2018/10/20
ずっとチャートを追いかけている音楽ファンなら、何を今さらという感じだろうが、フィジカルのCDだけでヒットを作る時代ではなくなってきている。今週のHot100を眺めてみても、上位50位以内の楽曲の半数以上が、CDの売上だけ見るとチャート圏外だ。この傾向は年々強まっており、実際に配信限定リリースも当たり前のことになってきた。
例えば、椎名林檎と宮本浩次の「獣ゆく細道」はその典型的なパターンだろう(【表1】)。大物2人の話題のデュエットということに加え、ニュース番組のテーマ曲のタイアップなどで話題を作り、10月2日に配信リリースされると一気にチャートを上昇。先週10/15付、及び今週のHot100で2週連続6位にランクインした。チャートの特徴としては、ダウンロードもストリーミングもバランスよくポイントを稼ぐのと同時に、ラジオでの大量オンエアで話題を作って相乗効果を挙げたのも成功の要因だ。現時点ではCDリリースのアナウンスはされていないが、それがなくてもヒットを作れるというわかりやすい例といえるだろう。
同様に、配信のみで今週4位という好成績を上げたのが、LiSAの「ADAMAS」だ(【表2】)。もともと配信には強いアーティストであり、人気アニメ主題歌という彼女の鉄板ともいえるタイアップがついたこともあるが、10月8日に配信が開始されると早々に大反響を呼び、各配信サイトのチャートで軒並み首位を獲得した。グラフを見ても、ほぼダウンロードとツイッターだけのポイントで上位となっている。フィジカルのCDは12月にリリース予定だが、もはやCDに頼る必要はないと言わんばかりの結果だ。
今後もこういうヒットがどんどん生まれるだろうし、ますますCDショップの店頭や、ライヴの現場との乖離も進むことだろう。逆にいえば、どこでヒットの芽を掴むかを、もっとシビアに見極めないといけない時代になっているのだ。Text:風奏陽
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