2018/08/13
【RISING SUN ROCK FESTIVAL】の会場に泊まるキャンパーズのために行われる、恒例のFRIDAY NIGHT SESSION。今年は怒髪天がホストとなり、bloodthirsty butchersトリビュート・セッションが開催された。
1999年、第1回目のこのフェスで鮮烈な印象を残した彼らのトリビュートは、20回目となる今年、大きな意味があった。そして2013年の吉村秀樹の急逝から5年。これまで休止状態だったブッチャーズがライブを行う、ということも。
まず増子とWESSの若林氏がMCとして登場。このトリビュート・セッションにあたっての思いを語る。ハウスバンドは怒髪天のメンバーが務め、彼らをバックに1人1人、ヴォーカリストがステージに上る。トップバッターは椎木知仁(My Hair is Bad)。緊張した面持ちでの「ジャックニコルソン」は、その青さすら残る純粋さが、吉村の姿をダブらせる。続くKO(SLANG)は、吉村の大きなパネルを掲げて登場。昨年出演したライジングでも、吉村のことを語っていたことを思い出した。そして増子が登場し、つまり怒髪天として「I’m on fire」を披露。増子はかなり感極まっているかのような表情だった。
再びMCタイム。増子とKOが吉村について話す。湿っぽくならないように迷惑だった思い出を語ろうとするが、深い仲の2人だけあって、どの思い出も強烈なものばかりだ。続いては吉野寿(イースタンユース)。増子、KO同様、若き札幌時代からのバンド仲間だ。吉村が愛飲していたいいちこを片手に登場し、エレキで「Never Give Up」を弾き語りするが、なんといいちこボトルネック奏法を披露。「昨日『観に行きます』って連絡したら『出ろ』って言われた」という後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)はアコギ弾き語り。この日、ASIAN KUNG-FU GENERATIONとしてのステージでも、吉村が好きだったという「マーチングバンド」とブッチャーズの「banging the drumを披露していたが、なんというブッチャーズ愛か!増子が後藤、吉野、そしてブッチャーズのジャケットを描いた奈良美智をステージに呼びこむ。ここでも吉村伝説が披露されるが、そのどれもが愛である。続いて登場したTOSHI-LOW(BRAHMAN)は「散文とブルース」の〈いつの日かまた僕らを連れてって〉という歌詞を〈ライジングサンにまた戻ってきて〉と唄った。そして再び増子がTOSHI-LOWとRACCO(Idol Punch)を呼び込みトークの間、セットチェンジ。期待が高まる。
ラストに登場したのはbloodthirsty butchers。射守矢雄、小松正宏、田渕ひさ子の3人が音を鳴らす。あのフィードバックノイズ。止まっていた時計が動き出した。そこに吉村はいないが、確かにブッチャーズの音が鳴っていた。吉村の声が聴こえた気がした。3人はただひたすらに演奏する。あれだけリスペクトするヴォーカリストが登場し、その愛を叫んでも、ここに立てるのはただひとりなのだ。失ったものの大きさと、そして強い愛情を感じる瞬間だった。
ラストは「7月」。そう、20年前、この会場で最後に披露し、吉村がギターを空へと投げた伝説の1曲だ。あの日は田渕もNUMBER GIRLとしてここに出ていた。ライジングサンの20年、そしてブッチャーズへの思いがそこにあった。強く雨が降る中、アンコールを求める拍手はなかなか鳴り止まなかった。
【RISING SUN ROCK FESTIVAL 2018 in EZO】は1999年からスタートし、今年で20回目。全ての入場券がソールドアウトとなり、計74,000人が入場した。なお、【RISING SUN ROCK FESTIVAL 2019 in EZO】は2019年8月16日、17日に開催される。
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