2018/08/20
トラヴィス・スコットの新作『アストロワールド』が2週連続の首位獲得を果たした、今週の米ビルボード・アルバム・チャート。
先週、2018年のチャートとしては2番目に大きいユニット数(537,000)を獲得し、堂々のNo.1デビューを飾った本作。今週も205,000ユニットと高記録を打ち出し、R&B/ヒップホップ・チャート、ラップ・チャートの3冠を制した。オーストラリアやカナダ、ニュージーランドなどでも自身初の1位をマークしている。
205,000ユニットのうち、78,000枚がアルバムの純粋な売上枚数で、127,000枚がストリーミングによるみなし売り上げ。今週は、1億6,750万視聴を記録し、2週連続で1億回のストリーミングを突破している。そのトラヴィス・スコットには及ばなかったが、ニッキー・ミナージュの新作『クイーン』は185,000ユニットを獲得し、2位にデビューした。
本作『クイーン』は、2014年の3rdアルバム『ザ・ピンクプリント』からおよそ4年振り、4作目のスタジオ・アルバムで、8月17日に一時延期となったが、急遽本来の発売日である10日にリリースされた。その前作『ザ・ピンクプリント』も、最高位は2位どまりだったが、「アナコンダ」や「オンリー」などのシングルヒットを受け、最終的には200万ユニットを突破し、翌2015年の年間アルバム7位にランクインする大ヒットとなった。
初動185,000ユニットは、2018年にリリースされたアルバムの中でも高記録で、女性アーティストとしては、同じフィーメール・ラッパーのカーディ・Bが『インベージョン・オブ・プライバシー』(今週8位)で打ち立てた、255,000ユニット(2018年4月21日付チャート)に次ぐ2番目の記録。ストリーミングも好調で、初週1億2,870万視聴を記録し、97,000枚のみなし売上を獲得した。アルバムの売上枚数は78,000枚で、セールス・ストリーミングの比率はほぼ同等。セールスが好調だった理由として、コンサートチケットとの連動(償還)が挙げられる。
ニッキーのこれまでの記録を振り返ると、2010年のデビュー・アルバム『ピンク・フライデー』の初動売上が375,000枚、2nd『ロマン・リローデッド』(2012年)が253,000枚、そして前述の3rdアルバム『ザ・ピンクプリント』は244,000ユニット(198,000がアルバム・セールス、46,000枚がストリーミングによる売上)だった。前2作の集計当時は、ストリーミングによる売上の換算はない。大きく数字は落としていないが、本作からの大ヒット・シングルがなかったことが、首位獲得を逃した理由かと思われる。
5週連続のNo.1獲得を果たした、ドレイクの『スコーピオン』は3位にダウン。とはいえ、今週も102,000ユニットを獲得し、7週連続の10万ユニットを超える快挙を達成した。ニッキーとドレイクは、同じヤング・マネー・エンターテインメント所属アーティストで、同レコード会社からTOP3に2作がランクインするのは、これが初となる。
続いて4位にもヒップホップ・アルバムが初登場。72,000ユニットを獲得してデビューしたのは、米オハイオ州出身の若手ラッパー=トリッピー・レッドのデビュー・アルバム『ライフズ・ア・トリップ』で、これまでリリースしたシングル曲やミックステープ含め、TOP10入りは初となる。72,000ユニットのうち、アルバムの売上枚数は15,000枚で、5万以上はストリーミングによる売上だった。トリッピー・レッドは、故エクスエクスエクステンタシオンとのコラボ曲「ファック・ラブ」などフィーチャリング・アーティストとして知名度を高め、人気に繋げた。
今週7位にエントリーしたのは、故アレサ・フランクリンのベスト・アルバム『30グレイテスト・ヒッツ』。8月16日の訃報を受けセールスが急増し、集計期間った1日で35,000ユニット(そのうちアルバムの売上は13,000枚)を獲得した。1985年にリリースされた本作のこれまでの最高位は117位だったが、一気に記録を更新。アルバム・チャート“Billboard 200”でのTOP10入りは、1972年にリリースした『至上の愛~チャーチ・コンサート~/Amazing Grace』(最高7位)以来、実に46年振りとなる。集計期間の関係上ポイント割れしてしまったが、次週のチャートではさらに多くの作品が上位にランクインするだろう。
9位に初登場したのは、日本でも根強い人気を誇る、オーガニック系シンガーソングライター=ジェイソン・ムラーズの新作『ノウ。』。最高2位をマークした前作『イエス!』(2014年)から4年振り、6作目のスタジオ・アルバムで、2005年の2ndアルバム『ミスター・エー・トゥ・ジー』(最高5位)から5作連続のTOP10入りを果たした。初動33,000ユニットのうち、売上枚数は26,000枚と、そのほとんどがセールス(ダウンロード数)によるものだった。
Text:本家一成
※関連リンク先の米ビルボード・チャートは、8月24日以降掲載予定となります。
◎【Billboard 200】トップ10
1位『アストロワールド』トラヴィス・スコット
2位『クイーン』ニッキー・ミナージュ
3位『スコーピオン』ドレイク
4位『ライフズ・ア・トリップ』トリッピー・レッド
5位『ビアボングス&ベントレーズ』ポスト・マローン
6位『グッドバイ&グッド・リダンス』ジュース・ワールド
7位『30グレイテスト・ヒッツ』アレサ・フランクリン
8位『インベージョン・オブ・プライバシー』カーディ・B
9位『ノウ。』ジェイソン・ムラーズ
10位『?』エクスエクスエクステンタシオン
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