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2018/10/19

『クエイヴォ・ハンチョ』クエイヴォ(Album Review)

 ミーゴスといえば、米ビルボード・ソング・チャート“Hot 100”で通算3週の1位をマークした、「バッド・アンド・ブージーfeat.リル・ウージー・ヴァート」のヒットで知られる……なんていうのは、今は(ちょっと)昔の話。何せ、今年の1月にリリースした3rdアルバム『カルチャーII』で、2作連続のアルバム・チャートNo.1を記録し、「モータースポーツ」(6位)、「スティア・フライ」(8位)、「ウォーク・イット・トーク・イット」(10位)の3曲がTOP10入りしているんだから。

 一発屋どころか、現代のヒップホップ・シーンを担う代表格として君臨するミーゴス。その中心人物であるクエイヴォが、10月頭に突如ソロ・アルバムをリリースすると発表し、12日に告知通り発売されたのが、本作『クエイヴォ・ハンチョ』。全19曲、66分超えの大作で、マーダー・ビーツや30ロック、ワンダガール、OG・パーカー、ファレル・ウィリアムスなど、人気プロデューサーも多数参加している。

 オフセットが参加した「ファック21」、テイクオフとのコラボ・チューン「キープ・ザット・シット」がそれぞれあり、サウンド面ではミーゴスの続編って感じで、ソロ・アルバムとしての機能をイマイチ果たせていない気もするが(?)、ミーゴスのカラーっていうのは、“クエイヴォあっての”ってことを証明した作品、ともいえる。
 
 「ハンチョ・ドリームス」には、今年の夏に通算10週の全米1位をマークした、ドレイクの「イン・マイ・フィーリングズ」の一部がサンプリングされている。そのドレイクは、次曲「フリップ・ザ・スウィッチ」にゲストとして参加するという、何ともややこしい展開。その「ハンチョ・ドリームス」だが、この曲、ニッキー・ミナージュとの交際をニオわせる内容が歌われていて、ファンの間で波紋を広げている。

 ニッキーといえば、ミーゴスのメンバーであるオフセットの妻、カーディ・Bとの壮絶なバトルがゴシップ欄で取り上げられ、両者のSNSでも問題発言が繰り返されていたことが話題になったばかり。「モータースポーツ」でコラボした、ミーゴスとニッキー、カーディ・Bだが、バトルの発端が自身(等)にあったとして、ニッキーに謝罪をするようなフレーズも登場するのだ。

 さらに、本作にはそのカーディも「シャンパン・ローズ」に参加しているというから、このヘンの関係性というか、ぐちゃぐちゃした感じが面白い。しかも、一時クエヴォとの交際が囁かれていたサウィーティまで本作に参加しているというから、なにやらまた、ひと悶着ありそうな気がする。ちなみに、その「シャンパン・ローズ」には女王マドンナのボーカルもフィーチャーされていて、これがなかなか良いアクセントになっている。

 その他には、ガンナとのコラボ・アルバム『ドリップ・ハーダー』がヒット中のリル・ベイビーや、ソロ活動を本格始動させた、フィフス・ハーモニーのノーマニ・コーディ、21サヴェージ、トラヴィス・スコット、キッド・カディといった人気ラッパーなど、チャートを荒らしている面々がクレジットされている。

 「ラム・トーク」や「ハウ・アバウト・ザット」などお得意のトラップから、「スティア・フライ」 に近い軽快な歌モノの「シャイン」~「バブル・ガム」、その「スティア・フライ」を手掛けたファレル作のエレポップ「ゴー・オール・ザ・ウェイ」、ダンスホール直結の「スウィング」など、サウンドの幅も広く、ヒットが狙えそうなアルバムではあるが、“ミーゴス”ではなく、クエイヴォ単体ではどれだけの反響があるのか、たのしみなところではある。


Text: 本家 一成

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