイン生誕100年プロジェクト”と銘打ち、音楽史に刻まれる偉人レナード・バーンスタイン作曲による『ウエスト・サイド物語』の楽曲をおもに演じる特別プログラムだ。グルーシンは1997年にカバー・アルバム『デイヴ・グルーシン・プレゼンツ・ウエストサイド物語』を発表しているが、なんといっても今回のショーの見どころは、グルーシンが率いるのが、米国と日本、双方の一流プレイヤーで構成されたビッグバンドであるということだ。残念ながら、前回もともに来日を果たした盟友リー・リトナーは健康上の理由により直前で来日キャンセルとなってしまったが、ジョン・ビーズリー (Key) 、ジャン・ポール・ホッホシュタッター (Ds) 、トム・ケネディ (B) 、ボブ・シェパード(Sax, Fl)といった米西海岸の音楽シーンで活躍する凄腕プレイヤーと、エリック・ミヤシロ(Tp)、本田雅人(Sax)、村田陽一(Tb)、三沢またろう(Perc)ら日本のスタープレイヤーが名を連ねる、超豪華メンバーに胸が高鳴らないわけがない。
ピアノ・ソロ~トリオ編成による第1部をバーンスタインに捧げる「ハッピー・バースデー・トゥ・ユー」で洒脱に締めくくり、いよいよ注目の第2部、ビッグバンド編成による『ウエスト・サイド物語』へ。豪華バンド陣に続いて盛大な拍手で迎えられたグルーシンのキューにより「プロローグ」「何か起こりそう/Something’s Coming」「クール」と『ウエスト・サイド物語』を彩る珠玉のナンバーがジャズ・アレンジで次々と演じられていく。
楽曲や自身によるアレンジについて、時折ジョークを交えながらも丁寧に解説し、ショーを進行していくグルーシン。劇中でトニーが恋に落ちた美しい女性=マリアの話に続いてボーカリストの伊藤大輔を呼び込み「マリア」、国貞雅子を迎えての「トゥナイト」と、歌い手を加えての演奏で一気に観客たちを『ウエスト・サイド物語』の世界へと引き込んでいく。また「アイ・フィール・プリティ」では、グルーシンとボブ・シェパードによるピアノ×フルート競演も。名曲の数々に酔いしれる間にも、ショーはフィナーレに向けぐんぐん加速していく。そして、グルーシンが最後の曲に選んだのは「アメリカ」。劇中では女性たちの掛け合いが印象的な同曲が、大迫力のビッグバンド・サウンドで演じられる光景はまさに圧巻!ホールに響き渡るその音色がぴたりと止んだその瞬間、グルーシンは大きなガッツポーズを掲げ、この日何度も飛び出した「インクレディブル(信じられない)!」という言葉でショーを締めくくった。
生誕から100年を過ぎた今もなお、決して色褪せないバーンスタインの名曲、それらに豊かな色彩を与え、新たな息吹を吹き込むグルーシンのピアニスト/アレンジャーとしての手腕、そして日米“ドリームチーム”の奏でるゴージャスなサウンドは、どれをとってもまさに“インクレディブル”、フェスティバル終幕を飾るにふさわしい贅沢な一夜となった。
◎公演情報
かわさきジャズ2018
【デイヴ・グルーシン・ビッグ・バンド ウエストサイド物語~バーンスタイン生誕100年特別プロジェクト~】
日時:2018年11月18日(日)
会場:ミューザ川崎シンフォニーホール
出演者:
デイヴ・グルーシン (指揮、Pf)
養父 貴 (G)
ジョン・ビーズリー (Key)
ジャン・ポール・ホッホシュタッター (Ds)
トム・ケネディ (B)
ボブ・シェパード(Sax, Fl)
Vo:国貞雅子、伊藤大輔
Sax:本田雅人、小池 修、庵原良司、吉田 治
Tp:エリック・ミヤシロ、奥村 晶、佐久間勲、小澤篤士
Tb:村田陽一、鹿討 奏、中川英二郎、山城純子
Perc:三沢またろう
◎【かわさきジャズ2018】
2018年11月8日(木)~11月18日(日)※終了
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